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Lifetimes by Bryan Mellonie and Robert Ingpen

命のたいせつさを静かに感じさせてくれる名作

Lifetimes
- The beautiful way to explain death to children -
by Bryan Mellonie and Robert Ingpen
すべての命には、始まりと終わりがあって、その間が生きている状態。植物も、人も、鳥も、魚も、木も、動物も、命には始まりと終わりがあります。とても小さな虫でも同じこと。
There is a beginning and an ending for everything that is alive.
In between is living.

All around us everywhere, beginnings and endings are going on all the time.
With living in between.
シンプルな言葉と、印象的なイラストで、生き物には寿命があること、いのちの時間には限りがあることが淡々と描かれています。

人は、生まれ、成長し、若い時代を過ぎると、老いて死に向かっていく、と一方通行のように考えていました。大人になった後は、死に向かってフェイドアウトしていく、だんだん命が弱まっていくと。

始まりと終わりの間が「生きている」。そうすると、終わりも始まりと同等で、なんだか違って感じられ、心が軽くなりました。

貝、ミノカサゴ、アリ、カニ、蝶、と生き物の命に終わりがあることが語られ、そして人も同じだと言われると、なるほど、本当にそうだと思いました。

生き物には、それぞれのいのちの時間があり、長いものも短いものもあります。木の命は長く、虫のように、とても短いもものあります。蝶は、見かけでは分からないけど、老いると動きが遅くなるんですね。

どのくらい長く生きるかは、生きている間に何が起きるかにもよります。病気になったり、怪我をすることもあります。たいていは治りますが、重すぎて死んでしまうことも。

死は、悲しいことですが、生き物の世界はそのようになりたっています。長さに関係なく、命には始まりと終わりがあり、その間が生きているということです。

Robert Ingpenは、国際アンデルセン賞を受賞したグラフィックデザイナーです。この絵本のイラストは、白い背景に、筆で細かく、リアリスティックに、でも抑えた色味で、優しく描かれています。オーストラリアの絵本なので、オーストラリアの豊かな自然と生き物が登場します。

他にないアプローチで、命のたいせつさを静かに感じさせてくれる名作です。
Lifetimes
- The beautiful way to explain death to children -
by Bryan Mellonie and Robert Ingpen
Publisher: Bantam Books
profile
谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
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