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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2016-09-09
「大人への第一歩」とは何か

大阪は、9月に入り徐々に秋めいてきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今年の夏、私は、「18歳、大人への一歩」という英作文コンテストに携わる機会がありました。
短いタイトルながら、なんと深く難しい意味を含んでいることでしょう!
大人への第一歩は何か、と聞かれているのは17歳の男女達です。

このエッセイに携わった機会に、私自身も、数十年前の自分にタイムスリップすることができたのは貴重な経験でもありました。当時の私は、「大人になる」などということを果たして深く考えていただろうか、と自問せざるをえませんでした。

17歳の頃の自分から、今に至るまで、随分の時間とそれなりの経験を経て、年齢的には、中年へと達した我が身で、わが頭で、「大人への第一歩」とは一体何だろうか、何だったのだろうかと考えるのは非常に新鮮でもありました。答えのない問いに対面するというのは、なんともエキサイティングな作業でもあります。

この 「大人っていったい何?」という問いは、今こそ日本に必要ではないでしょうか。
「かわいい」カルチャーが受け入れられている日本では、いつまでも、幼く、かわいく、そしてつまりは、大人になる必要性を感じることも少ないまま年齢を重ねることができるように思います。
それゆえ、年齢に関係なく、「かわいい」を目指す女性が多いように見受けられるのです。

かわいい大人、かわいい女子、などという言葉は日本独特の褒め言葉です。Cute、かわいい、という形容詞は、少なくとも英語圏ではペットか幼児に使う言葉で、大人の女性に使うときっと複雑な反応が返ってくるはずです。

それと同時に、新聞どころか本も読まない大人が増えていると聞き愕然とします。
新聞は少なくとも自分と社会とをつなぐ窓口の一つです。そこに書かれている記事が直接自分に関係がなくとも、今の時点で関係が見つけられなくとも、自分の住む社会が、そして世界がどのような方向に動いているかを把握するメディアの一つでもあるのですから。

英語で、terrible two というフレーズがあります。2歳児を形容する言葉ですが、とんでもなく大変な2歳児、というニュアンスです。心理学的には2歳というのは、自分と外の世界、自我とその他を識別しだす年です。それゆえ、初めて自我に目覚めた2歳児は、自分の外の世界を「boundary、境界線」の外という概念で試し始めます。

自分の行動はどこまでいったらオッケーで、どこまでいったらアウトなのか、という風に、試される日々は周りの大人にとっては、terrible、ひどく大変な時期なのです。初めて外の世界を認識し始めた2歳から、10代のティーンエイジまで、私たちははありとあらゆる形でアイデンティ、自己を確立しようとします。私たちは必死に自己表現と自分の内と外で経験を積み、発達を繰り返します。そして、待ちに待った「大人」になるのです!

その理論からいうと、大人になることは、自分の周りの世界と、自分自身との関係を知ること。その社会の中で自分の責任を知ることではないでしょうか。私たちの暮らしている社会が、そして世界がどのような方向に動いているかを知るためには、少しばかりの時間と努力を割く必要があります。新聞や本を含め、上質の情報を、読む、聞く、知る、そしてそこから、考える、という行為がその一歩に当たるかもしれませんが、それも、大人の条件だと思います。

世には非常に美しく年を重ねられ、「大人」であることにプライドを持って生きている方々がいらっしゃいますが、そこで共通して見られるのは、外見的な魅力に負けない、内なるエネルギーです。そのエネルギーとは知的好奇心に他なりません。社会の動きを考える探究心、好奇心、それを支える質の高い情報をどのように取り入れるかは大人の選択です。

法的に大人になる年齢が20歳から18歳に下がるという議論と同時に、「大人って何?」という問いを大人自身がもう一度するべき必要があるかもしれません。



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