Life Story by Virginia Lee Burton
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![]() 人生を変えるパワーを持つ絵本 Life Story
by Virginia Lee Burton ”Life Story”(『せいめいのれきし』)は、1963年に出版され、今も世界中で読まれているロングセラーの絵本です。
バージニア・リー・バートンは、『ちいさいおうち』で有名ですが、この絵本が最後の作品です。 アメリカ自然史博物館に通い、スケッチをしたり、調査を重ねたりして、8年をかけて制作されました。太陽が生まれてから現在までを、お芝居仕立てでやさしく描いていますが、70ページもあり、情報も多く、読み応えがあります。 出版時から半世紀近く経った2009年、研究や発見で明らかになった情報を元に、改訂版が出されました。イラストはほとんど変更されていませんが、数字やいきものの名前などが修正されています。タイトルの文字は、オリジナル版の方が素敵ですね! ![]() 約46億年前、地球が生まれました。プロローグでは、真っ赤で灼熱の地球が、だんだん冷えていき、まわりを覆っていた厚い雲が晴れ、太陽の光が届くようになり、雨が降り、海ができて、いきものが生まれるまでが描かれています。
第1幕は、古生代です。原始のいきもの、微生物からの進化と多様化がシーンごとに描かれています。やがて地球は緑に覆われ、地上にあがるいきものが現れました。 第2幕は、中生代、恐竜と爬虫類の時代です。いきものは巨大化していきます。約2億5200万年前から、巨大な隕石が地球に落下して、多くのいきものが絶滅してしまう6600万年前まで続きます。 第3幕は、新生代の始めから、人間が誕生するまでです。鳥類と哺乳類の時代です。動物たちの祖先が登場し、特に馬の進化が、ページごとに分かりやすく描かれています。 第4幕は、人間の時代です。洞窟で暮らし、壁画を描いているところから、農業をし、家畜を飼い、家を建てて暮らすまでの変化が描かれています。 第5幕は、バージニア・リー・バートン自身の、北アメリカでの生活です。『ちいさいおうち』のような家での暮らしの四季や、時間の移り変わりが、暖かく描かれています。 人間の時代に入ったあと、技術の進歩や戦争などは描かれていません。自動車も飛行機もビル群もない、田舎の平和な暮らしが描かれています。 地球の長い歴史、いきものの長い歴史のうち、人間の時代はとても短く、ホモ・サピエンスの誕生は約20万年前です。恐竜は、約1億6000万年の間繁栄したそうなので、人間の繁栄の短さが感じられます。 最後には、これからはあなたの時代で、あなたが主役なのだと書かれています。宇宙や地球の長い歴史は、すべてが今の私たちにつながっているのだと思うと、不思議な気分になりますね。 日本語版『せいめいのれきし』の改訂版を監修した真鍋 真さんの『深読み!絵本『せいめいのれきし』』を読むと、バージニア・リー・バートンのイラストが、細かいところまで拘って科学的に描かれていることが分かります。 ![]() 恐竜博士である真鍋さんは、子どものころこの絵本が大好きでした。真鍋さんの他にも、この絵本がきっかけで、科学の道に進んだ方も多くいらっしゃるそうです。人生を変えるパワーを持つ絵本ですね。
Life Story
by Virginia Lee Burton Publisher: Harpercollins Publishers ![]() 谷津 いくこ
絵本専門士 絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。 StoryPlace HP:http://www.storyplace.jp Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/ |
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