HOME  Review一覧 前のページへ戻る

ヒューゴの不思議な発明 by Hugo Cabret

The Invention of Hugo Cabret
by Brian Slznick
児童書なら辞書をひかなくても読み切ることができます。やさしい文章をたくさん読む事は、英語上達の近道でもあります。大人でも楽しめる児童書を紹介しています。

The Invention of Hugo Cabret は、マーティン・スコセッシ監督によって映画化された「ヒューゴの不思議な発明」の原作。

とても分厚い本ですが、絵本と小説が組合わさったような独特の構成で、526ページのうち284ページは詳細な鉛筆画のみ。

著者のBrian Slznickは、この本を
not exactly a novel, not quite a picture book, not really a graphic novel, or a flip book or a movie, but a combination of all these things
と説明しています。

絵の部分は、無声映画のように絵だけでお話が進行。本の始まりはこの手法が21ページ続きます。

パリの駅の構内に男の子が潜り込み、時計の裏からおもちゃ屋のブースを観察している様子に一気に引き込まれる。

映画の最初の部分も大好きだけど、本も素晴らしい。映画のイメージが鮮明なので、本の方を先に読みたかった。

文字の量もページによってマチマチで、5ページしかなかったり、全部埋まっていたりで読みやすい。

本の厚さに惑わされずに是非手にとってみてください。不思議な魅力があって、手元に置きたくなるかもしれない。

ストーリーは実在の映画製作者ジョルジュ・メリエスの生涯がベースになっています。
『ヒューゴは、父親を不幸な事故で亡くした後、叔父に引き取られる。

失踪してしまった叔父の代わりに、駅の構内に住み、駅中の時計が狂わないように1日2回ネジを巻き時間を合わせる毎日。

父親が美術館の屋根裏で見つけたからくり人形を直すことを心の支えとして、鉄道公安員に見つからないように、時には食べ物を盗みながら1人で生きている。

からくり人形を直す材料を得るため、おもちゃ屋からもおもちゃを盗もうとしたのを主人に見つかって捕まり、父親の残した大切な手帳を取り上げられてしまう。

手帳にはからくり人形の構造が細かに記されていた。手帳の中を見てさらに激怒するおもちゃ屋の主人。

ヒューゴはおもちゃ屋の主人の孫娘イザベルと共に少しずつ謎を解き明かしていく。』
子どもが読んでも大人が読んでも違う面から楽しめる作品。ヒューゴのひたむきさが心に残ります。

2008年に絵本の賞であるコルデコット・メダルを受賞していて、これは小説としての初めての受賞となりました。
profile
谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
HP:http://www.storyplace.jp
Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/



@kansaiwoman


■ご利用ガイド




HOME