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■関西ウーマンインタビュー(スポーツ編)


藤谷 千穂さん(卓球インストラクター)

できないことができるようになる。その努力や姿勢、気持ちが尊い。

藤谷 千穂さん
卓球インストラクター
フリーランスの卓球インストラクターとして、個人レッスンや卓球教室などを行う藤谷千穂さん。

卓球を始めたのは小学4年生の時、母親とコーチに勧められたのがきっかけでした。高校では、入学と同時に卓球部が創部されてコーチが監督就任、卒業後は卓球の強い大学に進学するなど、選手としての活躍が期待される中、藤谷さんはその道から外れる決断をしました。

今でも「卓球そのものはそれほど好きではない」と話す藤谷さん。どうして、卓球インストラクターの仕事をしているのでしょうか?
はじまりは周囲の期待に応えるために
卓球を始めたきっかけは何ですか?
卓球をしていた母の影響です。母は卓球教室を開くほか、選手として地元の試合に出場していたので、よくついていっていました。

私は、卓球に興味がなくて会場内を走り回って遊んでいただけなんですけど、走りの速さが卓球コーチの目に留まり、「卓球をやらへんか?」と。一度は断ったものの、母とコーチに押されて、「わかった、やるよ」と小学4年生から卓球を始めました。
小学4年生から始めて、今年で卓球人生は24年目なんですね。
「卓球好き」とよく思われるのですが、今でも卓球そのものはそれほど好きではないんです。

小中学生時代は母やコーチの期待に応えるために「やらなあかん」という気持ちが強く、高校時代にようやく「努力して結果を出す=自分自身を高められる」と自分なりの卓球のおもしろさを見出せました。これが選手時代のピークで、ナショナルチームメンバーとなりドイツユースオープンで団体優勝などもしています。

その後、コーチに勧められるままに卓球が強い大学に進学しますが、入学して4ヶ月ほどで自主退学しました。自分の本当の気持ちに気づいたからです。
「自分の本当の気持ち」とは?
関東の大学だったので、母とコーチと離れて初めて「勝負の世界でやっていきたいのか?」と自分の本心に気づくことができました。

卓球が好きか嫌いかの問題ではなく、勝ち負けに興味がない。だから、勝利が重要視される環境に身を置きたくないんだと気づいたんです。

勝利を期待される中での毎日の練習に意味を見出せなくなりましたし、このまま在籍していたらこれから先もずっと卓球選手として勝つことを考えていかなくてはならない・・・敷かれたレールの上から外れることにしました。

でも、卓球以外に何をやりたいのかがわからなくて、卓球枠で短大に入学、卒業後は卓球採用で実業団のある会社に就職するも1年ほどで退職してしまいます。
「卓球から離れる」という選択肢もありながら、卓球インストラクターになったのはどうしてですか?
幼い頃に見た母が楽しそうに仕事をしている姿が印象的で、習得した技術を誰かに教えたりするのはおもしろいと思っていました。

選手時代のライバルから誘われて、ミズノ株式会社の販売店で接客やレッスンを行うアルバイトをしたところ、卓球を教えるおもしろさを実感し、フリーランスの卓球インストラクターとして仕事を始めます。

地元・姫路で、母を手伝ったり、自分でも卓球教室や個人レッスンを行ったり、ミズノ株式会社とアドバイザリースタッフ契約を結んで年数回の講習会を担当したり、仕事を増やしていきました。
「こんな指導者がいれば」を実現
選手ではなく、インストラクターに。その仕事の魅力とは?
生徒さんの中にはママ選手や教室の先生などもいますが、基本は卓球を楽しみたい大人。地域の会館を借りて行う卓球教室では60代前後、初心者が多いです。

最初は自信なさそうに打っていた人が、レッスンを重ねるごとに顔つきがどんどん変わっていって、ある時大きく伸びることがあります。そうやって人が成長していくプロセスに立ち会えるのも、本人が自分の成長を喜ぶ姿を目の前で見られるのも、嬉しくて仕方ない。

私が勝ち負けに価値を見出せなかったのも、努力して何かができるようになる過程や、そこに向けての姿勢、気持ちが尊いと思っていたからです。

卓球インストラクターとして、その部分に光を当てて、大切にできることにやりがいを感じています。
お仕事をされる中で、いつも心にある「想い」は何ですか?
年齢やセンスも関係なく、卓球を通じて自信を持ってほしいと思っています。

できないことに注目するのではなく、何度やってもできなくても、「やってみよう」「やろう」とする気持ちがあればいいんです。

注意や叱責ではなく、具体的な指摘を続けます。小さな成長も見逃さず、少しでもできるようになればほめます。それに尽きるかなと思います。

卓球教室というと、インストラクター自らが生徒さんと打ち続ける場合が多いのですが、そうすると一人ひとりをきちんと見ることができません。そこで、私は生徒さん同士で打ってもらい、教室なら1回につき10人ほどの生徒さんに対して個別のアドバイスや声かけを最低1回は行うんです。

