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Everybody Needs a Rock by Byrd Baylor with pictures by Peter Parnail

自分の特別な石

Everybody Needs a Rock
by Byrd Baylor with pictures by Peter Parnail
”Everybody needs a rock.
I’m sorry for kids who don’t have a rock for a friend.”
「すべてのひとに、石が必要。友達の石を持っていない子どもはかわいそう。」どうして?と思いますが、読んでいくうちに、石が欲しくなってきます。この絵本は、自分の石を見つける10のルールを紹介してくれます。

イラストも不思議な雰囲気です。表紙では、石の中にまた別の世界があって、女の子が石を手のひらにのせて、瞑想しているよう。中身も、白、黒、茶色のみのシンプルなペン画で、広がりのある世界が表現されています。ぱっと見た印象では、心惹かれなかったのですが、意外なことに、魅了されました。

自分の特別な石は、なぜ特別なのかを他人に説明する必要もないし、理解してもらう必要もありません。

誰にも知らせずに、静かな中で探します。座って、頭が地面につくくらい、体を折り曲げて、石を見ます。大きすぎても小さすぎてもだめ。色も大事ですが、形は好みによります。匂いも大切……

そういえば、子どものころには、石や貝殻を集めていたっけ。さっそく、旅先で石を拾いましたが、匂いはわからない…… 子どもの中には、匂いで石が海からきたのか、山からきたのか、わかる子がいるのだとか。残念なことに、大人には分からないのだそうです。

見つけた石は、好きなときに触れられるように、ポケットの中に入れて持ち歩きます。私はさすがに持ち歩いてはいませんが、石をさわるのは、気持ちが良いし、長い長い時間の流れを感じて、心が落ち着きます。昔から、石は、世界中で、信仰の対象でもあったのですよね。

この絵本は、1974年に出版されたロングセラーです。著者のバード・ベイラーは、昨年の6月に97才でお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。自然、とりわけ砂漠を深く愛した彼女は、日干しレンガ作りの家を建て、ほぼ電力に頼らず、30年近く暮らしていました。パソコンもプリンターもない生活です。活動家でもあり、環境保護や、メキシコからの移民へのサポートを行っていました。

ネイティブアメリカンの文化や、自然をたたえる絵本を多く残し、ピーター・パーナルとのコンビで、3冊のコールデコット賞オナーを受賞しています。

現在、静岡県にあるクレマチスの丘で、「すべてのひとに石がひつよう 目と、手でふれる世界 」の展覧会が開催されています。絵本に直接内容は関係しませんが、石でできた作品に触れることもでき、こちらもおすすめです。
Everybody Needs a Rock
by Byrd Baylor with pictures by Peter Parnail
Publisher: Prentice Hall
profile
谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
HP:http://www.storyplace.jp
Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/

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