宝塚100周年第1弾 豪華歴史絵巻「眠らない男 ナポレオン」 |
初めてコラムを書かせていただきます。
今年100周年を迎える宝塚歌劇団を愛して38年目の私が
愛をこめて、その魅力を発信します!
ナポレオン、と聞いて何を連想しますか?
「睡眠時間が3時間だった」
「余の辞書に不可能という文字はない」
「妻が悪妻だった」
「モスクワ侵攻の失敗」など
いろいろなエピソードを思い浮かべるかもしれません。
1月1日、宝塚歌劇100周年のトップを切って、本拠地宝塚大劇場で開幕したのが
星組「眠らない男ナポレオン-愛と栄光の涯に-」です。
ナポレオンにまつわる有名なエピソードに加え、
イギリス、ロシア、オーストリアなどとの外交問題などを
ほとんど全て歌で表現したこの作品は
「ル・スペクタクル・ミュージカル」と名付けられた壮大な歴史絵巻です。
演出は、宝塚歌劇以外でも数々のミュージカルを成功させ、
今一番忙しい演出家の一人、小池修一郎。
作曲は大ヒットミュージカル「ロミオとジュリエット」の作者ジェラール・プレスギュルヴィック。
日本とフランスがタッグを組んだオリジナル作品です。
主役ナポレオンを演じる柚希礼音は星組トップスターになって5年目。
昨年は台湾公演も成功させ、押しも押されもせぬ堂々たる主役ぶりです。
宝塚史上屈指のダンサーとして初舞台のころから注目され、
順調にスターの階段を上った柚希礼音は、大阪出身。
その舞台歴と飾り気のないキャラクターは、
コルシカ島の潮風に育まれ、出世の階段を駆け上っていったナポレオンと重なります。
また、夢を信じ”眠らず”努力する士官学校時代の輝き、
妻ジョセフィーヌとの恋愛、夫婦のすれ違い、
皇帝就任と戦いの日々、そして失脚…と、
さまざまな局面で自在な演技を見せています。
最近は、トップ就任前に組替が行われ、
なじみのない組でトップスターを勤める人も多く、
各組の特長、カラーが薄れ気味のなか
柚希礼音は生粋の星組っ子。
大柄でゴージャス、ショーで本領を発揮するタイプが多い星組トップスターの
DNAを受け継いだ柚希礼音はまさに星組の顔と言えるでしょう。
トップ娘役 夢咲ねねは、ナポレオンの妻ジョセフィーヌ役。
生き延びるのに必死で、女性としては愚かだった前半生と、
ナポレオンへの愛を一途に貫き陰ながら支える後半生を力演し、客席の涙をさそっています。
舞台を彩る豪華な衣装と凝った舞台装置などは宝塚歌劇ならでは。
従来からのファンはもちろん、初めてご覧になる男性も楽しめるのではないでしょうか。
また、すれ違う夫婦の愛・嫁姑問題など、時代や国を問わない人間模様を
自分のことのように感じるかたもいらっしゃるでしょう。
かつて宝塚歌劇のお正月公演は、難しいことを考えないで楽しめる
罪のない軽い作品と決まっていました。
この作品はその対極にあります。
「お嬢さん芸」と過小評価をされていたこともある宝塚歌劇がさまざまな進化をとげて100周年。
今後は海外定期公演も視野に入れ、新たな一歩を踏み出すのだと、
決意表明をしたとも受け取れる 星組「眠らない男ナポレオン―愛と栄光の涯に―」でした。
宝塚大劇場 :2014年2月3日まで
東京宝塚劇場:2014年2月14日から3月29日まで