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いつも心に太陽を ライフスタイル 2016-11-16
One man's trash is another man's treasure

私の住んでいる家の向かいに大きな老人ホームがあり、
先日そこでバザーが開催されるとチラシが入っていたので子供達と出かけました。

陶器や古着や贈答品のタオルなどが売ってある中に、私は宝物を見つけました。
周りの雑音が消え、細い目は倍以上に見開き、大きく息をのみました。

「オーマーゴット!」
イギリス製の高級水彩画用紙の大きなスケッチブック8冊が
全て100円のシールが貼られて売られているではありませんか。

定価なら紙一枚が800円はする高級紙のスケッチブック。
学生時代から画材屋さんでにらめっこすることはあれど、
購入することは一度もなかった、私にとっては手の届かない憧れの品物でした。

誰かに追われてでもいるかのように、
素早く全てのスケッチブックをかき集め、お金を払い、
「オモチャが売ってなかったよ!もうっ!」と口を尖らして怒る息子の言葉は右から左で
「こんな素晴らしいバザーは今までになかったね!史上最高のバザー!」
と一人で大きな独り言を言いながら上機嫌で帰宅しました。

早速その紙に絵を描いてみると、絵の具を吸収スピードがとても早く、
今まで使っていた安い水彩用紙と全く違うことに驚嘆しました。

色の発色も鮮やかで、同じ絵の具を使っても、
紙の質でこんなに出来上がりが変わるものなのか、と
初めての発見があり感動しました。

そして自分の本棚に8冊もの高級スケッチブックがあると思うだけで、
部屋に入り、それらが目に入るたびに嬉しくてニヤけてしまいます。

まさにこれは
"One man's trash is another man's treasure".
『ある人にとってはゴミ、他の人にとってはそれは宝物』です。

買ったスケッチブックは新古品で使われてはいなかったのですが、
一冊のスケッチブックの内表紙に大きく女性の名前が書いてありました。

その名前を指でなぞりながら、
このスケッチブックの持ち主だった女性について
誰か使う人がいたらとバザーに出品された経緯など色々想像していました。

アメリカに住んでいた頃は、週末は毎週のように
近所でヤードセールやガラージセールが行われていました。
それぞれの家の庭や車庫のスペースを使って、要らない物を売っているのです。

近所の電柱や道などに、「ヤードセール:〇時から〇時までやっています」
と何枚もチラシや立て看板があり、
その矢印を追ってゆくとその家に着くようになっています。

家具や古着やインテリア用品など、もう使わなくなった物を庭に沢山広げて
半日ほど家の前に椅子を置いて座り、釣りをするかのように物を売っていました。

私は近所でヤードセールの看板を見つけるとよく覗きにいっていました。
私の持っていたバックと売っていた壷と交換してくれと言われて
断るのに大苦戦したこともありましたし、
売られていた映画のビデオテープを買って、
黒澤映画の話で盛り上がって仲良くなって
一緒にビールを飲んでほろ酔いで帰ったこともありました。

日本に帰国する前には、ヤードセールで本以外の全ての家財道具を売り払いました。
日本に送るより日本で新しい物を全て買いそろえた方が断然安いからです。

本だけはどうしても夫が手放せないというので日本に送ることにしました。
本だけでも海外からの引っ越しはお金がかかります。
段ボール箱30箱はありましたから。

頭では解っていても、
今まで大切に一緒に暮らしてきた物達を全て値段を付けて手放す時には
自分の体が一部切り取られてしまうような大きな喪失感がありました、

ヤードセールで、夫の大切に育てていた盆栽をたくさん売っていたら、
昨日刑務所から出て来たという男の人が偶然トラックで通りかかり
「やっと自由の身になったから、ちょうど記念に庭に木を植えたいと考えていたんだ」
といって盆栽を全て買って行ってくれました。

小さく浅い鉢でワイヤーを巻かれたり、
引っ張られたりされて息苦しく暮らしていた盆栽達が
大地に根を張ってのびのびとこれから生きてゆくのかと思うと、
私はとても嬉しかった。

人と人とがそうであるように、物と人も、
深いところでお互いを呼び合って、巡り会うことができるのではないか、
と神秘的に思うことがあります。

物には願う力があるのではないかと思うのです。

息子によく言うのですが、
「おもちゃをちゃんとお片付けして大切にしてあげないと、
もっと愛して使ってくれる他の子供のところを探しに行ってしまうんだからね」

お片づけのしつけのために言っている言葉ですが、
私自身、そういうことは現実におこりえると密かに信じているのです。

自分をもっと尊敬して大切にしてくれる人のところで暮らしたい。
自分を100%生かせるところに行き使われたい!と、
物は強く願うことで、人間をあやつっているのではないかと思うのです。

急に部屋を片付け、物を処分したくなったり、
偶然、待合室で手にした雑誌の断捨離の特集に強く触発されたりするのも
実は自分の使わなくなった物が新しいオーナーに会いたい!と
念を送って祈っているからなのかもしれません。

そう考えると物との出会いや別れが、なんだか愉快に思えてきます。

私は毎日のように朝ゴミ捨てに行って、
いかに自分が買い物の時にゴミを家に持ち込んでいるののかと実感します。

過剰包装のパッケージ、すぐ壊れてしまう物、不燃物のプラスチック、
山のようにポストに入っている宣伝のチラシ、
そしてまだ使えるけれどもう使わなくなった物の数々。

毎日のように私は必死になって物を買い、家に持ち込み、
毎日必死にゴミを出しにゆく。
このサイクルに、一体自分は何をやっているのかとバカらしく思える時があります。

最近はできるだけゴミを減らすことを意識しています。
物を購入する際には
「want」欲しいだけなのか、「need」必要なのなのか。
「want」だけなら買わない。
これがなくても、私の人生大して変わらず生きてゆけるなら買わなくていいや。
購入前に冷静になってワンクッションおいて考えるようになってから、
衝動買いの量は激減しました。

そしてまだ使えるものは、簡単に捨ててしまうのではなく、
彼らの願いを聞き入れるべく、次のオーナーに出会える手伝いをしてやっています​。

私の8冊のスケッチブックのように、
誰かを笑顔にさせることにできる『宝物』になれるかもしれないのだから。
 

(イラスト:ガードナー瑞穂 http://www.mizuho-gardner.com/
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豊中と箕面のカフェで習うマンツーマン英会話
・お洒落なカフェレッスン
・レッスンは毎回払い
http://www.eikaiwa-artemis.com/


 

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