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老人と海(ヘミングウェイ)

老人と海
ヘミングウェイ(著)福田恆存(訳)
出版社: 新潮社【内容情報】(「BOOK」データベースより)キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。(出典:amazon

(本文より)
かれは年をとっていた。メキシコ湾流に小舟を浮かべ、ひとりで魚をとって日をおくっていたが、一匹も釣れない日が八十四日もつづいた。はじめの四十日はひとりの少年がついていた。しかし一匹も釣れない日が四十日もつづくと、少年の両親は、もう老人がすっかりサラオになってしまったのだといった。サラオとはスペイン語で最悪の事態を意味することばだ。少年は両親のいいつけにしたがい、べつの舟に乗りこんで漁に出かけ、最初の一週間で、みごとな魚を三匹も釣りあげた。

カリビアン・ブルーの海、どこまでも美しい空が広がるキューバの港町。
漁師のサンチャゴはながい時間この海と過ごしてきました。
年月とともに身体はやせこけ、手の深い傷あとは大魚を獲ったことを物語ります。

そんな老人を慕う少年がひとり。
五歳で漁に連れて行ってもらってから、様々なことを教わりました。

八十四日間、一匹も収穫がないことが理由で「サンチャゴの舟に乗るな」と両親に仲を割かれますが、それでも漁の準備や食事など世話を焼きにきます。

海の上で過ごしてきた二人には深い絆があるのです。

早朝、いつものように港へ向かうサンチャゴと少年。
「うまくいくように、お爺さん」
「お前もな」
こうしてそれぞれの舟は、まだ暗い港から大海めざして進みます。

遠出をしようと海洋へ乗りこむ老人。
今日こそは、なんとしても大漁にせねばならない。

餌をおろし潮の流れに舟をまかせていた時、網に大きな手応えが…!
親指と人差し指の感触で、それがどんな大物かはっきりとわかるのです。

そこから、老人と大魚の闘いが始まります。
押したり引いたり、駆け引きは続きすっかり日は暮れてしまいました。

真っ暗な海にたった一人、徐々に広がる疲労。
「あの子がいたらなあ」と少年のやさしさ、頼もしさを思いだします。

その晩は網を背中の重さで支えて睡眠をとり、生き延びるための栄養を口にします。

夫婦づれの「まかじき」を釣り上げたこと、
カサブランカの居酒屋で大男と腕相撲をし一晩がかりで倒したこと、
過ぎ去りし日々が浮かんでは消えます。

そして、この闘いは三日も続くのです。
ついに勝利した老人は大魚を舟にくくりつけ、ようやく岐路につきます。

しかし、いったいどこまできたものか方向を見失ってしまいました。
街の明かりはおろか、何一つ見えません。

そこへ腹をすかせたサメが襲いかかるのです。

「老人と海」生きるとは何かというヘミングウェイのメッセージを感じます。
全身全霊で生きるからこそ死と向きあわねばならない、死生観です。

そして心の奥底からこのメロディーが聴こえました。
ヴィラ・ロボス(1887‐1959)のブラジル風バッハ第五番アリアです。

ブラジルに生まれたヴィラ・ロボスは、敬愛するバッハへの思いを込めてこの曲を書きました。彼の音楽にはクラシックとブラジル音楽が融合されています。
八台のチェロとソプラノという珍しい編成は、神秘的な響きとなって心に届きます。

サメと闘い抜いたサンチャゴ。
身体は限界を超え硬直し、これ以上サメが襲ってきてもすべはありません。
斧(おの)もない、ナイフもだめ、こん棒も沈んだ。

たった一人、帰る場所を見失った闇で生きていることをかみしめます。
 

(本文より)
しかし、完全な闇だ。街の空の照りかえしも見えない。もちろん燈火はない。あるのは風だけだ。それと、舟の確実な歩みだけが感じられる。老人は死んだような気がしていた。両手を押しあわせ、掌(てのひら)の感触をまさぐる。手は死んではいない。かれは両手を開いたり閉じたりすることによって、わずかに生きている苦痛を感じることができた。
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ
ベルリン・フィル12人のチェリストによる名演です。

植木 美帆
チェリスト
兵庫県出身。チェリスト。大阪音楽大学音楽学部卒業。同大学教育助手を経てドイツ、ミュンヘンに留学。帰国後は演奏活動と共に、大阪音楽大学音楽院の講師として後進の指導にあたっている。「クラシックをより身近に!」との思いより、自らの言葉で語りかけるコンサートは多くの反響を呼んでいる。
チェリスト植木美帆オフィシャルサイト
http://www.mihoueki.com/
BLOG:http://ameblo.jp/uekimiho/
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