チリとチリリ(どいかや)
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![]() 乙女心をくすぐるメルヘンなアイテムがいっぱい チリとチリリ
どいかや 私がお店を始めるために前職を辞めたのが、ちょうど13年前の今頃でした。当時、たまたま親しい友人も転職のため退職。こんな機会は滅多にないと、その夏、安曇野や軽井沢、それから清里高原を二人で旅することになりました。
この行き先をリクエストしたのは、私。おそらくこの絵本から、インスピレーションを得ていたのかもしれません。 表紙に描かれている、双子と思われる女の子二人が、自転車で出かけるお話です。シリーズで6作品出版されているうちの1作目にあたり、2003年に発行されています。 早朝、家のそばにある森の中を、二人は自転車に乗って、チリチリリと軽快に走ってゆきます。途中、森の中の喫茶店やサンドイッチ屋さんに立ち寄ったり、池のほとりで過ごしたりして、最後は森のホテルで素敵な夜の時間を過ごします。 ぱっと見てすぐ「どいかやさんの絵本」とわかる、色鉛筆の愛らしいイラスト。まるで針と糸の代わりに色鉛筆を使ったような、手刺繍に似た独特の温かみを伴っています。 登場人物、森の風景、建物や中のインテリアに至るまで、細部まで愛情を込めて丁寧に描かれているのが伝わってきます。 面白いのは、登場するお店やホテルのしつらえ、家具のサイズが大小様々混在していること。虫など小さな生き物から、クマなどの大きな生き物まで、みな同じ空間で快適に過ごせるよう工夫されています。確かに、お客様が森の住人である以上は、ごく自然なことなのかもしれません。 メニューなども、シリーズを通してメルヘンなアイテムがいくつも登場して、乙女心をくすぐられます。本当にかわいい。二人のように、こんな一日を過ごしてリフレッシュしたいなあ!と思わずにはいられません。 私はこの絵本を読むと、今でも友人との旅を思い出します。途中で立ち寄った見知らぬカフェのパンが嘘みたいに美味しかったこと。清里高原の濃密な星空を眺め、ふいに現れる流れ星を、時を忘れて探したこと、などなど。 私にとっての「チリとチリリ」の森は、清里高原。そして、嬉しいことに今年の夏、ちょっぴりお仕事も兼ねて13年ぶりに訪れることができそうなのです。今回もまた滅多にない機会ですので、存分に楽しみたいと思います。 5月の連休がまだ少し残ってる中、気の早い話かもしれませんが(笑)皆さんもどうぞ、楽しい夏の計画を! チリとチリリ
どいかや(著) アリス館 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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