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ざんねんないきもの事典(今泉忠明監修)

「いきもの」たちの進化を知って「常識」の殻を破ってみよう

おもしろい!進化のふしぎ
ざんねんないきもの事典
今泉忠明(監修)
今月のおすすめは2冊。老いも若きも楽しめる「ざんねんないきもの事典」シリーズです。2016年5月に発売され、17年6月発行の続編と合わせて累計120万部(17年11月時点)を突破した、事典としては異例のヒット作です。

私たち人間から見ると、なぜこんな体をしているのだろう、どうしてこんな生態なのだろうと思うような「いきもの」たちを楽しい文章とイラストで紹介する本です。

このお正月、小学5年生の息子が祖父母からお年玉にもらったのですが、私もハマってしまい、2人で争うように一気読みしました。1つの項目を読むたびに、「へえええええ~!!」と騒ぎ、家族に向かって「○○ってこうなんやって!」と内容を解説し、「読んだら!? 面白いで!!」と押しつけています。

まずイラストがかわいいのです。姿そのものは擬人化しているわけではありませんが、「いきもの」たちがひとことつぶやいていて、それがマンガチックでユーモラスなのです。

そして、解説文がこれまた面白い。タイトルどおり「あああ、ざんねん」というような特性もあれば、「すっごーーーい!」と感心するような特性もありますが、いずれも「いきもの」たちへの愛が根底にあります。そして最後の一文は、いかにも子どもが喜びそうな「オチ」になっています。

ゾウやサイ、パンダやラッコのように親しみのある動物たちの意外な特性の紹介もあれば、初めて名前を聞く「いきもの」もたくさん出てきます。どの項目もハズレなく面白いですよ。

例えば、ナマコは敵に襲われると内臓をはき出して差し出すそうです。再生能力が高いので2か月くらいで元に戻るそう。戻るまでの間、内臓なしで大丈夫なの? ナマコ最強?

ゾウの奥歯は一生のうちに5回も生えかわるのですが、その替わり方は驚きの仕組みになっています。でもなぜそれが「ざんねん」なのかというのは…ちょっと悲しいお話です。

2冊の中で、私がもっとも衝撃を受けたのは、、、ふさふさのしっぽがかわいいシマリスです。あのしっぽは木の上でバランスをとったり、毛布代わりにしたりとお役立ちなのですが、実は…!

私たちは、ついつい自分の想像できる範囲でものごとを理解しようとします。でもそれは、実はとても狭い経験や思い込みにもとづくものであったりします。「いきもの」たちの想像や理解を超える進化の過程を知ることで、私たちの「常識」の殻を破ってみませんか。

この本は、もともと小学校3~4年生を読者として想定して企画されたので、漢字にはすべてふりがなが振ってあります。ひらがなが読めれば、もっと小さなお子さんでも楽しめますよ。ご家族みなさんでいかがでしょう。
おもしろい!進化のふしぎ
ざんねんないきもの事典
今泉忠明(監修)
高橋書店
笑えて、ちょっとためになる!生き物たちのおどろきの真実。思わずつっこみたくなるいきもの122種。出典:amazon

続 ざんねんないきもの事典
今泉忠明(監修)
高橋書店
トラは笑っちゃうほど狩りがヘタ…。残念すぎて愛おしい、思わずつっこみたくなる生き物続々。出典:amazon
profile
橋本 信子
同志社大学嘱託講師/関西大学非常勤講師

同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。同志社大学嘱託講師、関西大学非常勤講師。政治学、ロシア東欧地域研究等を担当。2011~18年度は、大阪商業大学、流通科学大学において、初年次教育、アカデミック・ライティング、読書指導のプログラム開発に従事。共著に『アカデミック・ライティングの基礎』(晃洋書房 2017年)。
BLOG:http://chekosan.exblog.jp/
Facebook:nobuko.hashimoto.566
⇒関西ウーマンインタビュー(アカデミック編)記事はこちら



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