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ないしょのおともだち(ビバリー ドノフリオ)

ネズミ一家の部屋のインテリアが楽しい!

ないしょのおともだち
ビバリー・ドノフリオ
今年は自宅で過ごす時間が増えたことで、私物を整理したりインテリアの模様替えに勤しんだ方も多いと耳にします。

私もその一人です。今年に入ってから少しずつ分別の時間を重ね、ここに至ってようやく、クローゼットの中がスッキリ片付きました。

いい年をして今更ですが、これからも使うであろうものと、長年のお気に入りだけに集約された部屋やクローゼットは、とても気持ちがいいですね。

今回ご紹介するのは、インテリアの描写がとっても素敵な作品です。出版から約10年で27刷も版を重ねている人気のタイトル。

「ないしょのおともだち」というのは、表紙に描かれている女の子マリーと、小さなネズミの女の子との関係を表します。

ネズミ一家はマリーの家の隅っこの、物入れとおぼしきスペースに住みついています。

どうして「ないしょ」なのかというと、どちらも両親から「危険な相手だから近づかないように」と躾られているからです。いわずもがな、人にとっては伝染病、ネズミにとっては駆除の危険を意味します。

作品に描かれているほとんどの場面は家の中。とりわけ楽しくて注目なのは、ネズミ一家の部屋のインテリアです。

例えば、彼らのリビングにあるのは、タマゴのパックでできたソファー。フタが背もたれです。折り畳んで厚みを出したクロス(ハンカチ?)で座面を整えたら、紅茶のティーバッグがクッションです。

そして、段ボール箱の側面が彼らの住まいの壁なんだけど、高そうな指輪や腕時計、それから切手や安全ピンなど、インテリアとしてピンで留めて飾ってあります。

切手や安全ピンはいいとしても、指輪と腕時計は、マリーのお母さんがめっちゃ探してるんちゃうかな…(笑)

高価なものもガラクタも、ネズミ一家にとっては区別なくお気に入りのインテリアのようです。

物語の展開とは別のところで、アイデアや工夫で住まいを快適にできることや、お気に入りに囲まれた暮らしの心地よさが伝わってきます。

さて、マリーとねずみの女の子は互いに知り合うのですが、彼女らが主人公をつとめるのは、物語の中盤まで。

では、その後は?

彼女らの娘にバトンタッチします。

中盤で主人公が次の世代にチェンジするというのは、絵本の展開としては珍しい手法だなあと思います。そして、このことは「ないしょのかくれんぼ」という続編に続く前振りにもなっていますので、ぜひ両方合わせてお楽しみくださいね。

蛇足ですが、最近ようやく我が家に「あつ森」がやってきまして(TVゲームのできない私が唯一楽しめるソフト)。現実世界でモノを処分してばかりだった反動でしょうか?? ゲーム内では、DIYと家具の収集にはまっているところです(わからない方ごめんなさい…)。
ないしょのおともだち
ビバリー・ドノフリオ(文)
バーバラ・マクリントック(絵)
福本友美子(訳)
ほるぷ出版
profile
恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主

小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。

毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。

ギャラリーリール(GALLERY RiRE)
大阪府堺市中区深井水池町3125
営業日:基本的に事前予約制(ご利用方法はHPご確認ください)
定休日:月曜・火曜+不定休
HP:https://galleryrire.theshop.jp/





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