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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2023-08-16
お手紙とわたし~春瀬ゆうなさん編②~
私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。「お手紙ってかたい印象があったけど、いろんな楽しみ方があるんだ」「基本、書くことは苦手だけど、肩の力を抜いて書いてみようかな♪」と、お手紙を書いてみたくなるアイデアやヒントを教えていただきます。

7人目は春瀬ゆうなさんです。ライターでキャリアコンサルタントでもあり、現在は小・中学生向けの体験型ライティング教室「あすとれ」や大人向けにも文章教室を開いています。私のライターの先輩であり、現在もお仕事でお世話になっていて、実際にお会いする機会も多いのですが、時々お手紙でもやりとりしているんです。

春瀬さんが今年、小学生向けに読書とお手紙を組みわせたイベントを企画した背景や、ご自身の日常でのお手紙のやりとり、文章のプロが考える“話し言葉(話すこと)”と“書き言葉(書くこと)”の違いなどをうかがった、内容盛りだくさんのインタビューを4回に分けて紹介します。

前回は「書くことに親しむ編」。今回は「節目節目に届くお手紙&プチプレゼント編」として、春瀬さんが大学時代のお友だちと続けているお手紙のやりとり、「彼女からお手紙をもらうと、今に引き戻してもらえる感じがあるんですよね」という、季節や1日1日のいとおしさを感じるお手紙についてお話をうかがいました。
春瀬さんは日常の中で、どんなふうにお手紙をやりとりしていますか? お手紙でやりとりをしている方はいますか?

春瀬さん: お手紙でのやりとりがずっと続いているのは、大学時代からの友だちです。

同じ専攻に在籍し、一緒にミャンマーやベトナムを旅したこともあって、大学時代は一緒に過ごすことが多かったのだけれど。卒業したら、それまでのようにほぼ毎日顔を合わさなくなりますし、彼女が関西から離れて気軽には会えない距離で暮らすようになったから。自然と、お手紙でのやりとりが始まったという感じですね。

お手紙だけの時もあるけれど、時々、お菓子や入浴剤などちょっとしたプレゼントも入っていて。私も今ちょうど、北海道に行った時に買ったお土産のラムレーズンチョコを送ろうと、一緒に入れるお手紙を書こうとしているところなんです。

今は、彼女も関西で暮らしているので、会うこともありますし、電話やLINEでもやりとりしますが、お手紙でのやりとりはお誕生日や年賀状なども含めると、年4~5回ほどでしょうか。もう、25年ほど続いています。

彼女からお手紙をもらうと、季節や記念日を思い出して、今に引き戻してもらえる感じがあるんですよね。

「今に引き戻してもらえる感じ」とは?

春瀬さん: 私は大学を卒業後、雑誌などの編集・ライティングを行う編集プロダクションで働き始めました。慌しくて、ドタバタした毎日で。徹夜が続く時期は曜日感覚がおかしくなってきますし、おでかけ本の制作に取り掛かると先々の季節の情報を取り扱うので、季節感覚もなくなってくるんです。

そんな時に、季節折々のお手紙をくれていたのが、彼女で。「新緑がきらきらとまぶしい季節に」とか、「まだまだ暑い日が多く、エアコンに頼る毎日です」とか、「こちらは雪の毎日です」とか、一行目に季節を感じられるような一言を書いてくれているんですね。

ドタバタな毎日の中で、「そうか、もうすぐ春か」「もう、誕生日やな」とふと季節や時の流れを感じられて、“今”という時間にぐっと引き戻してもらえる感じがありました。「いつもありがとう」と思いながら、彼女のお手紙を読んでいたことを思い出します。

そんな彼女のお手紙が印象深かったから。私も「桜がきれいな季節になりました」「今年の桜は早いですね」と、一行目には時候の挨拶を書くようにしています。

素敵ですね! お話をうかがって、時候の挨拶の大切さを改めて感じました。そのお友だちとは大学卒業後から今までずっとお手紙でもやりとりされているとのこと。一人ひとりいろんなライフステージを経て、さらには時代とともに多様なコミュニケーションツールが普及してきました。そんなめまぐるしい変化がある中、どうしてお手紙でのやりとりの部分も残しているのでしょうか?

春瀬さん: 彼女のほかにも、お手紙でやりとりしていた友だちがいましたが、LINEのほうが早いし、スタンプでリアクションもできるからやりとりしやすいという子も多いので、だんだんとLINEなどのツールに移行してきましたね。彼女のようにお手紙でもやりとりする友だちは、本当に数えるくらいしかいません。

彼女とのお手紙のやりとりが続いているのは、シンプルに言うと、彼女がお手紙を送ってくれるからです。

彼女は、自分の生き方というのを頑固なまでにしっかりと貫いていて。大学時代に一度、ご実家にも行かせてもらったことがあるんですけど。彼女のお母さんが暮らしの一つひとつに手間暇かけておられて。彼女もそういうことが好きで、日々の暮らしの彩り、ゆっくり、丁寧にということを大切にしているんですね。そういう生き方がお手紙にも表れていて。

彼女からのお手紙を読むと、そういったいろんなことも思い出すんですよね。

私は今も変わらず、毎日ドタバタですけど。そんな自分を顧みてね、私もちゃんと丁寧に暮らしていきたいなぁと思わせてくれて。今は特に、合理性や利便性を追求すれば、ツールやサービスを使っていろんなことができますけど。一つひとつに、手間暇かけるのも楽しいよねって。そんなことを感じさせてくれるんです。

