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In the Forest By Marie Hall Ets

In the Forest
by Marie Hall Ets
絵本なら辞書をひかなくても読み切ることができます。やさしい文章をたくさん読む事は、英語上達の近道でもあります。大人でも楽しめる絵本を紹介しています。

1944年に出版の絵本で、私は日本語版の『もりのなか』をおそらく幼稚園で読んだと思う。

ストーリーははっきり覚えていなかったけど、大好きだったことが記憶にあった。不思議な話だったことも。

日本は翻訳大国で、色々な国の本を日本語で読む事ができる。原書は絶版だが、日本語版はロングセラーというものが結構ある。

この絵本もその一つ。原書は一部の書店でしか手に入らない。洋書で再会をして、読んでみたところ、すんなりお話の世界に入り込むことができた。

久しぶりに読んだ感じはなく、いつも身近にあったような、でも幼稚園のころの記憶が一部呼び戻されたような不思議な感覚になった。

色々な書評を読んで、初めてこの絵本がモノクロである事に気付いた。

他の絵本なら、白黒だという事にインパクトがあるけど、この絵本は表情がとても豊かで、楽しげで、色が付いていないのを意識させなかった。

物語は、男の子が新しいラッパをもらって、それを吹きながら森に出かけるところから始まる。最初に昼寝をしているライオンに出会う。

ライオンは一緒に行きたいから、髪の毛を梳かすのをちょっと待ってと言う。

ライオンは、鬣を櫛で梳かし、王冠を頭にのせ、お出かけモードで男の子について来る。

次に水浴びをしている2匹の子ゾウに出会う。タオルで耳を拭きながら、ちょっと待ってと言って、セーターを着たり、靴をはいたり身支度をしてついて来る。

クマ、カンガルー、コウノトリ、サル、ウサギ、と脈絡のない動物たちが、特にはしゃいだ様子でも、逆に淡々とした様子でもなく、楽しそうに行列になってついて来て、最終的にみんなでピクニックをする。

クマの持ってきたピーナツとジャム、そして何故かそこにあったアイスクリームやケーキを食べて、いろんなゲームをして遊ぶ。

かくれんぼで、男の子が鬼になり、動物たちがみんな隠れたところで、男の子のお父さんが迎えに来る。

もう遅いから帰らなきゃいけない。”Perhaps they will wait till another day.”と言われ、男の子は、姿の見えない動物たちに”Good-by!”を言って、肩車をしてもらって帰っていく。

現実ではあり得ない話なのに、なぜか懐かしい気持ちになる。

新しいラッパを吹き鳴らしながら森を歩くという特別な行事に、みんながおめかししてついて来る。

それぞれがマイペースで、陽気だったり、お澄ましだったり、とっても大人しかったり、性格もバラバラ。

とくに目的地もなさそうだったけど、歩いていたらピクニック用の大きなテーブルのある場所にたどり着き、そこにあったケーキとアイスクリームも食べてしまう。

登場人物たちは、流れに自然に身を任せていて、起きる出来事をそのまま当然のように受け入れている。行列で歩くだけで楽しそう。

表紙のイラストからもその楽しさが伝わってくる。子どものころの遊び方って、こんなだったんじゃないかな。

Marie Hall Etsの絵本は、素朴で優しい。子どものときの思い出がもとになっていて、自然や動物がたくさん出てくる。なかでも、私はこの絵本が一番好きです。
profile
谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
HP:http://www.storyplace.jp
Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/

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