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始まりの家(蓮見恭子 )

十人十色の人生模様

始まりの家
蓮見恭子 (著)
銀座に店を構える「ヘアーサロン宇奈月」。創業者である 宇奈月明が亡くなった後は、妻の益美が引き継いだ。

益美は一男四女の母親だ。次女の如恵と三女の文がともに美容師として店を手伝っているおかげで、出勤前、髪のセットに訪れる大勢の銀座のママたちをさばくことが出来ている。

長女の弥生は著名な女優の専属ヘアメイクアップアーティストとして活躍。長男睦は美容室を継がず、調理師免許をとって自分の店を持っている。

それぞれ手に職を持って働いているわけだが、末っ子の葉月だけは働いていない。

一回り年上の夫真吾がビューティサロンなどを多角経営する会社の二代目社長で、弥生は優雅な専業主婦なのだ。

色々とこだわりの強い真吾は、家事さえも葉月に任せず、自分がしてしまうくらいだ。

人が聞けば羨ましがるだろう生活だが、葉月はこの頃満たされない思いをしている。

同世代の友人たちにはどんどん子どもが生まれているから。実は葉月は幼い頃に手術を受け、子どもを産めなくなっていた。

真吾は子どもはいらないと言っているが、葉月はどうしても子どもが欲しくなってきた。

そして日本でも可能な代理母制度があることを知る。それは母親のお腹を借りること。思い切って、葉月は母に頼んでみた……
(蓮見恭子さん『始まりの家』の導入部分を私なりに紹介しました)
母親に代理母を頼む?!

非常にショッキングな話です。

でもずいぶん前に、実母に代理母になってもらったという症例をニュースで聞いた記憶がありました。

私自身、なかなか子どもに恵まれず、そういうニュースに敏感になっていた頃の話です。

養子縁組をすればいいと考える人もいるでしょうが、どうしても血縁を望む人もいるはずです。

特に子宮に問題があって子どもに恵まれない人が血縁を望む場合は、代理母しか方法がないことになります。

この小説は葉月、弥生、益美、睦、文、如恵と、主体を変えた短編集の形になっています。

葉月ほどショッキングなことではないにせよ、兄妹一人一人が違う悩みや問題を持っていて、つくづく人生いろいろだなと感じさせられます。

例えば弥生は、専属契約をしていた大物女優が突然行方不明になり、今後の仕事に不安を抱いているし、ヘアーサロン宇奈月を手伝っている文は、失業した夫が次の仕事も決めずにフラフラしていることにイライラしている、といった調子。

面白く読み進めることが出来ますが、途中から、この小説の主役だと思っていた葉月が実は主役ではなく、真の主人公が別にいることがわかってきます。

しかも、話が進むに連れて、衝撃的だった代理母問題や、益美が認知症の疑いがあるといった宇奈月家の現実問題が徐々に薄れ、「本当の主役」にフォーカスが移ってしまうではありませんか。

葉月の夫真吾のことも、もっと詳しく知りたいのに、途中でほったらかしになっている気がしました。

母親に代理母を頼むというセンセーショナルな始まり方に、ドキドキさせておいて、そんな終わり方なのかと、少しばかり不満を覚えましたよ。

ただ、『始まりの家』というタイトルの意味がなんとなくわかった気はします。
始まりの家
蓮見恭子 (著)
講談社
四女一男。宇奈月家の面々は、それぞれ家から独立して生活していた。そんな彼女らを激しく動揺させる出来事が起こる。子を持てない末女が母を代理母にしたいというのだ。禁忌とも思われる依頼が、宇奈月家の暗部を抉るきっかけとなる。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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