このレターセット1つとっても、毎回異なる絵柄のもので書いてくれていますし、どれもきれいで凝ったデザインのものばかり。郵便受けの中に入っているものといえば、チラシや書類的なものがほとんどですが、そんな中で彼女からのお手紙を見つけると、ひときわ目について「きれいだなぁ」ってわくわくするんです。

私も「あの子、このレターセットを喜びそう」と思って買うことが習慣になっていて。彼女もお手紙のどこかに「このレターセットの色や柄があなたっぽかったから」と書いてくれていたりして、そういうやりとりも嬉しいし楽しいからということもありますね。

「彼女からのお手紙は、レターセットだけではなく、切手もいつもかわいらしい」と春瀬さん
日常の中で、ふと相手のことが思い浮かんで想う瞬間、いいですね。そのお手紙が手元に届くまでに、たくさんの時間、相手のことを思っているんだなぁと感じます。そのお友だちとは、会ったり、メールやLINEもしたりということで、それぞれのコミュニケーションツールをどう使い分けておられますか?

春瀬さん: あまり意識していないんですけど。急ぎの用事なら、LINEでちゃっちゃっと。LINEでは説明が長くなりそうなら、電話でとなることもありますし。写真を送りたい時はメールやLINEで。会った時は、その時にしゃべりたいことをお互いにしゃべっているという感じですね。

お手紙は「会った時にいろいろしゃべったけど、こういうことも伝えたいなぁ」など、“その後、改めて”ということを書いて送っているかもしれません。あと、かわいいレターセットを見つけた時とか、彼女に贈りたいものを見つけた時とか。日常の中でね、ふとお手紙を書きたいなと思う時があります。

そのお友だちとのお手紙のやりとりで、特に印象に残っている内容や出来事などはありますか?

春瀬さん: 彼女は結婚を機に、家族の転勤で愛媛や兵庫、広島など、いろんなところを転々としていて。引っ越して落ち着いたら、「こんな感じだよ~」と近況のお手紙と一緒に、その地域ならではのお菓子なども送ってくれていました。これは、彼女が兵庫県豊岡市で暮らしていた時かな。「家の近くに、おせんべい工場があって、そこのおせんべいがおいしかったから」と、おせんべいを同封してくれていました。

彼女の近況と一緒に、いろんな地域の様子もわかって、楽しかったですね。彼女が結婚した相手は、私の友だちでもありますから、お手紙に「また行くわ」と書いて、実際に何度か遊びに行かせてもらったことも思い出します。

あと、誕生日はもちろん、私の結婚記念日まで覚えてくれていて、その日に合わせて送ってくれたお手紙もあるんです。「お誕生日、おめでとう!」と祝ってもらう機会はあっても、結婚記念日なんて本人たち以外は覚えていないものだと思うんですね。私の親ですら、覚えていないですから。

それを覚えてくれていて、毎年お祝いのメッセージをくれるという。そのこともすごく印象に残っています。今年はLINEでメッセージをくれていましたね。

あとは、ほとんどが食べ物の話かな(笑)。「夜、学校の役員会があるので、昼間はね、気合いを入れて家事を早く終わらせるよ」とか、「夏の疲れにコラーゲンゼリーをどうぞ。凍らせてもおいしいよ」とか。

そうそう! 彼女がすごいなと思うのは、話している時も、お手紙の時もそうなんですけど。半分くらいは近況報告など自分のことを書いてくれるんですが、あとの半分くらいは私のことを聞いてくれたり、「こう思うよ」と励ましてくれたりほめてくれたり。

自分の話したいことがあったら、自分の話ばかりしてしまいがちになるものですが、どちらか一方に偏らず、その時間を半々に使ってくれたりするところに、彼女らしさを感じますね。
(2023年4月取材)

<お話をうかがって>

お手紙を読むことで、季節や時の流れを感じられる。なんて、素敵なんだろうと、時候の挨拶の大切さを改めて感じました。

メールやLINEなどは、連絡が主目的のツール。「端的に用件を」が基本かなと思っていて、時候の挨拶は省略されがちです。お手紙は、メールやLINEなどのツールが普及したおかげで、“余分なこと”を楽しめるツールになっているのかなと思います。

だから、私も以前は「自分が感じた季節のことを、自分の言葉で表現してみよう♪」「そのお手紙を受け取った相手の目の前にも一瞬、そんな風景が広がったら素敵だなあ」「もし相手が落ち込んでいる時にこのお手紙を受け取ったなら、ふとまわりに目を向けるきっかけになればいいなあ」なんて思っていたのに。

最近はついつい、お手紙でも「こんにちは! いかがお過ごしですか?」からすぐに本題に入ってしまうことが多くなっていたんです。それはきっと、季節をちゃんと感じる心の余裕を失くしたり、向き合うことを疎かにしたりしていたんだなぁということなんだと気づけました。

時候の挨拶を大切にしよう。以前のように、自分が感じている季節を表現してみることを楽しもう。そう思いました。

次回は「お手紙という形だからこそ編」。思い出深いお手紙をはじめ、「これだけはお手紙で伝えたい」「お手紙だからこそ、伝えられた」という体験についてお話をうかがいます。
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レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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