読書狂の冒険は終わらない!(三上延/倉田英之)
本棚を見ながら語り合うのはわくわくする幸せな時間 読書狂の冒険は終わらない!
三上 延 (著), 倉田 英之 (著) 『ビブリア古書堂の事件手帖』の著者・三上延と、同じく本をテーマにしたライトノベルのヒット作『R.O.D』の著者・倉田英之という当代の人気作家が本について語り合う、とにかく楽しく勢いのある本です。
二人は同世代。読んできた本やマンガ、観てきた映画がぴったり重なっています。スティーブン・キング、江戸川乱歩、横溝正史、角川映画、赤川次郎、藤子不二雄、アガサ・クリスティ、ルパン、ホームズ… 実は私もお二人と同世代なので「わかるわかる!」の連続です。 でも、世代が違っても、それらの本を読んでいなくても大丈夫。お二人の話はマニアックではあるけれど、嫌みがありません。倉田さんいわく「飲み屋で隣席の男二人が話していて、聞き耳を立てたら結構面白かった、ぐらいの本なんです」。肩の凝らない、本好きな人ならきっと楽しめる一冊です。 何しろ「挫折本」についてまるまる一章、語っているくらいですから。思わず「あるある」と笑ってしまうやりとりをご紹介しましょう。 (本文より)
三上:この章は読み切れなかった〝挫折本〟を語り合うんですよね。(中略) 倉田:あんまり大きな声で言えないけど、僕、『三国志』に共感できないな。スケールが壮大すぎる。もうちょっと小さいスケールでやってくれたら分かるのに。子ども向けに簡略化された読み物の『三国志』を読んでいたんですよ。(中略)厄介なのは、それが『水滸伝』と一緒の本に入っていて……。 三上:それは混ざりますね(笑)。 倉田:だから自分の中で『三国志』と『水滸伝』のキャラを混同してるんですよ。(中略)その後大人になって読んだ横山光輝先生のマンガ『三国志』は、キャラクターがみんな同じ顔に見えて区別がつかなかった(笑)。さらに『蒼天航路』が入ってきて、もうグチャグチャに。 三上:僕はそこにNHKの人形劇も入ってきます(笑)。 お二人は対談に先立って、お互いの本棚を見学しあったそうです。
三上さんの持論は「本棚にその人となりが出る」。 何に関心をもっているのか、どんな思考の道筋をたどってきたのか。本棚にはその人が表れますよね。自分が持っている本やお気に入りの本が並んでいる本棚を見ると、その棚の持ち主に親しみがわいてくるものです。本棚を見ながら語り合うのはとてもわくわくする幸せな時間です。 好きな本の傾向が似ている人とのおしゃべりは楽しくて刺激的です。倉田さんがあとがきで書かれているように、「読書傾向はまったく同じではないけれど似ていて、ちょっとずつ違うから話していて勉強になることがたくさん」あるのです。 「本を読む行為って、(中略)「うわ、こんな世界があったのか」「世の中にこんな面白いものあるんだ!」と感じることで、自分に変化をもたらすわけじゃないですか。それって感動とはまた違う……、うまく言えないですけど、興奮するんですよね」と三上さんは言います。 まさにこの本からはそんな興奮を得ることができますよ! ぜひどうぞ! 読書狂の冒険は終わらない!
三上 延 (著), 倉田 英之 (著) 集英社(2014) ベストセラー作家にして稀代の「読書狂」の二人が「読まずにはいられない」名作・傑作・奇本・珍本の数々を、丁々発止で語り合うビブリオバトルが開幕!博覧強記の二人が惜しみなく出し合う秘蔵の「読書ネタ」を収めた本書は、唯一無二のブックガイドである。 出典:amazon 橋本 信子
同志社大学嘱託講師/関西大学非常勤講師 同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。同志社大学嘱託講師、関西大学非常勤講師。政治学、ロシア東欧地域研究等を担当。2011~18年度は、大阪商業大学、流通科学大学において、初年次教育、アカデミック・ライティング、読書指導のプログラム開発に従事。共著に『アカデミック・ライティングの基礎』(晃洋書房 2017年)。 BLOG:http://chekosan.exblog.jp/ Facebook:nobuko.hashimoto.566 ⇒関西ウーマンインタビュー(アカデミック編)記事はこちら |