HOME  前のページへ戻る

ガードナー 瑞穂 英会話講師エージェント 英会話アルテミス
アメリカ人の夫と今年で国際結婚生活11年目。2児の母。フロリダ ディズニーワールドにて勤務4年。日本へ帰国後、生まれ育った関西北摂地域で英会話講師のエージェントの仕事の傍らイラストレーターとして活動中。母として、働く女性として、アーティストとして3つの視線から書き綴る心のコラム。
いつも心に太陽を ライフスタイル 2016-11-16
One man's trash is another man's treasure
私の住んでいる家の向かいに大きな老人ホームがあり、
先日そこでバザーが開催されるとチラシが入っていたので子供達と出かけました。

陶器や古着や贈答品のタオルなどが売ってある中に、私は宝物を見つけました。
周りの雑音が消え、細い目は倍以上に見開き、大きく息をのみました。

「オーマーゴット!」
イギリス製の高級水彩画用紙の大きなスケッチブック8冊が
全て100円のシールが貼られて売られているではありませんか。

定価なら紙一枚が800円はする高級紙のスケッチブック。
学生時代から画材屋さんでにらめっこすることはあれど、
購入することは一度もなかった、私にとっては手の届かない憧れの品物でした。

誰かに追われてでもいるかのように、
素早く全てのスケッチブックをかき集め、お金を払い、
「オモチャが売ってなかったよ!もうっ!」と口を尖らして怒る息子の言葉は右から左で
「こんな素晴らしいバザーは今までになかったね!史上最高のバザー!」
と一人で大きな独り言を言いながら上機嫌で帰宅しました。

早速その紙に絵を描いてみると、絵の具を吸収スピードがとても早く、
今まで使っていた安い水彩用紙と全く違うことに驚嘆しました。

色の発色も鮮やかで、同じ絵の具を使っても、
紙の質でこんなに出来上がりが変わるものなのか、と
初めての発見があり感動しました。

そして自分の本棚に8冊もの高級スケッチブックがあると思うだけで、
部屋に入り、それらが目に入るたびに嬉しくてニヤけてしまいます。

まさにこれは
"One man's trash is another man's treasure".
『ある人にとってはゴミ、他の人にとってはそれは宝物』です。

買ったスケッチブックは新古品で使われてはいなかったのですが、
一冊のスケッチブックの内表紙に大きく女性の名前が書いてありました。

その名前を指でなぞりながら、
このスケッチブックの持ち主だった女性について
誰か使う人がいたらとバザーに出品された経緯など色々想像していました。

アメリカに住んでいた頃は、週末は毎週のように
近所でヤードセールやガラージセールが行われていました。
それぞれの家の庭や車庫のスペースを使って、要らない物を売っているのです。

近所の電柱や道などに、「ヤードセール:〇時から〇時までやっています」
と何枚もチラシや立て看板があり、
その矢印を追ってゆくとその家に着くようになっています。

家具や古着やインテリア用品など、もう使わなくなった物を庭に沢山広げて
半日ほど家の前に椅子を置いて座り、釣りをするかのように物を売っていました。

私は近所でヤードセールの看板を見つけるとよく覗きにいっていました。
私の持っていたバックと売っていた壷と交換してくれと言われて
断るのに大苦戦したこともありましたし、
売られていた映画のビデオテープを買って、
黒澤映画の話で盛り上がって仲良くなって
一緒にビールを飲んでほろ酔いで帰ったこともありました。

日本に帰国する前には、ヤードセールで本以外の全ての家財道具を売り払いました。
日本に送るより日本で新しい物を全て買いそろえた方が断然安いからです。

本だけはどうしても夫が手放せないというので日本に送ることにしました。
本だけでも海外からの引っ越しはお金がかかります。
段ボール箱30箱はありましたから。

頭では解っていても、
今まで大切に一緒に暮らしてきた物達を全て値段を付けて手放す時には
自分の体が一部切り取られてしまうような大きな喪失感がありました、

ヤードセールで、夫の大切に育てていた盆栽をたくさん売っていたら、
昨日刑務所から出て来たという男の人が偶然トラックで通りかかり
「やっと自由の身になったから、ちょうど記念に庭に木を植えたいと考えていたんだ」
といって盆栽を全て買って行ってくれました。

小さく浅い鉢でワイヤーを巻かれたり、
引っ張られたりされて息苦しく暮らしていた盆栽達が
大地に根を張ってのびのびとこれから生きてゆくのかと思うと、
私はとても嬉しかった。

人と人とがそうであるように、物と人も、
深いところでお互いを呼び合って、巡り会うことができるのではないか、
と神秘的に思うことがあります。

物には願う力があるのではないかと思うのです。

息子によく言うのですが、
「おもちゃをちゃんとお片付けして大切にしてあげないと、
もっと愛して使ってくれる他の子供のところを探しに行ってしまうんだからね」

お片づけのしつけのために言っている言葉ですが、
私自身、そういうことは現実におこりえると密かに信じているのです。

自分をもっと尊敬して大切にしてくれる人のところで暮らしたい。
自分を100%生かせるところに行き使われたい!と、
物は強く願うことで、人間をあやつっているのではないかと思うのです。

