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魂の燃焼へ(執行草舟 /清水克衛)

魂の燃焼へ
執行 草舟 / 清水 克衛 (著)
出版社:イースト・プレス (2015)【内容情報】(「BOOK」データベースより)仕事とは何か、愛とは何か、青春とは何か、読書とは何か、そして人生とは何か―。読者に感動を運び続ける「本のソムリエ」が、知る人ぞ知るベストセラー『生くる』『友よ』で話題の思索家に迫った対話集。たった一度の人生を後悔しないために。(出典:amazon
3年前、あることがきっかけで猛烈に読書をするようになりました。
そのきっかけは、この本に登場する実業家で、歌人の執行草舟(そうしゅう)さんです。

氏の著書である「生くる」(講談社)に出合い、
その思想に強烈に魅かれ、難しいながらも、
近づきたい…!との一心で夢中になって読みました。

この本は執行草舟さんと、書店「読書のすすめ」代表、清水克衛さんの対話集で、
なぜ読書をするのか、その意義と価値が繰り広げられ、そこからどう生きるのか、
いや、どう生き切るのか、と話が展開します。

(本文より)
執行:「自分の顔」をつくるのが読書の価値だということ。自分の生き方をつくると言い換えてもいい。…
本はわかろうとしちゃだめです。共感し、共振するのが読書なんだ。…

清水:『生くる』でも、「わからぬがよろしい」とありますね。うちの仲間に、執行さんの本の読書会をしている若者たちがいるんですが、あの一行に勇気づけられたと言っていました。…

執行:読書力をつけるにはそれがいちばんの方法です。わかるものを読んでいても、人間は成長しない。わからないものを読むから、そのうちわかるようになるんです。

わからないものを読むから、そのうちわかるようになる。
「生くる」はまさにその感覚で読みました。

わからないことに対する不安は読書に限りません。
チェロを弾いて25年が過ぎましたが、
まさに、楽器習得の難しさと共に歩んだ音楽人生。

一つ問題をクリアしても、また新たな課題が見つかる。
大きな壁を、乗り越えられるのか不安でいっぱい…。

例えば、舞台で演奏する時もそうです。
最善の準備をしていても、何が起こるか分かりません。
でも、「わからぬがよろしい」の精神が芽生えてからは、
心と身体が楽になったように思います。

等身大の自分で人前に立つ。
当たり前のことですが、これがなかなか難しい。
しかし、少しずつできるようになったのは、まさに本の力だと確信しています。

(本文より)
清水:うちの店に来ていた子なんですけど、つらいことがあるとすぐに会社を休んじゃうんです。

執行:そりゃだめだ。自分のことばかり考える習慣が身につきすぎているんだ。社会のプレッシャーを超えるには、これはもう自分で努力してもらうしかない。誰も代わることはできないんだから。自分の憧れを、過去の人たちの生き方から見つけ出していくしかない。…

いまの社会はテレビ社会で、水平っていうか、横並びなんだ。横の情報ばっかりだ。でも、自分の力の源になるのは「縦」(たて)なんだ。横の力に負けないためには、縦の力を鍛えなくちゃいけない。…

インターネットで世界の情報を集めたところで、なんにもならないってことです。だから本を読めって言っているんだ。友達も横だ。だから、友達に好かれよう好かれようとしていると自己を失う。僕は横ばかり気にして生きている水平人間のことを、「横野郎」と言っているんですよ。つまり、横並びで、勇気のない腑抜けということ。横が、自己固有の生命の敵なんだ。

横野郎になるな!
この本の中で、特に響く言葉です。

周囲に惑わされず、しっかりと自分を見つめ、志に向かってひた走る。
"魂が燃焼"する、とはこんな感覚なのかな、と思いました。

そして、一人の作曲家が浮かびます。
ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)です。

バッハは偉大である。
クラシック界では当たり前のように皆が持っている感覚です。
確かに、その作品に取り組むと、言葉では表せない、
どこか他の作曲家とは一線を画すような音に出合います。

もちろん、それを裏付けるようなさまざまな功績があるのですが、
その偉大さは、そんなものじゃない。

バッハは、自身の声をほとんど残しておらず、
当時流行っていた自伝にも手を染めていません。
しかし私は、彼の残した作品から十分にバッハの声、思想が感じ取れると思っています。

過去の音楽を集大成し、音楽職人として沢山の優れた曲を書き、
熱烈なファンを魅了してきたバッハ。
しかし、時代はバッハの音楽から離れていきます。

52歳の時、バッハは音楽雑誌に痛烈な批判を書かれました。
しかも、彼の軸である作曲技法(ポリフォニー)が酷評されたのです。

変化する新しい音楽の響き…。
それを否定はしないのですが、自分の死後、これまでの音楽が廃れ、
失われることを危惧し、自分の音楽をさらに集大成させていくのです。

バッハを研究し、チェロで弾く。
無伴奏チェロ組曲は、私にとって特別な曲です。

10代の時より20代、そして今、時が経てば経つほど、
一音一音に込められた血と汗と涙が感じ取れます。
バッハの音楽は"魂の燃焼"に通じる音楽です。

植木 美帆
チェリスト
兵庫県出身。チェリスト。大阪音楽大学音楽学部卒業。同大学教育助手を経てドイツ、ミュンヘンに留学。帰国後は演奏活動と共に、大阪音楽大学音楽院の講師として後進の指導にあたっている。「クラシックをより身近に!」との思いより、自らの言葉で語りかけるコンサートは多くの反響を呼んでいる。

チェリスト植木美帆オフィシャルサイト


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