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英雄三国志〈1〉(柴田錬三郎)

英雄三国志〈1〉義軍立つ
柴田 錬三郎 (著)
出版社:集英社(2004)【内容情報】(「BOOK」データベースより)時は二世紀末。治世衰えて叛逆の黄巾賊が蜂起、中国大陸は混迷の極にあった。ここに敢然と立上がったのが劉備、字は玄徳である。義兄弟の契りを結んだ関羽、張飛を従えて義勇軍を結成し、賊軍を次次に打ち破る。一方、洛陽では曹操が意気天を衝く勢いで名乗りを上げた。董卓もまた賊軍との抗争の中、勢力を拡大して洛陽制圧をと狙う。壮大なスケールで描く柴錬三国志、開幕。
(出典:amazon
今回は愛読書の中でも特別な「英雄三国志」をご紹介したいと思います。
三国志は様々な作家が描いており、それぞれ魅力的。
しかし、初めて読む方に一番おすすめしたいのが、この柴田錬三郎です。

「三国志」というだけあり登場人物も国三つ分。
テンションの上がる武勇伝にぐいぐい引き込まれ、
柴田錬三郎マジック!とでもいいましょうか、気が付いたらすっかり虜になっていました。

さて、物語の主人公は劉備玄徳(りゅうびげんとく)。
漢王朝の血を引き、高貴で品格を備え、どこか威厳を感じさせる青年です。
両親を早くに亡くし祖母に育てられました。

西暦184年、後漢王朝は巨大な組織に膨れあがり崩壊の道をたどります。
政治は腐敗し国は乱れ、各地で頭に黄色の布を巻いた盗賊が反乱を起こします。
これは黄巾(こうきん)の乱、といわれるのですが、
村は賊におそわれ略奪や殺人が横行し、人々の暮らしがおびやかされました。

靴を作りロバをひいて売る日々、劉備の村も黄巾賊に襲われ不幸にも祖母を失うのです。
 

(本文より)
劉備(りゅうび)は、台所と物置のあいだの狭い通路に、仆(たお)れている無慚な老婢の姿を、発見した。「おばばっ!」抱き起してみたが、もはや、ほどこすすべはなかった。滂沱(ぼうだ)として、泪(なみだ)が頬をつたった。…

「おばばっ!この剣をふるう秋(とき)が来た。
待って居れ!劉備玄徳(りゅうびげんとく)が、賊を討つ!」

劉備玄徳――その素姓を明かせば、中山靖王劉勝(ちゅうざんせいおうりゅうしょう)の後胤(こういん)にして漢の景帝の玄孫(げんそん)であった。

ついに立ち上がる時がきた!その志に仲間が集まります。
文武ともに秀で、仁義に厚い関羽(かんう)。
百人力の豪将、張飛(ちょうひ)。

三人は、「生まれたときは違えど、死ぬときは同じ」と義兄弟の契りをかわします。

この百人力の義兄弟を引き連れ、劉備は黄巾賊をどんどん打ち負かしていきます。
やがて武勇は高い噂となり、ささやかな官職があたえられます。

劉備の魅力とはなにか?
色々と三国志を読んできましたが、実はなかなか見えにくいのです。
様々な戦況下で柔軟に戦い続けるのですが、「猛将」というわけでもない。
戦では関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)の力なくして勝利はない、と言えます。

しかし官職を受けても自分の館は持たず二人と食事を共にし、床を並べて休みました。
この二人の義兄弟は死ぬまで劉備一筋!
その絆の深さから劉備の人徳の深さが感じられます。
 

(本文より)
その人にそなわった人徳というものは、ふしぎな感化力を発揮する。劉備玄徳が、安喜県(あんきけん)におもむき、任に上って、県事をとりさばいて、ものの三月も経たないうちに、衆望はその一身にあつまった。

悪逆の名を取った者までが、捕えられて、玄徳(げんとく)の裁きを受けるや、頭をたれて、それまでの犯した罪をことごとく吐いて、つぐなうことを誓った。

玄徳は、それまでの県尉(けんい)がおのれを高く見せようとしてつくった虚礼や行事をすべて採らず、自然に振舞ったのである。

本人が語らずとも滲み出る思いやりが感じられます。

漢王朝の再建を願い、家臣と共に激動の時代を駆けぬけた劉備。
その生き様に響く音楽があります。

リムスキー=コルサコフ(1844-1908)の「シェエラザード」です。
聞き慣れない名前かも知れませんが、ロシアを代表する作曲家の一人で、
最大の傑作であるこの曲はオーケストラの演奏会でも人気が高い作品です。
R.コルサコフ:シェエラザード

ゲルギエフ指揮×キーロフ歌劇場管弦楽団が奏でる「シェエラザード」、
ロシアの広大な大地を思わせる圧巻の一枚です!
題材は『千夜一夜物語』(アラビアン・ナイト)からで、
シェエラザードという名のヒロインが千一夜にわたり王に物語を語りきかせるお話。
次々と繰り広げられる冒険の話に熱狂し、毎夜「聞かせて!」とせがむ王と、
ワクワクしながら三国志のページをめくる自分が重なります。

そして壮大なオーケストラの調べは、苦難に立ち向かう劉備の姿そのものです。

話は戻って三国志ですが、劉備の最大の敵となる曹操(そうそう)という武将がいます。
冷血漢といわれますが、国のためには私情を挟まず有能な人材をどんどん採用し
中心地域をおさえ、魏(ぎ)という国を絶大にしました。

そのお話は、次回につづきます。

植木 美帆
チェリスト
兵庫県出身。チェリスト。大阪音楽大学音楽学部卒業。同大学教育助手を経てドイツ、ミュンヘンに留学。帰国後は演奏活動と共に、大阪音楽大学音楽院の講師として後進の指導にあたっている。「クラシックをより身近に!」との思いより、自らの言葉で語りかけるコンサートは多くの反響を呼んでいる。
チェリスト植木美帆オフィシャルサイト
http://www.mihoueki.com/
BLOG:http://ameblo.jp/uekimiho/
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