関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

自分一人だけでお店をしていると、 思うように休日がとれなくなることがあります。

そうするとつい、美術館へ行く機会を逃しがちになるわけですが、 何年か前に美術館「えき」KYOTOで開催された 「リスベート・ツヴェルガー絵本原画展」は、 どうしても見たくて、でかけた記憶があります。

その絵本原画展の告知ポスターは、 「不思議の国のアリス」で登場する挿絵を使ったデザインでした。 ハートのクイーンが登場する場面です。

今回は、絵本というには文章が長すぎるんですが、 タイトルやストーリーはあまりにも有名ですし、 イラストやカットを楽しんでいただくという前提で ツヴェルガーの「不思議の国のアリス」をご紹介します。

これは、一般的な絵本と同じくらいの大判サイズの本で、 美しいカラーイラストが何枚も楽しめる上に、 ほとんどの見開きにもカラーのカットが散りばめられています。

とがった三角の襟に、こげ茶のベスト。

表紙では描かれていませんが、 白いフレアスカートに朱色のタイツ、黒のパンプスをはいてます。

ツンとした、可愛げのない優等生タイプ？のアリスです。

一般的なアリスの外見的なイメージは、 多少なり生意気ではあっても、 ツンとおすまし、というのではない気がしてます。

でも私はツヴェルガーの描くアリスを見てみて、 このツンとしたイメージは、意外としっくりくるなあと思いました。

もし、この年頃の女の子がツンとしているとしたら、 きっと本当は夢見がちな女の子なんだけど、 現実にはそんなことは一切起こらないことと、

それでも空想しちゃう自分への苛立ちを自覚し始めていて、 毎日つまらなくって、退屈で仕方がないから。

ただ生意気なだけなら、不思議の国ではなくて、 もっと別なところへ逃避してるかもって思うわけです。

短くか細い線で描いた繊細なタッチに加え、 子どもに媚びるつもりが一切ない、配色のセンス。

どの場面も慎ましく端正で、上品な佇まい。 個人的には、チシャ猫のデザインがお気に入りです。

アリスが不思議の国に迷い込んだのは、 頭がぼうーとなるくらいに暑い夏の午後でした。

夏の日の休日、ティータイム前のひとときに、 私も改めて読み直してみようかなあ？と思っています。