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樋口 陽子
星空案内人 yoppie style

ヨッピーの星空案内コラム 趣味・カルチャー 2015-03-25
早春天体ショー

寒の戻りがありつつも、確実に温かくなってきました。
桜の開花予想も始まり、いよいよ体感的にも春到来です。

2015年の春分の日は3月20日でした。
この日は太陽の中心が春分点を通過し、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
お彼岸はこの春分の日を中日として前後3日間、計7日間の行事。
暑さ寒さも彼岸まで・・・と言いますが、そもそも彼岸ってなんでしょう?

諸説がありますが、阿弥陀仏が住んでおり
先祖の霊も眠る極楽浄土という悟りが開かれた場所が「彼岸」。
これに対して、そこから川を挟んで対岸にいるのが私達がいる此岸(しがん)。
煩悩や迷い、欲望などがあるうちは彼岸には行けないことになっているそうです。

そもそもどうして彼岸の時にご先祖を敬うのか。
これは春分の日(秋分の日)が太陽がほぼ真西に沈む為、
西にあるとされていた極楽浄土に最も近づけるという言われから。
そこで、ご先祖様に心が通じやすいと考えられお参りするようになったと言われています。

お彼岸に付きものなのが「ぼた餅」!
秋には「おはぎ」といわれるこの食べ物。
違いは知っている方も多いと思いますが、春は牡丹が咲く時期なので「ぼた餅」
秋は萩が咲く時期なので「おはぎ」と呼ばれているそうです。
花のイメージから、ぼた餅はこしあんで大きく、
おはぎはつぶあんで少し小さめに作るところもあるそうです。



さて、そんな早春の夜空はどうなっているのでしょうか。
昨年の冬からこの春にかけて南の空を見上げてパッと目に付く明るく光る星。
太陽系で一番大きな星、木星です。

直径は地球の11倍もあり、ギリシア神話ではゼウス、ローマ神話ではジュピターという名前で、
神々の王として描かれています。
この堂々たる姿は望遠鏡で見てみるとよく分かり、
縞模様や大きな目のような模様を見ることができます。

自ら燃えている恒星ではなく太陽の光を受けて輝く惑星ですが、
その明るさは1等星のおよそ30倍ほどもあるので、
ネオンなどの光が多い都会でも簡単に分かるので是非見つけてみてください!

そして、4月4日にはまたもや大きな天体ショーが待ち構えています。

昨年10月にもあった皆既月食です。

月が地球の影に隠される現象で、神々しく輝いていた月がどんどん陰っていき
赤銅色になっていく様子は、とても不思議で興味深い現象です。

(撮影:中野綾子、合成:矢野正義 2014年10月8日 皆既月食 20分毎の撮影)

今回の皆既月食は時間的にもとても観測しやすい時間です。
19:15頃から下からゆっくりと欠け始め、
20:00頃で半分
21:00前後には地球の影に隠れ赤銅色の月が浮かび上がります。
そこから今度は左側から徐々に輝きを戻し始め
23:00頃にはいつもの明るい月に戻るでしょう。
 
なぜ真っ暗にならず、赤銅色になるのかは
地球の陰になっているとはいえ、太陽の光が地球の淵から
わずかながら届いている為です。
(光の散乱の関係で唯一赤色だけが残って見える)
 
月は以前にも書きましたが、人類が唯一到着した地球外の天体です。
小型の望遠鏡や双眼鏡があればクレーターなども見ることができますし、
望遠鏡にデジカメやスマートフォンを固定すれば写真だって撮ることができます。

ちなみにこの画像は筆者が望遠鏡にスマートフォンをつけて撮ったもの。
クレーターの影と月が欠けている部分の陰の違いが分かる楽しい一枚です。



さて、早い物で半年に渡り星空案内人(星のソムリエ)の目線から、
日本の歳時記と夜空の事について語らせていただきました。

夜空を見上げれば、果てがどこにあるかなんて想像もつかない宇宙が広がり
そこには太古にその輝きを灯した季節ごとの星が輝いています。

そして季節があるからこそ、私たちの生活には行事やしきたりがあり、
それは私達日本人が大事にしてきた、そしてこれからも大事にしていきたい物です。
このコラムを通して、二つの季節のお話に
少しでも興味を持って下さる事ができれば嬉しい限りです。

また、近々お目にかかりましょう!!
半年間本当にご愛読ありがとうございました!!

春を告げる沈丁花の花が香る夜、木星の輝きの下で。
☆星空案内人 ヨッピーこと 樋口陽子☆

 

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