えほん七十二候(白井 明大)
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![]() 季節の移ろいに思いを馳せる えほん七十二候
はるなつあきふゆ めぐるぐる 白井 明大(著)くぼあやこ(絵) あけましておめでとうございます。
年末年始のお休みは、ゆっくりとお過ごしになられましたでしょうか? さて、のっけからこんな話題で恐縮ですが。 年を重ねるごとに、一年が短く感じられるようになってきて、そのことが「確実に年を重ねているのだ」という実感ともなりつつあるこの頃。 季節のディテールを顧みない日常が一層そうさせているのではなかろうか?と、ふと思い立ちまして(根拠はないけども)、2019年は、季節の移ろいを丁寧に感じられる心を養うべく…。 今回は、年始のそんな個人的願望?によるおすすめです。 昔の日本人が親しんだという、七十二候での季節の移ろいを、現代詩で親しんでみようというのが、この絵本の試みです。 二十四節気ごとに詩が作られています。 春分や夏至など、二十四節気のいくつかは天気予報でもよく耳にします。 七十二候は、二十四節気の間を3つに分けたもの。つまり、たった5日ほどの季節が1年に72も巡ってくる、ということになります。 比較的イメージしやすいのでは?と感じる、二十四節気の「啓蟄(けいちつ・3月上旬)」を題材にした詩のページを少しご紹介してみます。 この時期、七十二候では、 「蟄虫戸を啓く」 「桃始めて笑う」 「菜虫蝶と化す」 という3つの季節が存在しています。 何かの漢文のフレーズ?と勘違いしそうですが、この短文が、季節の名前なんですって。 ここでは、それぞれを 「虫たち ひょっこり 顔を出し」 「桃が ぷっくり 笑ってる」 「それっとはばたく モンシロ アゲハ」 と言い換えて、7行の短い詩に織り込むかたちで啓蟄の詩が綴られています。 すると、にわかに親しみがわいてきます。 行を追うごとに、ほんのり土のにおいをのせたような、ふわっと生あたたかい空気が漂う、うららかな春のイメージが広がっていきます。 わらべうたのような、やさしい詩で表現されていますので、親子で楽しむのも良さそうです。 真っ白なページに大きく配置された詩を囲むように、その季節にちなんだいくつかのモチーフが鮮やかに描かれているのも素敵。 一つ一つ見ていくと、季節の移ろいを知らせてくれるモチーフが沢山あることに気づかせてくれます。 小さな文字で各季節の簡単な解説が添えられているのも、初心者には嬉しいポイントだったりします。 今の時期は、二十四節気の終わりにあたります。始まりは2月上旬の立春から。七十二候では「東風凍を解く」。 私のように、七十二候に馴染みのない方々。来月から「季節の移ろいに思いを馳せる作戦」で、2019年をちょっとでも長く感じられるか、ともに試してみませんか(笑) 本年もどうぞよろしくお願い致します。 えほん七十二候
はるなつあきふゆ めぐるぐる 白井 明大(著)くぼあやこ(絵) 講談社 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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