バカとつき合うな(堀江貴文 西野亮廣)
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![]() まずは自分がバカだと悟る バカとつき合うな
堀江貴文, 西野亮廣(著) 私がパーソナリティを務めさせていただいているエフエムあまがさきの番組「昭和通二丁目ラジオ」木曜日。毎月第1木曜日には、私が最近読んで面白かった本を紹介するコーナー「千波留Library」をお送りしています。
今回ご紹介するのは、堀江貴文さん、西野亮廣さんの共著『バカとつき合うな』です。 このお二人については、好き嫌いが分かれるかもしれません。 私は個人的に西野亮廣さんは大好きで、ホリエモンこと堀江貴文さんのことは、ちょっと苦手でした。これまでご著書も読んだことはありません。 西野さんとの共著でなかったらこの本も読まなかったかもしれません。 でも読んだ後には堀江さんの印象が変わりました。私が抱いているホリエモンのイメージはテレビ番組に押し付けられたものだったんですね。 サブタイトルに「あなたは自由になるべきだ」とあります。 私はこれに惹かれました。 20年ほど前のこと。 親戚の一人が、若くして亡くなりました。 まだ三十代半ばです。突然死で、周囲の人間の誰一人予見できない事でした。おそらく亡くなったご当人も予期していなかったのではないかと思います。 葬儀の席で私は思いました。 死は本当に唐突にやってくるのだなと。 これから「やりたい」と思ったことは行動に移さないといけない、と。 当時OLだった私が、ひょんなことから声の仕事に憧れるようになった時、 「その年齢から始めてできるわけがない」 といったネガティブな意見に耳を貸さず、夜間の声優の専門学校に通い、事務所に所属するようになったのは、その時の経験が大きかったのです。 やりたいことは、やらないとイカン!と。 去年、私の周囲で、若いかたが相次いで亡くなりました。 どちらも、闘病の末ではなく、家族や友人も覚悟が全くできていないお別れでした。 20年前と同じです。 今回、私は思いました。 私も、準備なしにこの世を去る可能性がある。 だとしたら、いろいろなことに本気を出さないとダメだなと。 まずは卑近な話ですが、「普段着」撲滅運動を開始。 子ども時代(昭和時代)、我が家では洋服は「普段着」と「よそ行き」に分けられていました。 「よそ行き」は比較的高価で、ここぞという時に着るもの。 それ以外の時には着ちゃダメ。だって汚れるかも知れないから。 三つ子の魂百までで、ずっとその考えは私の中にありました。 ですが去年、決意しました。 気に入った服以外は着ない。 毎日お気に入りの服だけを着て、機嫌よく過ごすんだと。 これはあくまでも表面上の話ですが、ここから派生して私はあらゆるものに、この法則を適用しようと決意したわけです。 前置きがめちゃくちゃ長くなりましたが、これがこの本を読もうと思ったきっかけです。 表紙に「あなたは自由になるべきだ」と書かれているでしょう? タイトルが刺激的ですが、この本は人間関係を整理せよ、無理をして自分を消耗する相手と付き合うことはない、という内容なのです。 西野さんと堀江さんが、それぞれ「こういうバカ」とはつき合うなと論じていく構成です。 ご想像がつくと思いますが、お二人が定義する「バカ」とは、学力、学歴とは無関係です。 例えば…… 堀江さん「我慢を美徳にしたがるバカ」
(堀江貴文さん・西野亮廣さん『バカとはつき合うな』P40) 日本人の多くが「苦節○○年、やっと花が咲きました!!」という苦労の末の成功譚が好きなのではないでしょうか。
私も、努力を重ねた末に報われる人のことは、尊敬もするし、元気もいただきます。 でも、これが微妙に変形すると、努力や我慢をしている事自体に価値がある、ということになりかねません。 「我慢している俺って美しい!」 そんな人のことを堀江さんは「バカ」だとバッサリ。 当たっている…… 西野さん「目的とアプローチがずれているバカ」
(堀江貴文さん・西野亮廣さん『バカとはつき合うな』P34) 私が小学6年生の時、通っていた学習塾の先生がおっしゃった。
「良いか、一生懸命やれば良いってものじゃない。自分がどこに向かうのか、よーく考えなアカン。 例えば運動会で、ヨーイドンする時に、ゴールと反対側に向かって走ったらどうなる?いくら速くてもあかんやろ?一生懸命走れば走るほど、ゴールから遠くなるやないか。 だからな、何かをする時には、自分の目的地がどこかよく考えてから、一生懸命努力しろ。 もし一生懸命やっているのに結果が出なかったら、一度立ち止まって、自分は本当にゴールに向かって走っているか考えるこっちゃ」 ああ、西野さんはあの時の先生と同じことをおっしゃっている! あの塾の先生は12歳の子どもたちに、真実を教えてくれたんだなぁと、改めて思い返しました。 このように、お二人がバッサバッサとぶった切る「バカ」の数々に、「いるいる、こういう人いるねー」と笑いながら読んでいたのですが、途中で笑えなくなりました。 ギクッ。 この「バカ」って私のことじゃない? 西野さん「にわかを否定するバカ」
(堀江貴文さん・西野亮廣さん『バカとはつき合うな』P96) 西野さんが例にあげていたのは、サッカーW杯開催などで盛り上がる人たちに対して
「フン、お前ら、にわかファンやろ?どうせサッカーのルールも知らんねんやろ?」と見下すような人のことでしたが、 いやいや、これ私のことやな、って胸にグサリと来ました。 正直に白状します。 私は去年、映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大盛り上がりしている時に(今もまだ盛り上がっている) 「なんやのよ。今までQueenのこと知らんかったくせに、フレディを語らんといてほしいわ。私なんか中学2年生の時からのファンやし!!」 と内心思っていたんです。 西野さんはこのタイプの「バカ」の心臓に杭を打ち付けてきます。 「あなたも元はにわかだったでしょ」
「にわかを否定することは、そのカルチャーを否定すること」 にわかファン、つまり新しくファンになってくれる人を排除したら、いずれその本体が衰退する運命にあるとおっしゃるんです。
その通りですわ! オールドファンしか残らなかったら、いつか消えていくしかないですもんね。 ほんま私は「バカ」でしたわ。 今すぐ『ボヘミアン・ラプソディ』の上映館に走っていって、土下座して入場客をお迎えしたいくらい反省しています。 そんな私に止めを刺すのが堀江さん。 「バカを笑って、自分は棚上げのバカ」
(堀江貴文さん・西野亮廣さん『バカとはつき合うな』P164) 「バカ」とのつき合いをやめるかどうか以前に、自分こそが「バカ」だと悟ることができた、『バカとつき合うな』でした。
![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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