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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2020-01-22
お手紙とわたし~東久美子さん編①~
私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。4人目は東久美子さんです。

花や実、風、太陽などを彷彿とさせるアクセサリーや洋服を手づくりされたり、アフリカのローカルフードを提供するカフェイベントを開催されたり、子どもの頃から磨いてきたピアノの技術を活かし、合唱団で伴奏されたりするなど、さまざまな方法で、ご自身の世界を表現されている東さん。

「おてがみ部」(時々集まって、一緒にお手紙のある時間を楽しむ会)で、リバティ柄のかわいいハガキにお手紙を書いていた姿が印象に残っていて、東さんは日常の中でどんなふうにお手紙を楽しんでおられるのだろうと気になっていました。

また、アフリカで一時期暮らしておられたともうかがっていたので、海外でのお手紙体験などのお話もうかがえるかもしれないと、今回インタビューをお願いしました。東さんへのインタビューを4回に分けて紹介します。第1回目は「お手紙は自分とも向き合う時間編」です。
「はじめてのお手紙」といえば、いつ、誰宛でしたか?

東さん: 幼稚園か小学校低学年の時に、両親に宛ててでしょうか。絵で描いたり、お守りをつくったりして渡していたことを思い出します。

文通といえば、小学5年生の時。仲良しの友だちが転校したので、どちらからともなく、手紙を送り合うようになり、高校2年生までやりとりが続きました。

また、子どもの頃にもらった手紙で印象に残っているのは、中学2年生の時からお世話になったピアノの先生からの手紙です。教室の連絡事項を伝える手紙、娘さんのコンサートを観に行ったお礼の手紙、お中元やお歳暮のお礼の手紙などを見て、達筆で美しい文字、丁寧な言葉使いで、「すごいなあ」と。

先生の手紙に憧れ、私も何かを書く時、先生の言葉使いなどを参考にして書いていました。

大人になってからはどんなふうにお手紙を楽しんでいますか?

東さん: 中学1年生から高校2年生まで在団していた合唱団で慕っていた先輩と、大学時代から20代後半まで、手紙をやりとりしていました。

定期的なやりとりではなく、先輩から出演するコンサートの案内や聴きに行ったお礼の手紙をもらい、私はその返事を書いたり書かなかったり。百貨店や雑貨屋さんでレターセットを見るのが好きだったので、かわいいものを見つけると、書きたくてうずうずして、そのタイミングで書くなど、気が向くままに書いていたように思います。

あと、大学時代の友だちと卒業後もしばらく、バースディカードを贈り合っていました。いつもはメールでやりとりしているのですが、誕生日だけは特別。これも、かわいいカードを見つけたら、送りたくなるからです(笑)。だから、バースディカードを受け取ったお礼は、メールでしていました。

そういった感じで細々とながらも、誰かと手紙をやりとりしていましたが、29歳で結婚して、西アフリカのベナン共和国で3年ほど暮らすことになった時、手紙を出さなくなってしまったんです。

ベナンでは、日本とは郵便事情が異なります。公共より民間の郵便配達のほうが確実だったり、個人ではなく私書箱形式の配達だったりするため、必要時にしか、郵便を利用しなくなりました。
最近はどんな時にお手紙を書いていますか?

東さん: ベナンで同時期に暮らしていて仲良くなった友だちと、子どもの誕生日にプレゼントを贈り合うようになりました。

彼女は絵を描くことが好きで、ベナン在住中には「家族でスペイン旅行に行く」と話したら、彼女はスペイン留学経験者でスペイン語ができるので、イラスト付きの「スペイン語ガイド」をつくってくれたことがありました。

そんな彼女らしい得意を活かして、プレゼントにもイラスト入りの手紙を添えてくれていたので、その返事を書くようになったんです。お互いに手紙で近況や家族のことなどを報告し合っていました。

この数年はお互いに忙しくなってきて、やりとりは止まっています。なので、最近は手紙を書く頻度が減っているんです。手紙を書くといえば、コンサートで渡すお花や差し入れに添えるカードくらいで、あとはラインでのやりとりがほとんど。

改めて考えると、手紙に書いていたような、たとえば「最近はこんな毎日です」「こんなことに悩んでいます」といった内容は、ラインではやりとりできていないと気づきました。ラインは基本、連絡のツールだからでしょうか。

ラインでは軽い悩みは送れても、それ以上は送りにくいなあと思います。

また、近況については、今はSNSがあるので、そこに投稿してコメントでやりとりするからかもしれません。私も、フェイスブックで相手の近況を知ることが多く、それで知って満足してしまいます。でも、SNSは複数人に向けて発信するものだから、深い内容は書けないんですよね。

もしかしたら、ラインやSNSを使うようになってから、やりとりも関係性も希薄になってきているのかもしれないと思いました。

どうして、ラインやSNSの場合、やりとりや関係性が希薄になってきているかもしれないと思ったのですか?

東さん: ラインは思いついたことをパパッと打つことができ、そのまま送ることができます。

一方で、手紙はレターセットを用意するところから始まって、手間のかかるものです。「手紙を書こう」と意気込んで書くからか、気持ちがぐっと入り込む感じがします。

ふと思い出したんですが、私の結婚式の時、母が手紙を書いて読んでくれました。幹事の子が企画したサプライズで、母も「手紙を書いて」とお願いされたことで、私が小さい時から遡って思い出し、気持ちや想いを言葉にしてくれたようです。そんな母からのメッセージに、すごく感激したことを覚えています。

先ほど「手紙になら悩み事も書けていた」と話しましたが、悩み事を書くつもりがなくても、書いているうちに出てきたのかなあと思います。手紙は、相手に向けて書いているのだけれども、「こうかな」「ああかな」と自分の気持ちや想いとも照らし合わせながら書いている感覚があるからです。

自分自身と向き合うことにもつながっているのではないでしょうか。時に「自分の中にある、自分でも気づいていなかった気持ち」に気づける1つの手段にもなっているのではないかなあと思いました。
(2019年9月取材)
※お話をうかがって

東さんがおっしゃっていた「手紙を書くことは、自分自身と向き合うことにつながっている」ということを、私も思います。

会話やラインなどでは「楽しかった」「おもしろかった」という一言でも、空気感や臨場感などもあって、相手と共有できた気持ちになれますが、手紙で文字として書いてみると、「楽しかった」「おもしろかった」という一言と、自分の気持ちとの間に、何かかい離したものを感じることがあります。

文字という形になることで、距離を少し置けるからでしょうか。相手に届くまでに、時間も置けるからでしょうか。

本当に「楽しかった」という言葉でいいの? 「楽しかった」とはまた違う気がする。 何が「楽しかった」の? など、相手に伝える前に、自分自身への問いかけが生まれてきます。それをぽつりぽつりとでも言葉にしていくことで、「ああ、私、こんなことを思っていたんだ」「あの気持ちは、こんな気持ちだったんだな」と思えることがありました。

手紙を書く時間は、相手との関係性ややりとりの中で、自分自身についても、たちどまって見つめ直す機会にもなるんだと思います。

次回は「想像のきっかけに編」として、東さんが以前、西アフリカのブルキナファソという国に暮らす子と手紙をやりとりしていた時のお話をうかがいます。
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レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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