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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2019-03-22
お手紙とわたし~魚野みどりさん編③~
私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。3人目は魚野みどりさんです。お手紙の思い出や楽しみ方などについてうかがったインタビューを4回に分けて紹介しています。

「家族との思い出編」「旅先から自分宛のお手紙編」とお話をうかがってきて、第3回目となる今回は「お手紙はアート編」です。

現在は業務連絡の手紙がほとんどという魚野さんですが、まるでアートのようにお手紙づくりを楽しんでおられます。そのお話をうかがいました。
現在は日常でどんなふうにお手紙を楽しんでおられますか?

魚野さん: 筆不精なんです。業務連絡の手紙ならちゃっちゃと書けるんですが、愛情を持つほどに遅くなってしまう。学生時代の友だちとのやりとりも、友だちから7通届いて、ようやく1通を返すというペースなんです。

だから、日常の中でよく書く手紙といえば、業務連絡用がほとんど。写真やチケットを送ったり、母から「梅のつけ方をプリントアウトして送って」と頼まれたものを送ったり、あとは相手との連絡手段が手紙のみの場合は手紙で返したりしています。

文房具好きですから、作家さんのレターセットやポストカードを持っていますが、コレクション用だから使うことはありません。あまりにも好きすぎて使えないんです(笑)。

だから、日常で手紙を書く時はコピー用紙や包装紙など家にあるものを活用しています。

コピー用紙に、丸や三角といったシンプルな形のハンコを押して絵柄にしたり、包装紙のかわいいところを切り取って貼ったり。気分次第で絵を描いてみたり、書道を習い始めたから筆で書いたりすることもあります。

その時に目に付いた素材で、その時の気分に応じて、パパパっと便箋も、封筒も即席でつくってしまいます。

そのほうが写真やチケット、本などその時に送るもののサイズに合わせてつくれますし、手紙も書き始めてみたら止まらないこともあるから、既存のレターセットを使うよりも気兼ねなく、何枚でも書けます。

その時に送りたいものに合うサイズ、その時の気分に合う手紙がつくれるんです。

↑コラージュで使う、スタンプいろいろ

↑魚野さんがコレクションしている紙モノ。「あまりにも好きすぎて使えない」と魚野さんは笑う
「業務連絡の手紙がほとんど」ということで、意外でした。魚野さんから届くお手紙はコラージュされていて、センスが素敵と思っています。既成のものではなく、そういうふうに手づくりされているからなんですね。

魚野さん: 以前、インテリアデザインやテレビ番組等のフリップ、テロップ制作の仕事をしていたからでしょうか。「ここを丸く切るだけでもかわいく仕上がる」「赤い紙だから、銀色のスタンプを押したらいい感じ」「クレヨンの緑色がないから、この雑誌のこの部分をかわりに使おう」など瞬時にひらめきます。

必要なストックは、日々用意しています。日常の中では、DMや包装紙、雑誌、カレンダーなどさまざまな紙モノを見かけますよね。それらを見て「これはかわいい」「こうして使えそう」とひらめいたら残しておくんです。

たとえば、今使っているカレンダーはロールケーキやロールパンなど描かれていてかわいいので、イラストの部分は切り取って残しておく。

家にカレンダーが1つではなくてたくさんあるのも、イラストの部分を活用できるからです。封筒や便箋をコラージュする時、このイラストがぽんとあるだけで印象が変わりますよね。

あと、観光マップも使い道がいろいろあります。特にイラストマップの場合は、絵がかわいいですし、文字も切り貼りして使うことができるんです。どこかに出かけると、そのまちの観光マップを入手してしまいます。

素材をそのまま使うと、「これ、あそこの包装紙やん」と思われるから、自分なりの色付けは必須。ハンコを押したり、絵柄を貼ったり、マスキングテープを貼ったり。かっこよく言えば、私にとって「紙は画材」なんです。

↑魚野さんは月1回、書道を習い始めたそうで、筆でお手紙を書くこともあるとのこと
「紙は画材」、素敵です。魚野さんのお手紙は本当にアートみたいですね。

魚野さん: 雑食なので、今みたいにコラージュすることもあれば、絵を描いたり書を書いたりと、さまざまな表現を楽しんでいます。手紙の場合は「生活芸術」みたいな感じで、その時にあるもので、その時の気分に合わせてつくることがおもしろい。

こういう手紙のつくり方をするようになったきっかけは、大学時代に教わった嶋本昭三先生の影響かもしれません。先生は「メールアート」といって、「手紙でアートを届ける」ということをされていて、本物のスルメに切手を貼って送るなど、「え!これをポストに投函していいの?届くの?」ということをやっておられました。

講義の中で、スナック菓子の袋、個包装された顆粒のビタミン剤がつながったもの、棒付きの大きなべっこう飴といった明らかに定型外のものに切手を貼って送ったり、本を一切何にも包まずにそのまま住所を書いて送ってみたりと、みんなでおもしろいことをいっぱい考えて実験したことがありました。それらすべて、ちゃんと届いたんですね。

そのほかにも、石鹸を削った粉をハトロン紙で包んで、少し湿らせて乾かしたものを入れて、匂いを届けたこともありました。

形、質感、匂いなど、一言で「手紙」と言っても、ものの伝え方はいろいろあるんだという実感が今につながっています。

↑大学時代に「メールアート」の講義で使用していたという教科書

(2018年9月取材)
※お話をうかがって

魚野さんが以前、「お手紙は封筒も含めて全体で贈り物のよう」とお話されていたことを思い出しました。

魚野さんから届くお手紙は、どれもまるで贈り物のように素敵にラッピングされています。「紙は画材」、自分の身のまわりにあるものを使って、絵を描くようにつくっておられたのだと知って、納得&ときめきました。

その根っこには、魚野さんが大学時代に「お手紙でアートを届ける」という「メールアート」の講義を受講された時のさまざまな経験があります。

形、質感、匂い・・・お話をうかがっていると、「お手紙とはこういうもの」という既成概念がなくなります。私ももっと自由にお手紙を楽しみたいと思いました。

次回は「ひとり言みたいなお手紙編」として、お手紙といえば業務連絡用がほとんどという魚野さんが最近、書くようになったという「まるでひとり言みたいなお手紙」についてお話をうかがいました。
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レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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