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ガードナー 瑞穂 英会話講師エージェント 英会話アルテミス
アメリカ人の夫と今年で国際結婚生活11年目。2児の母。フロリダ ディズニーワールドにて勤務4年。日本へ帰国後、生まれ育った関西北摂地域で英会話講師のエージェントの仕事の傍らイラストレーターとして活動中。母として、働く女性として、アーティストとして3つの視線から書き綴る心のコラム。
いつも心に太陽を ライフスタイル 2016-04-20
私もいつか桜の木の下で
年末から私は歯医者に通っています。
はじめはそれが嫌だったのですが、
子供達と仕事と家事に追われる毎日の中で
この歯医者の診察椅子に座って治療を待っている時ほど
心落ち着く静かなときはないなと、
歯が悪くなったことも必然かなと思うになりました。

「もう!こんなにも雨が降ったらせっかくの桜が散ってしまいますね、雨のバカ」
と歯医者さんの若いアシスタントの女の子に話しかけられ
「でも桜は命はかなく散ってしまうからこそ美しいでしょうね」と答え、
2人で雨と強風にうたれる桜をじっと見つめていました。

夫が仕事から帰って来て、
「今日の朝バスの中から見た桜の光景は素晴らしかったよ、
おじいさんがウォーカーで体を支えながら桜の木の下をゆっくりと歩いて、
そこに風が吹いて桜の花びらがおじいさんの周りに舞い散っていたんだ。
それが実に美しいんだ。

わかるかな?何故それがそんなにも美しいのか?
僕は舞落ちる桜を見上げるおじいさんの視線でいろいろと想像したんだ。
きっとこれが最後の桜になるかもしれないって思ってるんじゃないだろか?
このおじいさんは今までにこの桜の季節を何度体験したのだろうな?

おじいさんが生きて来た長い人生の中の思い出が
桜とシンクロして走馬灯のように過去の記憶が鮮やかに蘇り思いを馳せるんだ。
ああ、老人と桜ってなんて美しいのだろうね」
と話してくれました。

The only  constant thing in life is change.
人生で確実な事は、変化し続けることだ
この世に変化しないものなど何一つもないのです。

私に子供がいないころは、
子供は2歳が一番可愛いから大きくならないで、
ずっと2歳のまんまだったら良いのにね!
なんて事を言っていましたが、
今子供を持ってみて子供はドンドン成長して頂かないと、
こっちの身が持ちませんと思うようになりました。

でも息子の1年前の写真を見ると、
あの2歳の赤ちゃん言葉を話していた子はどこへ行ってしまったんだろう?と
心が時の流れの早さについてゆけず、悲しく寂しく感じる事があります。

子供は毎日成長してゆき、親も毎日年を取ってゆく。
沢山の物を得て、多くの物を失ってゆく
そして最後には私の体も桜の花びらのように散ってゆく運命にある
だからこそ人生は愛おしく美しい。

『The Runaway Bunny』という絵本を息子が気に入っていて今毎晩寝る前に読んでします。
息子はその本のお話を真似して、自分の思うようにいかかないときなど、
親の心を試すように
「僕はもうこの家から逃げちゃうからね、お母さんから逃げていっちゃうんから」
と言うようになりました。

そういわれると
「何処に逃げてもだめよ!追いかけてどんなとこでも見つけ出してつまかえるわ」
と絵本の中の母ウサギと同じように答えます。

でも時々「解ったよ、じゃあね!バイバイ」と答える時もあり
そう言われると息子は
「追いかけて来てよー、僕の事好きじゃないの?ウエーン」
と大泣きが始まります。

ある日また息子の逃げちゃうぞ!が始まった時に
夫がこう息子に言っていました。

「今はまだエィデンが小さい子供から追いかけるけど、
でもいつか青年に成長してやりたい事を見つけて
家を出て行く時にはおとうさんは追いかけないよ。

もちろん離ればなれになるのはとても悲しいけど、
好きな事を見つけたのだからおとうさんはとても嬉しい。
でも時々はお母さんとおとうさんに会いにいに来てね」と。

「はーい」と意味の解らぬまま元気よく答える息子。

そんな別れの日はいつかやってきます。
小さくなってゆく息子の後ろ姿を追いかける事なく見送る日は訪れるのです。

そう思うと、今公園で、町中で
あっかんべーをして私から逃げ回る息子を必死で追いかける事も
これはずっと続く事ではないんだなぁと思います。

万博公園駅前に日本最大の観覧車を作っていて、
息子と見るたびに大きくなってゆく観覧車を観察しながら完成を楽しみにしています。
観覧車はまるで上がったり下がったりする運命の糸紬の車輪のようです。

予期せぬ出会いや別れがあり、
想像もしなかった新しい展開の方へ押し出されたり
私の去年1年を振り返ってみても、思いがけない変化が沢山ありしました。

このくるくる回り変化する運命の大車輪の乗りこなす上で一番大切なことは、
車輪が上って大喜びしているときも
下に落ちてずっと倒れていたいほどのダメージを受けているときも
上ってってゆく事に夢中で周りが見えなくなっているときも、
降りてゆく過程で終わりを受け入れたくないときも

いつも心は冷静に車輪の真ん中に乗るようにして、
中心からから上り下がりをじっくり観察することだと思います。

私もいつかおばあさんになり、桜を眺めながら今までの人生を振り返り
That was a good ride!楽しかったなぁ!と桜と話しをする。
そんな未来を想像すると、老いる事も悪くない、失う事も悲しくもなく、
いずれ散りゆく運命もなんて美しいんだろうと感じます。

桜とはつまり年に一度、語り合う事の出来る、
子供のころからの親友のような存在なんだなと
だから桜はこの世の物とは思えないほどに幻想的で、
人々の心を神秘的に魅了するのだと思います。

歯医者の診査椅子に座り窓から、雨に打たれる桜を眺めながら
私はそんなことを考えていました。

 
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