Old Possum's Book of Practical Cats(by T.S. Eliot)
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![]() 個性的な猫たちが楽しい「キャッツ」の原作絵本 Old Possum's Book of Practical Cats
by T.S. Eliot, drawings by Edward Gorey 今回ご紹介するのは、ミュージカル「キャッツ」の原作の絵本です。
作者は、難解な詩で知られるT.S. Eliot。ノーベル文学賞受賞作家です。 Old Possumは彼のニックネームで、これは猫好きのEliotが子ども向けに書いた詩集。 キャッツは、私にとって思い出深いミュージカルです。 30数年前に友人と初めてニューヨークに行き、ブロードウェイで観て感激しました。 ストーリーは、残念ながらまったく理解できませんでしたが、歌とダンスの素晴らしさに圧倒され、感動。 歌詞に何度も登場した ”Jellicle” の意味が知りたくて、綴りを想像して調べましたが、分からずにそのまま忘れてしまっていました。 原作があった事を初めて知り、詩がそのまま歌になっていた事も分かり、長年の謎が解けて本当にすっきりしました。 ”Jellicle” は造語で、Eliotの姪が dear little cat と言おうとして舌が回らなかったのが元になったとか。見つけられなかった訳です。 本は15編の詩からなりますが、個性的な猫がたくさん登場します。 ガムビーばあさん、劇場猫、シティーボーイキャット、鉄道猫… ミュージカルで、ロックンローラーのような猫は、変わり者のRum Tum Tugger。 私が大好きな絵本、"Mr. Misoffelees with Mugojerrie and Rumpelteazer" は、この本の詩の二編を抜き出したものだったのも分かりました。 ![]() 魔術師のMr. Misoffelees の詩もミュージカルで歌になっていたのですね...
Errol Le Cainのイラストも素敵ですが、Edward Gorey のイラストは詩の雰囲気ぴったりで、ゴージャスです。 彼も猫が大好きなのが伝わってきます。 登場する猫たちの名前は、皆とても個性的。 Jennyuanydots、Growltiger、Macavity…
最初の詩は、The Naming of Catsで、猫の名前を考えるのは難しいという内容です。
The Naming of Cats is a difficult matter,
It isn’t just one of your holiday games. 猫には名前が3つあって、1つめは普段に猫を呼ぶ時の名前、2つめは正式な気取った名前、3つめは猫だけが知っている秘密の名前です。
3つめの名前は、世界で一つだけのユニークなもので、想像もつかないものでなくてはなりません。 猫が瞑想に耽っているときは、その名前について深く考えを巡らしているのです。 ほんとうに想像力豊かな楽しい詩ですよね。 ミュージカルに登場する娼婦猫グリザベラの詩は、子ども向けには悲しすぎるため、本には含まれませんでした。 本はミュージカルとは趣が異なって、軽快でコミカルです。まったく別の作品のようにも感じられます。 猫好きなら、さらに楽しめる絵本です。 ミュージカルは、来年1月に映画が公開される予定。 この記事を書いて、頭の中で "Jellicle Songs" や、グリザベラの "Memory" の歌がずっと流れています。 映画でどんな風に実写化されるのでしょうか。楽しみです。 Old Possum's Book of Practical Cats
by T.S. Eliot, drawings by Edward Gorey Publisher: Houghton Mifflin ![]()
谷津 いくこ
絵本専門士 絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。 StoryPlace HP:http://www.storyplace.jp Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/ |