おさるとぼうしうり(エズフィール スロボドキーナ)
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![]() おとぼけ要素満載の脱力絵本 おさるとぼうしうり
エズフィール スロボドキーナ(作) 大阪で紅葉の名所といえば、個人的には、箕面の滝の風景がぱっと浮かびます。
滝の周囲に群生した紅葉と、ひんやりと澄んだ空気。山の中だから、ふかふかの腐葉土の香りも少し…してたかな?久しぶりに行ってみようかなあ。 そして私の記憶(かれこれ20年ほど前…)では、箕面の滝といえば、人や車を恐れない沢山のサル。 なかなかの存在感で記憶の中に残っていますが、ネットの記事によれば、最近はサルをそこまで見かけなくなっているんだそうですね。 8月からこっち、またちょっとバタバタしてまして、9月末のピークの頃は「落ち着いたら、どこに紅葉見に行こう?」っていう、現実逃避を脳内でやたら繰り返したりしてました(笑) そんなわけで、今回ご紹介する絵本は、紅葉…ではなくて、人間とサルの攻防?を描いた作品です(そっち?)。 帽子を売り歩くおじさんVSサルの群れ。おとぼけ要素満載のユニークな絵本です。そもそも、絵のゆるさが個人的にツボなんです。 まずもって3階建ての家ばかりが立ち並ぶ町にいて、なぜかその屋根よりおじさんが大きく描かれている。理由は不明(このおじさんが主役だよっていうアピール?)。 次に独特の行商スタイル。すまし顔で頭上にまっすぐ売り物の帽子を重ねてかぶってます。自分の帽子を含めて17個。そして帽子はまさかの一つ50円(!)。 そんなばかみたいな金額にも関わらず、この日は一つも売れないのです。町で売り歩くのをあきらめて、おじさんは田舎道へ。休むのにちょうどいい大きな木を見つけて居眠りしてしまいます。 ページをめくると、「ながいことねむりました。」という一文だけの見開きがあるんですが、このページのゆるさったら。 木もおじさんも描かれず、唐突に、チューリップとおぼしき花が1本咲いた小さな丘と、太陽がにっこり笑っている絵が添えられています(日の傾きで時間の経過を表しているつもり?)。 そんで目覚めてみたら、売り物の帽子がすっかりなくなっている!ここでサルの群れが登場。木の上で、みんなして帽子をかぶって嬉しがってます。 「帽子を返せ!」と、地上にいるおじさんが身振り手振りで喚いたり怒鳴ったりしますが、ふざけたサルたちはそれを真似して喜ぶばかり、返すわけありません。 ますますおじさんは怒ります。サルはますます喜びます。 しばらくやり取りが続いたのち、もちろん最後にはおじさんの手元に帽子が戻ってきます(じゃなきゃ終われませんので)。 どうやって?その成り行きがこの作品の一番面白いところ。ぜひ読んでニンマリしてほしいです。 あとは、無事帽子を取り戻したおじさんの、まるで何事もなかったかのような、とびきりのおすまし顔にまたクスッときておしまい。いいなあ、この感じ。 ちょっと、くたびれちゃったせいかなあ?(笑) これくらいすっとぼけた絵本で、150%くらい脱力させてもらってから、ゴキゲンな気分のまま泥のようにうんと眠りたいです。皆さんも、そんな時にぜひどうぞ。 11月半ばになったら、ひと段落。あともう一息、頑張ろうと思います。 おさるとぼうしうり
エズフィール スロボドキーナ(作) まつおかきょうこ(訳) 福音館書店 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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