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ガードナー 瑞穂 英会話講師エージェント 英会話アルテミス アメリカ人の夫と今年で国際結婚生活11年目。2児の母。フロリダ ディズニーワールドにて勤務4年。日本へ帰国後、生まれ育った関西北摂地域で英会話講師のエージェントの仕事の傍らイラストレーターとして活動中。母として、働く女性として、アーティストとして3つの視線から書き綴る心のコラム。 |
サンタクロースになる日 |
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家の近所に毎朝50mほど続く歩道を、何時間もかけて掃除しているおじいさんがいます。今の季節は集めても集めても、振り返ればヒラヒラと落ちてくる落ち葉を根気よく集めています。 その道を通りかかるたびに息子はおじいさんに、「僕の友達!おはよう!」と叫びながら駆け走っていき、娘はベビーカーが左右にガタガタと揺れるほど勢い良く手を振り、満面の笑顔で挨拶をします。 「おはよう!また大きくなったなぁ!」 「おたくはクリスマスと正月どっちをするの?」 「クリスマスです」 「そうなんか。そうやったら色々準備せなあかんから大変やな。今日は寒いから風邪引いたらあかんぞ」 と言って、手袋を外して子供達の頭とほっぺたを撫ぜてくれます。 そうして一通り撫ぜてもらうと、子供達は満足した様子で、少しぶっきらぼうに「じゃあね、バイバイ!」と言って「ビューン!」と言いながら振り返らずに走ってゆきます。 私は息子に、「このおじいさんは毎朝こうやって色んな通りかかる人に話しかけて、子供達の成長を見守って、奥さんの介護もして、本当に素敵な人ね。おじいさんの自分の時間も労力も使って、皆が通る道をきれいにしている。サンタさんはきっとあのおじいさんみたいな人だと思うわ、どう思う?」と話しかけると、 「僕はねサンタさんにオモチャのチワワをもらうんだ!持って来てくれるかな?」と返事が返ってきました。 そしてそう、おじいさんの言うとおり、大変なクリスマスシーズンの到来。毎年この季節はクリスマスパーテイーや我が家のクリスマスの準備で大忙しです。 アメリカ人の夫のクリスマスへの情熱は凄まじく、この季節だけは日頃は倹約家の彼も人が変わったかのように、お財布がすっからかんになるまでたくさんのプレゼントを買いまくります。 プレゼントの包装と置き方のルールも細かくたくさんあります。例えば、子供達にのプレゼントは一つにまとめて包装しないで、靴下もワンセットづつ別々に包装する。その方がたくさんプレゼントがあるように感じるし、一つずつ開けてゆく楽しみが増えるから。 包装したら、宛名と送り主の名前をプレゼントの上に張る。家族や友人からのクリスマスの贈り物は、ツリーの木の下にドンドンおいてゆき、クリスマスイブの夜もしくはクリスマスの朝に家族そろって一つづ開封する。とても気になるけれどその日までは決して開封してはいけない。 サンタクロースからのプレゼントは、家族からのプレゼントと同じラッピング用紙とリボンは絶対に使ってはいけない。宛名の文字は筆跡を変えて書く。何故なら夫が子供の頃、サンタさんからのプレゼントと家族からのプレゼントのラッピング用紙が同じだったから、サンタクロースがいないことに気がついてしまったので、これについてはとても慎重に取り組まねばいけない。 そして、プレゼントを購入するところを、家族や子供達に決して見られたり気がつかれたりしてはいけない。 こう書き出してみると、まるで007のジエームスボンドになったような、とても重要なシークレットミッションを背負って生きているかのような気持ちになってきました。 この季節、アメリカ人にとって一番楽しい季節であると同時に、たくさん計画することが多すぎて、出費もかさみ、ストレスが絶頂に達する季節であるというのもとても良くわかります。 私の夫が特にクリスマス好きかと言えばそうではなく、まだこれでも他のアメリカ人と比べると落ちついている方で、今頃アメリカでは、皆この人よりもっと張り切ってクリスマスの準備をしているのかと想像すると、それがまたカルチャーショックでもあり、別世界を覗くような驚きでもあります。 夫のお母さんは一年かけて、いろんな人へのプレゼントをクローゼットにたくさん集めていましたし、金融機関などでお金を借金してまで、家族や友人達にクリスマスプレゼントを買う人達もたくさんいます。 何故アメリカ人はクリスマスには皆そんなに必死になって、プレゼントを送り合うのでしょうか? クリスマスとは the sprit of giving(与える魂)、 Christmas is about the sprit of giving (クリスマスの与える精神) 共に分け合う、多く持っている者が不足している者へ与える。クリスマスとはそういう日であると、サンデースクールや家族との思いでなど幼少時代から皆の心に中に刷り込まれているからだと思います。 me me me !という自己損得勘定、エゴを捨てて、見返りを求めず、誰かのために誰かを喜ばせるために使う日。それが彼らにとってのクリスマス魂なのです。 日本には、クリスマスツリーやクリスマスデコレーション、サンタクロースなど、外側のコーティングは輸入されてきているものの、この一番大切な中身の核の部分、クリスマス魂は輸入されていないなと思うのです。 これこそ私達日本人もクリスマスにじっくり味わいたい。心を幸で満たすことが出来るクリスマスの魔法であると私は思います。 もちろん、欲望のあるがままに自分の欲しい物を買うショッピングは楽しいけれど、幸せの持続性は至って短く、時に空虚な気持ちなったり、自己嫌悪に陥りさえすることもあります。しかし、誰かへのプレゼントを探す買い物の幸福感は持続性も満足感も高い。 相手がプレゼントを開封して喜ぶ顔を想像すること、そしてその瞬間をにやにやしながら見物する時、プレゼントを探すことがどんなに苦労したかと話し笑い合い、相手に感謝し感謝される。自分も相手もの心を幸せいっぱいに満たしてくれます。 こう考えてみると、プレゼントをもらうよりあげる人の方が断然幸福感を多く感じることが出来ると私は思います。 そしてクリスマスのもう一つの魔法は、クリスマスをを理由に人の心に一歩踏みよる勇気を持つことが出来るということです。 いつもは何故だか恥ずかしくて、怖くて言えなかったことや出来なかったことも、何故なら今日はクリスマスクリスマスだからと、頼りない背中をポンと押してくれる日でもあります。 いつもはボランティア活動をしない人も賛美歌を老人ホームで歌ったり、炊き出しに参加したり、いつもは挨拶を交わさない近所の人に、作りすぎてしまったことを口実にクッキーを持っていって初めて会話し仲良くなれたり。 喧嘩して以来音信不通だった相手から突然メリークリスマスといって電話がかかってきたり、皆が心に引っかかっていて、ずっとやりたかったことを実行に移せるミラクルなパワーを秘めたった日、クリスマスはそんな素敵な日なのです。 私もサンタクロースの魂を胸に、今年のクリスマスシーズンは色んな人を喜ばせたいと考えています。家族でも友人でも全く通りかかりの知らない人にでも、相手は誰だっていい。一番真っ暗で寒いこの季節に、優しさを与えたい。 春へ続く一筋の希望の光のような、誰もが誰かのサンタクロースになれる日それがクリスマス。 相手の驚いた顔、パッと輝いた顔を想像してみたら、もうそれだけでも心がわくわく生き生きと、自分の心が瑞々しく踊り始めるのを感じます。 |
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小森 利絵 フリーライター えんを描く |
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