当初は「先生がもっと打ってほしい」とリクエストされることもありましたが、今ではこのスタイルが定着して、多くの生徒さんに支持してもらっているので、よかったと思っています。
どう教えるかについて、選手時代の経験が活きていますね。
自分がこれまでに「こんなふうに教えてもらいたかったなあ」「こんな指導者がいたらよかったなあ」と思ったことを実現しています。

自分自身が生徒になってみることも大切にしていて、ドラムや歌、英会話などさまざまな教室に通って、どう教えられるとわかりやすいのかを研究しました。

個別のアドバイスや声かけも、生徒として参加した教室で、先生に声をかけられると、「あぁ、気にかけてもらえているんだ」と嬉しくなった経験が活きています。
10年、20年先も続けるために
これまでにどんな「壁」または「悩み」を経験されましたか?
今から3年前、30歳という節目の年に、仕事の拠点を大阪に移しました。地元・姫路では7年ほどフリーとして仕事してきましたが、大阪ではゼロからのスタート。幸先よく、個人レッスンに加えて、卓球教室を複数担当するなど、年々仕事が増えていっていました。

それが、3カ月前に機能性ディスペプシアという、胃の痛みや胃もたれなど慢性的な症状が続く病気に。今でもたまに喉が焼けている感じや吐き気があって、体調が万全ではありません。

「フリーランスだから自分の代わりがいない」「迷惑をかけられない」と体調が悪くても仕事して悪化して、少し良くなったと思ったらまた悪化してという状態が、半年ほど続いた結果でした。

体調が回復すれば、以前のようなペースでまた仕事ができるかもしれません。でも、10年くらいは無理を続けられても、50歳、60歳になった時にはできない。

勇気を出してほとんどの仕事を手放して、これからの仕事のやり方を見直すことにしました。
「自分の代わりがいない」などフリーランスが直面する仕事の悩みです。今後を見据えて、どのように仕事をしていこうと考えているのですか?
これからを考える中で思い出したのは、叔母の「2つの仕事を持っていたほうがいいよ。何かあった時に逃げ道にもなるから」というアドバイス。叔母は管理栄養士をしながら、卓球インストラクターをしています。

もう一つ、柱となる仕事を見つけよう・・・そんな時、ヨガに心魅かれていた自分に気づきました。以前、ヨガを習った時にヨガインストラクターの友人から「他人と比較しない」「善し悪しを審判しない」「ありのままでいる」といった考え方を教えてもらい、「いいなあ」と思っていたんです。

すでに卓球場を運営する生徒さんから、「もしヨガインストラクターの資格を取得したら、ヨガも教えてほしい」とリクエストをもらっています(笑)。

いくつになっても、先を決めつけ過ぎず、「これ、いいなあ」「大切だな」「やってみよう」と思うことに挑戦し続けられる自分でいたいです。
藤谷 千穂さん
小学4年生から卓球を始める。プレースタイルはカットマン。小・中学生時代は平成7年度全日本卓球選手権大会(カデットの部)13歳以下女子シングルスでベスト8の成績を収めた。高校進学時、自身の入学と同時に卓球部が創部された。以降、平成13年度全日本卓球選手権大会ジュニア女子5位、平成14年度全国高等学校卓球選手権大会シングルベスト8、平成14年度ドイツユースオープン団体優勝などの成績を残す。近畿大学短期大学部を卒業後、一般企業の事務職、ミズノ株式会社の販売店アルバイトを経て、フリーランスの卓球インストラクターに。卓球教室や個人レッスンのほか、ミズノ株式会社とアドバイザリースタッフ契約を結んで年数回の講習会を担当している。
BLOG: http://2525256evolution.blog.fc2.com/
(取材:2017年9月)
藤谷さんが卓球を始めるきっかけや続ける動機は周囲からの期待でした。

そんな中でも、自分なりのおもしろさを見出したり、「自分の本当の気持ちは?」と立ち止まったり。自分の気持ちを見つめて、確かめて「これは私には必要ない」「これを大切にしたい」と思えば、手放すこともいとわず、またここから始める勇気を持って決断していく藤谷さんの姿が思い浮かびました。

今まで積み重ねてきたものや持っているものを手放すことは、とても勇気がいることです。でも、やってしまえるのは、子ども時代の経験から、自分の気持ちの大切さを知っているからこそ。だから、何度でも挑戦し続けられるのだとも思いました。
小森 利絵
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』

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