あさになったのでまどをあけますよ(荒井良二)
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![]() あさになったのでまどをあけますよ
荒井 良二 (著) 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
これまでずっと海外の作品をご紹介してきましたが、今回は国内の作家さんのものから。荒井良二さんの作品です。 私が初めて読んだ荒井良二さんの作品は、荒井良二さんが講師をつとめる絵本の教室に通ってみようと考えていた頃で、13、4年くらい前だったかなと思います。「ぼくのキュートナ」という作品でした。 そちらも女性にぴったんこの作品なのですが、今回は、新年に相応しい清々しい作品がいいかしら?ということで、こちらの作品をご紹介します。 レースのカーテンが描かれた、本のトビラをめくると、山麓の森の場面。そこに佇む、小さなおうち。 窓が大きく開け放たれたばかりなのでしょう、家の中には、両手を広げたままの男の子がいます。 さて彼は今、どんな景色を眺めているのでしょう? 答えは、次のページに描かれています。 ぱあーっと広がる、爽やかな朝の風景。 麓にあるように見えた小さなおうちは、少しひらけた高台になった場所に建っていたらしく、そこは、朝日を受けて輝く田園風景が見下ろせる場所でした。 と、このような調子で、都会に暮らす女の子、川沿いの町で暮らす兄弟、南の島で暮らす男の子… 様々な人たちの、朝の風景が登場します。 みんなみんな、自分が暮らすまちの、変わらない朝の風景が好き。 時折、親しい誰かがいるまちは晴れてるかな?と思いをめぐらせたりもします。 お話は、ただそれだけ。ここまでシンプルなのに、退屈させない。 荒井良二さんといえば、どこか歪で、無邪気なかわいらしさをまとった、独特のテイストが持ち味で人気の作家さんですが、この絵本は、それらとは趣が違っています。 奥行きと広がりを意識した構成。いきいきとしたタッチ。 地上に届いたばかりの新鮮な太陽の光を、寄せ集めて絵の具にしたような色使い。 淀みを感じさせない、美しい風景画の作品展でもみているようです。 今年は暖冬とはいえ、今は冬真っ直中で、勢いよく窓全開!とはいかないことも多いわけですが、一年の始まりに、心の窓を開け放つつもりで。 2016年が素晴らしい一年となるよう、新鮮な気持ちでスタートを切れたらいいなあ!と思います。 皆さんのいるまちは、晴れてるかな? ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |