ぞうくんのすてきなりょこう(セシル・ジョスリン)
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![]() こちらまで嬉しくなっちゃう ぞうくんのすてきなりょこう
セシル・ジョスリン(作)/レナード・ワイスガード(絵) 先月、Eテレの「日曜美術館」で、2週にわたってオルセー美術館が紹介されていたようですね。ところが私、見逃してしまって。成り行きで2週目の終盤あたりだけを目にしたんです。
オルセー美術館は、昔使われていた駅の建物を改修してできた美術館(「地球ドラマチック」で放送されたドキュメンタリーが興味深かったです)。もしも叶うならば現地へ行って、その建物の雰囲気ごと、まるっと楽しみたい!いつか行ってみたいなあ!と夢みて、全く叶う気配がないまま、もう何年経ったっけ…? ということで、今回は、パリへの旅行を控えている(らしい)、ゾウさん親子のやりとりがとってもチャーミングな作品をご紹介します。 らしい、というのには理由があります。作中に描かれているのは、擬人化されたゾウの親子(母親と息子)が、パリ旅行の準備を自宅で楽しんでいる場面だけだからです。 けれどそれこそが、この作品の素敵なところ。読み進めると、なるほどパリ見物をする様子より、読んでいて楽しいのは、現地での過ごし方をあれこれと想像して喜んでいる二人の様子のほうかも!というのがわかります。 作者は共にアメリカ人。このゾウの親子もアメリカ在住でしょうか。アメリカからフランス・パリへ。読んで頂ければわかるんですが、とにかく二人とも、ずっと嬉しそうで、楽しそう。 まずは、二人の目に注目です。動物園にいる実際のゾウも、知性を感じさせる穏やかで優しい目をしていますが、ここに描かれるキャラクターの目の表情ったら、とびきりチャーミング。最初から最後まで、ずーっとニコニコまなこ。 次に、二人の会話。息子がおちょけたりしながら、親子二人の楽しい掛け合いでストーリーが展開していくのですが、全部、愉快に弾んでいます。二人のウキウキは止まらない。もうね、あなたたち浮かれ過ぎよ(笑) 古い作品ということもあって、文章にボリュームがあるものの、ほとんどがセリフなのでテンポよく読み終えられます。 旅って、準備のウキウキをいかにして楽しみ尽くすか(ここめちゃ大事!)。この二人は、いい感じに心得ているようです。その楽しそうな様子にふれているだけで、こちらまで嬉しくなっちゃう。 いつもなら、そのはずなのですが。冒頭の話題に戻りますと、番組の終盤だけ目にしてしまうというのは、恐ろしくたちが悪い。しっかり全部みたのであれば、多少行った気にもなれようが、終盤だけだと、叶わないもどかしさしか残らん!(見逃した自分が悪い) もしも、いつかパリ旅行が叶うとなったなら? そりゃもう私だって、負けず劣らず。ウキウキの暴走に見舞われながら、旅の準備を楽しみ尽くす所存でございます。 ぞうくんのすてきなりょこう
セシル・ジョスリン(作)/レナード・ワイスガード(絵)/こみやゆう(訳) あかね書房 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |