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The Little Prince(星の王子さま)

The Little Prince
by Antoine de Saint-Exupery
やさしい文章をたくさん読む事が、英語上達の近道ということで、楽しみながら辞書なしで読める児童書を紹介しています。

今回の本The Little Princeは、世界で270カ国語以上に翻訳され、今までで1億4500冊以上も売れた超ベストセラーの本。聖書の次に多くの言語に翻訳されたと言われています。

著者はAntoine de Saint-Exupery、フランス人で、原書はフランス語で書かれました。

本来はフランス語を読むべきかもしれないけど、時には知っているストーリーを英語でゆっくり読むのも楽しいですよ。

サハラ砂漠に飛行機の故障で緊急着陸した飛行士が、人里から何千マイルも離れた砂漠の真ん中で星の王子さまに出会います。

数日間の食料と水しかなく、命がけで飛行機の修理を試みている飛行士に、星の王子さまは、会うなり
Please...draw me a sheep...「お願い、羊の絵を描いて」
と言います。

飛行士は驚きますが、飢えたり喉が乾いたりしていなそうな変な服装の男の子が、執拗に羊の絵をねだるのが非現実的すぎて、結局は絵を描いてあげます。

星の王子さまは、いっぱい質問をするけど、自分が聞かれた事にはあまり答えてくれない。

それでも、彼の話を繋ぎ合わせて、飛行士は星の王子さまが別の星から来たこと、その星がとっても小さい事、色んな星を巡ってから地球に辿りついた事を知ります。そして、彼の思い出を本に綴ります。

Saint-Exuperyも飛行士で、サハラ砂漠に不時着した事もある。この作品は、戦時中アメリカに亡命して、ニューヨークで書かれたもの。

4千万人のフランス人がナチス・ドイツの支配下にあり、Saint-Exuperyは、アメリカ政府にファシズムと戦うよう働きかけていた。

ストレスや体の不調に苦しむSaint-Exuperyが、妻や出版社の勧められてこの本を書きました。フランス語版と英語版がほぼ同時にニューヨークで出版された。

彼は、その後志願して戦線に戻ります。最期は偵察機で任務に出発したまま戻らなかった。44歳だった。

戦争中に書かれたとは思えないような、どこか達観したような、静かな雰囲気の本です。ユーモラスだけど、悲しげなところもある。

この本で一番有名なフレーズは、キツネの言葉。
One sees clearly only with the heart. Anything essential is invisible to the eyes.「大切なものは目に見えない。」
素敵ですね。

難解なところもありますが、イラストもユニークで可愛らしく、ゆっくりと読み進めても楽しめる本です。
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
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