台所のメアリー・ポピンズ おはなしとお料理ノート(P.L.トラヴァース)
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![]() 淑やかな装いと、料理本としても楽しめる絵本 台所のメアリー・ポピンズ
おはなしとお料理ノート 作:P.L.トラヴァース 絵:メアリー・シェパード 「ミュージカルがみたい」という母の珍しい一言で、先月から大阪で上演中の「メリー・ポピンズ」を観劇することになりました。平原綾香さんがメリー・ポピンズをされるとテレビで耳にして、私も気になっていたものです。
「メアリー・ポピンズ」は児童文学ですが、原作を読んでいなくても、ディズニー映画でご存知の方も多いかと思います。今回ご紹介する一冊は、番外編のようなエピソードを絵本に近いかたちで楽しめる内容です。 バンクス夫妻が一週間遠出をすることになり、夫妻が不在の間、メアリー・ポピンズと子供達が家で留守番することになりました。 本の前半では、メアリー・ポピンズと子供達が一週間にわたってイギリスの伝統料理を作るエピソードがイラストとともに楽しめます。後半では、その一週間のレシピが紹介されています。 エピソードは、曜日ごとに7つのお話になっていて、映画でも印象的なキャラクターの「鳥のおばさん」や「ブーム提督」も登場します。 カラーのイラストは、なんともお行儀のよいタッチで丁寧に描かれており、それぞれの場面には何人も登場人物がいて、お留守番中でもバンクス家は賑やかです。 残念ながら、私は料理がてんでダメなので(泣)イギリス伝統料理のレシピといわれても実はチンプンカンプンなのですが、無論お料理が好きな方にとっては、それらを再現して食べる楽しみも得られます。 絵本としての淑やかな装いと、料理本としても楽しめる手回しのよさ。メアリー・ポピンズのイメージそっくりの一冊だなあと思います。 と、ここまでご紹介して余談を少し。この本は、英語版で2006年に発行されたブックデザインに近いものですが、国内で1977年に別タイトル、デザインで発行のものもありました(メアリー・ポピンズのお料理教室―おはなしつき料理の本/文化出版局)。もしかしたら、そちらのほうに親近感を覚える方もおられるかもしれません。ご興味がありましたら、ぜひ両方チェックしてみて下さいね。 さて、冒頭の母の一言を、一旦は珍しく感じたものの、改めて思い返してみると、幼い頃たまに映画館や劇場に連れて行ってもらってたなあ、と。母自身がみたかったものや、母が私たちにみせたかったもの、様々あったように思います。珍しく感じたのは単に、私が母の関心に触れたのが何十年ぶりかだっただけなのでした。 子供の頃の懐かしい記憶とともに、母との観劇を楽しみたいと思います。 台所のメアリー・ポピンズ
おはなしとお料理ノート 作:P.L.トラヴァース 絵:メアリー・シェパード アノニマ・スタジオ ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |