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池田 千波留 パーソナリティ、ライター 香のん
(←プロフィールは写真をクリック)宝塚歌劇の魅力にぐいぐい迫っていきます!
タカラジェンヌ歳時記 趣味・カルチャー 2014-10-17
世界一 華やかな運動会 宝塚歌劇大運動会のいま昔
10月7日(火)、大阪城ホールでは宝塚歌劇団100周年記念 大運動会が開催されました。

女性だけの劇団、宝塚歌劇団。
もう一つ、他にない特徴は、団員がすべて"生徒"であること。
ラインダンスの一員から、おじいさんおばあさん役の人、
羽を背負って大階段を下りてくるトップスターに至るまでがそう。
未来のタカラジェンヌをはぐくむ宝塚音楽学校は2年で卒業ですが
宝塚歌劇団はその延長、ということなのでしょう。

学校と名がつくからは、宝塚音楽学校にも学校行事はあります。
その一つが運動会というわけです。

宝塚歌劇団で初めて運動会が行われたのは1920年(大正9年)のこと。
創立15周年を機に年中行事となりました。
このころはまだ「学校行事」であり、関係者のみが観覧していたようですが
1929年(昭和4年)からは招待されたファンも観覧できるようになりました。
生徒はみな、袴姿で競技していたといいます。
第二次世界大戦の影響で行われなくなった運動会が、きちんとした形で復活したのは
創立60周年である1974年(昭和49年)。
当時グループ企業であった阪急ブレーブスの本拠地、西宮球場で行われました。
以後、10年ごとに開催されるようになった大運動会は、
ファンにとって非常に楽しみなイベントです。

まず、花・月・雪・星(90周年からは宙)組と専科、音楽学校生と、
宝塚歌劇団および宝塚音楽学校の全生徒が集結すること。
本拠地宝塚大劇場、東京宝塚劇場をはじめ、宝塚バウホール、
中日劇場、博多座、梅田芸術劇場、全国ツアーなど、
各種公演の合間を縫って、全員が揃うのは、
ファンにとっては普段考えられない贅沢なことです。

ファンが大運動会を楽しみにする理由の二つ目は、
素に近いタカラジェンヌが見られること。
舞台での華麗な衣装や楽屋入り出での服装とは違い、
Tシャツやトレーニングウェア、あるいは仮装などは
めったに見られない姿です。
ビジュアルだけではなく、競技自体も見どころ満載。
舞台では、何分も踊りつづけた後、急に歌ったり、
舞台袖にはけたあとも、次の場面に間に合うように全力で走って早替わりしたり、と
元々タカラジェンヌはアスリートのようなもの。
そんなタカラジェンヌが自分の組の勝利のために本気で頑張る姿は迫力満点です。
また、最初は「怪我をしないように…」と及び腰だったとしても
運動会が進行するにつれ、だんだん本気になり、
競技結果に一喜一憂するタカラジェンヌ。
ご贔屓の嬉し涙や悔し泣きを目にし、
ファンは供に喜び、悔しがることになるのです。
また、宝塚歌劇団でしか見られない、入場行進や競技内容も魅力の一つ。

そして、もう一つ、ファンがこころゆくまで感情を表現できる場であることも
宝塚歌劇大運動会の魅力だと思います。
アイドルグループやアーティストのコンサートでは、
立って体を動かしたり、大きな声で声援を送るのは当たり前。
しかし宝塚ファンは通常の公演でそんなことはできません。
じっと座席に座って、思いのたけを拍手に込めるしかないのです。
ところが大運動会では、それができる!
自分のご贔屓を、大好きな組を、大きな声をあげ
手を振り、時には立ちあがってまで応援できるなんて
なんとエキサイティングなことでしょう。
組対抗で優勝を争うことになるため、
同じ組のファン同士が協力し、応援合戦を繰り広げるうちに
ボルテージはどんどん高まるばかり。
とにかく、宝塚歌劇団の運動会はただの運動会ではないのです。

私は70周年記念の大運動会からずっと現地で見てきました。
今月は私の記憶に残っている運動会シーンをご紹介します。
どうぞお付き合いください。


【70周年記念 大運動会】会場:西宮球場
当時のトップスターは花組 高汐巴、月組 大地真央、
雪組 麻実れい、星組 峰さを理という顔ぶれ。
この年で印象に残っているのは、大地真央率いる月組の入場行進でした。

宝塚歌劇団 大運動会の入場行進は、国体やオリンピックの入場行進とは
全く趣が異なります。
普通に歩いてきたりしません。
組ごとに、趣向を凝らした衣装で
パフォーマンスを繰り広げながら登場してくるのです。
それはまるで、ショーの1場面を見るかのようなクオリティの高さ。
これだけでも十分チケット代に値するかも。
タカラジェンヌ達は公演や稽古の合間を縫って、
他の組に内容が漏れないよう、秘密裏に練習を重ねて運動会当日を迎えます。
それが裏目にでて(?)花組と星組が入場行進の最後を
この年流行したマイケル・ジャクソン「スリラー」総踊りで締めくくり
趣向がかぶってしまったのはご愛敬でした。
一方月組は、西宮球場の地の利を生かした趣向を考えつきました。
トップスターと二番手男役が、投球練習場からリリーフカーに乗って登場したのです。
運転していたのは2番手剣幸。
その隣にすっくと立っている大地真央のいでたちは月光仮面。
月光仮面は当時すでにちょっと古ぼけたヒーローだったのに、
大地真央が扮すると、スタイリッシュだったのはさすが。
ドライアイスならぬ害虫駆除剤を焚いたスモークにむせながらも
カッコよく現れたのでした。
リリーフカーがマウンドに到着し、大地真央が
「見よ、平和のハトが!」と高らかに叫ぶと
白いハトが放たれて飛び立っていき、月組生全員がマウンドに集結。
そこで踊るは『炭坑節』。
しかもただの炭坑節ではなく、アレンジはRockで、歌詞も英語。
大地真央の歌うイングリッシュ炭坑節は今も耳に残る傑作でした。
仕上げは「今夜は月組、スゴイですね、スゴイですね」と
所ジョージのギャグを小さな黄色い手旗信号で発信していました。
なんともユニーク、他の組とは全く違う構成で入場した月組が
優勝までかっさらった70周年記念大運動会でした。

【80周年記念 大運動会】会場:西宮スタジアム(西宮球場から改名)
この時のトップスターは花組 安寿ミラ、月組 天海祐希、
雪組 一路真輝、星組 紫苑ゆう。
この年に印象に残っているのは、大綱引きでの雪組の頑張りです。

雪組生は足袋はだしで綱引きにいどみます。
思い返せば10年前、70周年の大運動会で
宝塚大劇場公演 日本物「千太郎纏しぐれ」を終えたばかりの雪組は
運動会に組のカラーである着緑色のハッピに足袋を履いて出てきました。
のんびり屋の麻実れいが率いていたせいか、
どの競技もさほど良い成績を残せなかった雪組が唯一気を吐いたのが大綱引き。
西宮球場のマウンドの土に、足袋の裏がガッとのめりこみパワーを発揮したのです。
おかげで70周年大運動会の綱引きは雪組が一位。
その経験があったからか、はたまた「日本物の雪組」という組の伝統からか
80周年の大運動会も足袋で登場した雪組は、またもや綱引きで一位をおさめました。
トップスター 一路真輝はこの綱引きで肋骨にひびが入っていたのだと
後になって知ったファンは大いに驚きました。
一路真輝は体力にものを言わせる根っからの体育会系とは思えず、
ただただ必死で綱引きに挑んだ結果に違いなく、
彼女の生真面目さを印象づけた大綱引きでした。
余談ですが、西宮スタジアムが取り壊され、90周年は大阪城ホールに場を移した大運動会。
やはり雪組は足袋で登場したものの、リノリウムの床に足袋は効果がなく、
100周年大運動会では雪組の足袋姿を見ることはありませんでした。

80周年大運動会の優勝は 紫苑ゆう率いる星組。
紫苑ゆうは10年前の大運動会での悔しさを忘れておらず、
「何が何でも優勝だ!」をスローガンに組子を鼓舞していました。
紫苑ゆうが退団を発表していたこともあり、
組子たちもトップさんの最後に優勝をと、意気上がったのかもしれません。


【90周年記念 大運動会】 会場:大阪城ホール
この時のトップスターは 花組 春野寿美礼、月組 彩輝直、
雪組 朝海ひかる、星組 湖月わたる、宙組 和央ようか。

会場が大阪城ホールに変わったことで、収容人数が約1万人に限られ
それまで当日ふらっと行っても見ることができた大運動会が一気にプラチナチケットに。
また、屋内であり、野球場のライトとは違う照明に、
大運動会はよりショー的な雰囲気を持つようになりました。
入場行進では、宙組が「冬のソナタ」、専科が「マツケンサンバ」を取り入れており
当時の流行が懐かしく思われます。

この年に印象的だったのは下級生ながらパワープレー賞を受賞した 柚希礼音。
入団当初から、すごいダンサーがいると名をとどろかせていた身体能力を
いかんなく発揮し、徒競争で大活躍していました。
また、自身の所属する星組の健闘に感極まって大粒の涙をこぼしていた姿が
忘れられません。
柚希礼音と涙と言えば、バウホール公演『イーハトーブ 夢』。
宮沢賢治の生涯を描いた舞台で、柚希礼音が演じたのは
『銀河鉄道の夜』のザネリ。
カンパネルラが死んだと知ったとき「僕のせいじゃない!」と
柚希ザネリは舞台で大粒の涙を流していました。
柚希さんの涙は、めそめそ しくしく、といった擬音では表せません。
ザネリの時も、大運動会でも、わんぱく少年が泣いているような印象を受けました。

ちなみに、柚希礼音の頑張り空しく、優勝は月組でした。


【100周年記念 大運動会】 会場:大阪城ホール
トップスターは花組 明日海りお、月組 龍真咲、
雪組 早霧せいな、星組 柚希礼音、宙組 凰稀かなめ。

終わったばかりで、あれもこれも鮮やかに思い出せますが、
特に印象に残るのは大縄跳びでの宙組の活躍です。
各組ごとに選抜20人が、連続して飛んだ回数を競うもので、
他の組がせいぜい40回程度だったのに宙組は63回。
他を寄せ付けないものがありました。
宙組が他の組と大きく違ったのは、掛け声。
定番の「いーち、にー、さーん」と回数を数えることはせず
「タタン!タタン!」と叫んでいました。
もしかしたらこれが一定のリズムを生み、ペースを乱さずに飛べたのかもしれません。
そうだとすれば、すばらしい作戦勝ち。
宙組の作戦と言えば、10年前の90周年での玉入れ。
この時、宙組では背の低い娘役は下に落ちている玉を拾うことに専念、
それを背の高い男役に渡し、投げ入れてもらうことで
他を圧倒する数の玉をかごに入れていました。
もしかしたら宙組には、代々軍師がいるのかもしれません。
その検証は110周年記念大運動会を待ちましょう。

競技で絶大なインパクトを残したのは、この大会から新たに導入された
「ダンシング玉入れ」。
これまではの大運動会でも行われて来た玉入れは、
下に落ちている玉をひろってかごに投げ入れる…という
世間一般と同じルールでした。
100周年では競技内容を、リニューアル。
玉入れ競技の途中で音楽が変わると、各組すぐにダンスエリアへ移動、
そこで組ごとに振りつけられたダンスを踊るというものです。
それがまた、運動会一夜限りだというのに、
フォーメーションチェンジやリフトもあるクオリティの高いダンスで、
しかも全員が真剣に踊っているのが素敵でもあり おかしくもあり。
これは宝塚歌劇オリジナル競技として、今後の運動会でも続けてほしいものです。

優勝したのはこのダンシング玉入れで玉の数、ダンスともに1位だった星組。
またもや柚希礼音の涙を見ました。
今回はわんぱく少年の涙というよりは、青年の男泣きに見えたのは
近年珍しいほどの在任期間を誇った柚希さんの貫録のおかげかも知れません。

70周年記念から100周年記念まで、4回の大運動会を振り返って思うのは
タカラジェンヌの辞書には「手を抜く」という言葉がないのだな、ということです。
それを象徴する競技の一つが椅子取りゲーム。
1つの椅子をめぐって、これはラグビーか?!と思うほど
団子になって競い合うタカラジェンヌたち。
その必死さ、一生懸命さには、笑ってしまうと同時に
何やら胸に込み上げてくるものがあるのです。
それは、日ごろ舞台で、どんな端にいても、
ライトが届かず薄暗い最後列であっても、全力で踊っている姿と、
椅子取りゲームで勝ちにこだわる姿の根っこが同じだと感じるから。
そんなタカラジェンヌを「全力でピュア」と表現するファンもいます。

他にも、バトントワリングや一輪車など、
普段は見ることができないスターの意外な特技を見ることもでき
宝塚歌劇団 大運動会は一度見たらやみつきになる面白さです。

次回 110周年記念に開催されるときには、
もっとたくさんのファンが会場で応援できるように、
グループ企業・阪神甲子園球場での開催を切に願います。


最後に、100周年記念 大運動会に関しての詳細なレポートは
拙ブログに掲載しています。
私のプロフィールにリンクがございますので
よろしければお越しください。

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