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このあとどうしちゃおう(ヨシタケシンスケ)

このあと どうしちゃおう
ヨシタケ シンスケ (著)
出版社:ブロンズ新社 (2016)【内容情報】(「BOOK」データベースより)しんだらどうなる?どうしたい?いきてるあいだに考えてみよう。ヨシタケシンスケの発想えほん、第3弾。(出典:amazon
絵本のタイトル『このあとどうしちゃおう』。
これだけ見たら、とても気楽そうなお話だと想像しませんか?
このあと、どうする?どうしちゃう?って。

ところが、この絵本は 先入観を覆します。
テーマは「死」なんですから。

本の帯には、
「しんだらどうなる?どうしたい?
いきているあいだに考えてみよう。」とあります。

私が子どものころには、
生きている人に「もしも死んだら」なんて話をするのは
タブーでした。
「縁起でもない!」と。

しかし、今はちょっと違いますね。
自分が死んだらどうしてほしいか、
例えば遺影はどれを使うか、
どんなお葬式にしてほしいかなど、
書き留めておく『エンディングノート』だってあります。
私も持っていますよ。

だから子どもと一緒に「死」を考えることだって
あって良いと思います。

さて『これからどうしちゃおう』。
おじいちゃんが死んでしまったところから始まります。

遺品を整理していたら、一冊のノートが出てくるのです。
表紙に書かれていた言葉が
「これからどうしちゃおう」。
おじいちゃんの絵と字で、
将来死んだらどうしたいか、どうしてほしいかが
描かれていたのでした。

例えば、
天国ってこんなところじゃないだろうか、とか
いじわるなアイツがいくであろう地獄のこととか。
死んだあと、家族を見守っていく方法も考えています。
おじいちゃん、いい人やなぁ。

それを読んだ孫の「ぼく」は、お父さんと話し合います。
ノートはとても楽しそうだけど、
本当はおじいちゃんは死ぬのが怖くて、このノートを書いたのかな?と。

お父さんの答えを聞いて「ぼく」は
自分用のノートを買いに走るのでした…。
「死」を考えることで、
「生きる」を考えるようになる、その結末が素晴らしい。

最近の子どもはゲームのしすぎで、
死んでもリセットすればもう一度やりなおせると思っている、
なんて言われています。
まさか、全員がそんなふうに思っているとは考えにくいけど、
命が軽くなっているかもしれません。

「命は大事なものです」
「命は地球より重いんです」
そんな言葉では伝わらないのかもしれない。

私は子どもがいないけれど、
もしいたなら、何も言わずにこの本を差し出すなぁ。
そして子どもが寝てから、自分が読み返すと思う。
何度でも、何度でも。
 

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BLOG ⇒PROページ

著書:パーソナリティ千波留の読書ダイアリー
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。
だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。

「千波留の本棚」50冊を機に出版された千波留さんの本。
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