急に部屋を片付け、物を処分したくなったり、
偶然、待合室で手にした雑誌の断捨離の特集に強く触発されたりするのも
実は自分の使わなくなった物が新しいオーナーに会いたい!と
念を送って祈っているからなのかもしれません。

そう考えると物との出会いや別れが、なんだか愉快に思えてきます。

私は毎日のように朝ゴミ捨てに行って、
いかに自分が買い物の時にゴミを家に持ち込んでいるののかと実感します。

過剰包装のパッケージ、すぐ壊れてしまう物、不燃物のプラスチック、
山のようにポストに入っている宣伝のチラシ、
そしてまだ使えるけれどもう使わなくなった物の数々。

毎日のように私は必死になって物を買い、家に持ち込み、
毎日必死にゴミを出しにゆく。
このサイクルに、一体自分は何をやっているのかとバカらしく思える時があります。

最近はできるだけゴミを減らすことを意識しています。
物を購入する際には
「want」欲しいだけなのか、「need」必要なのなのか。
「want」だけなら買わない。
これがなくても、私の人生大して変わらず生きてゆけるなら買わなくていいや。
購入前に冷静になってワンクッションおいて考えるようになってから、
衝動買いの量は激減しました。

そしてまだ使えるものは、簡単に捨ててしまうのではなく、
彼らの願いを聞き入れるべく、次のオーナーに出会える手伝いをしてやっています​。

私の8冊のスケッチブックのように、
誰かを笑顔にさせることにできる『宝物』になれるかもしれないのだから。
 

(イラスト:ガードナー瑞穂 http://www.mizuho-gardner.com/
英会話アルテミス
豊中と箕面のカフェで習うマンツーマン英会話
・お洒落なカフェレッスン
・レッスンは毎回払い
http://www.eikaiwa-artemis.com/


 

ガードナー 瑞穂  いつも心に太陽を  コラム一覧>>
ライフスタイル
サンタクロースになる日
ライフスタイル
make over magic
おすすめのコラム
ライフスタイル new
映画「オッペンハイマー」
バックスター ルミ
バイリンガルライフコ…
RumiBaxter
ライフスタイル
いろイロな表現「バースデーカード~その3~」編
小森 利絵
フリーライター
えんを描く
ライフスタイル
新芽
バックスター ルミ
バイリンガルライフコ…
RumiBaxter
コラムのジャンル一覧



@kansaiwoman

参加者募集中
イベント&セミナー一覧
関西ウーマンたちの
コラム一覧
BookReview
千波留の本棚
チェリスト植木美帆の
[心に響く本]
橋本信子先生の
[おすすめの一冊]
絵本専門士 谷津いくこの
[大人も楽しめる洋書の絵本]
小さな絵本屋さんRiRE
[女性におすすめの絵本]
手紙を書こう!
『おてがみぃと』
本好きトークの会
『ブックカフェ』
絵本好きトークの会
『絵本カフェ』
手紙の小箱
海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
海外暮らしの関西ウーマン(台湾)
海外暮らしの関西ウーマン(イタリア)
関西の企業で働く
「キャリア女性インタビュー」
関西ウーマンインタビュー
(社会事業家編)
関西ウーマンインタビュー
(ドクター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性経営者編)
関西ウーマンインタビュー
(アカデミック編)
関西ウーマンインタビュー
(女性士業編)
関西ウーマンインタビュー
(農業編)
関西ウーマンインタビュー
(アーティスト編)
関西ウーマンインタビュー
(美術・芸術編)
関西ウーマンインタビュー
(ものづくり職人編)
関西ウーマンインタビュー
(クリエイター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性起業家編)
関西ウーマンインタビュー
(作家編)
関西ウーマンインタビュー
(リトルプレス発行人編)
関西ウーマンインタビュー
(寺社仏閣編)
関西ウーマンインタビュー
(スポーツ編)
関西ウーマンインタビュー
(学芸員編)
先輩ウーマンインタビュー
お教室&レッスン
先生インタビュー
「私のサロン」
オーナーインタビュー
「私のお店」
オーナーインタビュー
なかむらのり子の
関西の舞台芸術を彩る女性たち
なかむらのり子の
関西マスコミ・広報女史インタビュー
中村純の出会った
関西出版界に生きる女性たち
中島未月の
関西・祈りをめぐる物語
まえだ真悠子の
関西のウェディング業界で輝く女性たち
シネマカフェ
知りたかった健康のお話
『こころカラダ茶論』
取材&執筆にチャレンジ
「わたし企画」募集
関西女性のブログ
最新記事一覧
instagram
facebook
関西ウーマン
PRO検索

■ご利用ガイド




HOME