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サイコパス(中野信子)

サイコパスから身を守るには、その正体を知ること

サイコパス
中野信子(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、中野信子さんの『サイコパス』。

今の私からは想像ができないと思いますが、子どもの頃の私は無口でした。本さえ読んでいられれば、一日でも黙っていたと思います。

親戚の家に遊びに行って、同年代のいとこたちが、おとなが会話している途中に「ねーねー、お母さ〜ん」などと割り込んでは「後でね!」と言われているのを見ると不思議でした。

どうしてそんな(無駄な)ことをするのかと。じーっと話を聞いていて、話が途切れた時に話しかければいいのにと。私は無口な上に、おとなの話に聞き耳をたてる子どもだったんです。(今や人の話に割って入りまくり、すみません)

まだ小学校入学前だったと記憶しています。ある時、おとな同士がこんな会話をしているのを耳にしました。

「これまで見た映画で一番怖かったのは何?」「サイコよ」「ヒチコックの?」「そう!!あんな怖い映画ないわ〜」

私は会話の意味がよくわからないまま、「サイコ」「ヒチコック」「怖い」とインプットしたのでした。

その後、ヒチコックが有名な監督であり、パニック映画など多くの作品を残していることを知りましたし、テレビの洋画劇場で見る機会もありました。

が!どんなことがあろうとも絶対に『サイコ』だけは避けてきました。今もって見たことがありません。子どもの頃の刷り込みってすごいです。

1960年の映画『サイコ(Psycho)』は、多重人格の殺人者を描いた心理的恐怖を煽る映画で、主役アンソニー・パーキンスが鬼気迫る演技で強烈な印象を残した……そうですね。(見ていないから知らない)

このごろ凶悪事件の犯人に「サイコパス」という言葉が冠されることが多くなりました。

人の痛みを感じず、冷静に犯罪を犯す人をさすサイコパス。辞書で調べると、Psychopathとは精神病質者、変質者、略称Psychoと書かれています。ヒチコックは約60年前に、その問題を取り上げていたのですねぇ。さすがです。

そんなこともありサイコパスといえば、全てマイナスというイメージが定着しつつありますが、そうとも言い切れないようなのです。

前置きが長くなりました。中野信子さんの『サイコパス』は、脳科学の見地から、サイコパスを定義解説したものです。

チームワークが苦手であること、こんなことをしたら他人にどう思われるかといった心情、これは社会通念的にアウトだろうといった判断の欠如などがサイコパスの特徴としてあげられています。

極端な例えで言えば、一人が犠牲になれば(死ねば)残りの全員が助かるといったときに、躊躇なく「一人殺そう」と思うのがサイコパス。

サイコパスでない人が相当悩み苦しむことも、簡単に決断できてしまうのですって。ある意味、究極の合理主義者と言えるかもしれません。

サイコパスという言葉がない時代にもサイコパスは存在したようです。ウソがバレても謝るどころか自分が被害者であるかのように振る舞う、集団に迷惑をかける、平気で犯罪を繰り返す……

そんな人たちはどのような末路を辿ったか?秩序が保てなくなるのを恐れた集団が、収監したり、極端な場合は誰も見ていないときに海に突き落とすなど、排除していたようです。

現代、連続殺人などを犯したサイコパスが、逮捕され極刑に処されるのと同じことかもしれません。

しかしサイコパスが歴史に名を残すのは、残虐、冷酷な虐待や殺人だけではないと、中野さんは述べています。

例えば織田信長や毛沢東、ジョン・F・ケネディ、マザー・テレサもサイコパスだったのではないかと、多くの心理学者や神経学者が指摘しているんですって。

比叡山を焼き討ちした織田信長はわかるとしても、マザー・テレサがサイコパス?!びっくりしました。

しかし彼女の一般常識に縛られない行動や、博愛主義を裏返せば一人に深く熱い愛を注げない人だと解釈することで、サイコパス説も信憑性を帯びるのでした。

中野さんが前者を「負け組サイコパス」、後者を「勝ち組サイコパス」と呼んでおられるのがわかりやすかったです。

この本の最後には自分がサイコパスかどうか自己診断できるチェック項目が設けられています。

その結果が20点未満であればサイコパスではなく、27点が分水嶺、30点を超えるとサイコパスと考えられるそう。もちろん私もやってみましたよ。結果は19点。けっこう際どい!

しかし、自己診断でサイコパスの疑いが濃いとわかっても、将来犯罪者になる、なんて絶望しないでくださいね。

上にも書いたように、サイコパスの特性を活かして勝ち組サイコパスになれば良いのです。最終章にはちゃんと、サイコパスに向いているとされる業種が掲載されています。

何にせよ、サイコパスから身を守るには(あるいは自分が負け組サイコパスにならないためには)正体を知ることが一番。ぜひご一読を。
サイコパス
中野信子(著)
文藝春秋
とんでもない犯罪を平然と遂行する。ウソがバレても、むしろ自分の方が被害者であるかのようにふるまう…。脳科学の急速な進歩により、そんなサイコパスの脳の謎が徐々に明らかになってきた。私たちの脳と人類の進化に隠されたミステリーに最新科学の目で迫る! 出典:楽天

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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