うちの旦那が甘ちゃんで(神楽坂淳)
江戸下町の生活ぶりが楽しい うちの旦那が甘ちゃんで
神楽坂 淳(著) 時代小説らしからぬタイトルに惹かれ、神楽坂淳さんの『うちの旦那が甘ちゃんで』を読みました。
沙耶の夫 紅藤月也は、江戸南町奉行所の風烈廻方同心だ。
三十俵二人扶持、現代の貨幣価値で言えば年収300万円くらい。贅沢をしなければなんとか暮らしていける収入だが、沙耶はアジサイや朝顔の鉢植えの内職で家計を助けている。 風烈廻方同心とは凶悪犯に対応する部署だが、月也はのほほんとした優しい人で、それが犯人逮捕にマイナス要因となることが多い。 なかなか手柄を上げられない月也に愛想をつかして、部下である「小者」が逃げてしまうのも一度や二度ではない。 父親が同心だった沙耶から見ると、月也の甘さは歯がゆい反面、夫としては好もしい気質だと思っている。 そして、周囲の町民も偉そうにしない月也のことが好きで、手柄を立てて欲しいと思っている。しかし手下がいないのでは仕事がしにくい。そこで、目端の利く沙耶が小者を勤めることにした。 沙耶は江戸町民、特に女性のネットワークを活かして、事件を解決していくのだった…… (神楽坂淳さん『うちの旦那が甘ちゃんで』の出だしを私なりに紹介しました) この小説は、誰が犯人かという謎解きよりも、へなちょこ(甘ちゃん)同心の月也と嫁の沙耶のラブラブぶりを愛でたり、江戸下町の生活ぶりを楽しむのが主眼のように思います。
例えば、江戸時代の内職といえば、「傘張り」と思っていたのですが、妻の内職が鉢植えだなんて、知りませんでした。 また、風呂屋事情や、外食のあれこれも、これまで読んだ時代小説と一味違います。具体的で親しみ深いのです。 そういったことで感情移入しやすかったのですが、それ以上に、私にとって嬉しかったのは、小説の舞台となる場所が、先月夫婦で東京旅行で出かけた場所にダブっていたことでした。 神田明神から湯島聖堂へ歩いている様子などは、私たちが通った道と同じなのではないかと思いました。 月也の勤務先である南町奉行所は、今でいう有楽町あたりにあったのですって。 東京に詳しくない私が唯一親しみを感じている場所、それは有楽町。なにせ東京宝塚劇場近くですから。 『うちの旦那が甘ちゃんで』は続編があるようです。 おっとり人の良い月也が、沙耶の協力を得て、お手柄をあげるうちにしっかりしてくるのか、それともずっと沙耶に助けられっぱなしなのか。先が気になる夫婦同心です。 うちの旦那が甘ちゃんで
神楽坂 淳(著) 講談社 はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは沙耶の旦那で、風烈廻方同心を拝命している。のほほんとした性格から盗人を取り逃がすことが多く、小者(付き人)たちは愛想を尽かして次々と辞めていった。次の小者を誰にするか。考えあぐねていた沙耶が思いついたのは、なんと「自分」だった。-新感覚時代小説。 出典:楽天 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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