きんの たまごの ほん(マーガレット・ワイズ・ブラウン)
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![]() なんて素敵なアイデアだろう きんの たまごの ほん
マーガレット・ワイズ・ブラウン ここ何年か、ゆっくりペースではありますが、絵本を創作したい初心者さん向けのご相談を受ける活動をしています。
各ご相談者さんの心の中にある「お話のたまご」の様子をうかがいながら、どう温め育てるか?そんな意識を働かせる時間です。 様々な「お話のたまご」に出会う機会が増えるうち、目に留まったのがこの作品。 今回ご紹介する作品は、小さなうさぎとたまごの出会いから始まります。 私たちにしてみれば、ひよこが生まれてくるんだろうと容易に察しがつくわけですが、このうさぎは違いました。 あれこれたまごの中身を想像するうさぎ。ちいさい男の子?ほかのうさぎ?もしかしたら、ゾウ?それともネズミ? これらの絵が、へんてこで楽しい。ちいさい男の子なんて「やあ、元気?」って感じで片手を挙げたりして、妙に気取った態度でたまごの中に収まってます。 うさぎとたまご。そうです、これらはイースターを象徴するモチーフ。 さらに、この作品のユニークなところは、お話が終始、ページいっぱいの大きさのたまご型の画面の中で展開していること。まさに「お話が詰まったたまご」でできた作品なんです。 そして、たまご型の画面を縁取る装飾が美しいんです。 表紙では、たまごに描かれているような、色とりどりの草花や、ちょうちょや、木の実たち。本の中では、たまご型の画面を美しく縁取るために描かれ、どの見開きもカラフルに彩られています。 美しい装飾イラストのおかげで、切り取ったようにたまごの中だけで展開していくお話が、生命の息吹をそこかしこに感じるような、明るくて暖かい、春の美しい草原のどこかで展開しているんだなあと想像することができます。 この独特の画面構成。イースターに馴染みのある人々に楽しんでもらうことを前提にしながらも、あまり馴染みがなくてピンとこない私たちにも、春の訪れを祝福したくなるような、ウキウキした気持ちを充分にもたらしてくれます。 なんて素敵なアイデアだろう。とってもブラボーな画面構成だなあ!って思います。 小さいうさぎは、やがて、生まれたばかりのひよこと出会います。どうやって? ちょっぴりとぼけた、ほのぼのするやりとりが描かれていて楽しいですよ。ぜひ実際に読んでお楽しみくださいね。 きっと、私のところにいらして下さるご相談者さんの「お話のたまご」たちも、ゆっくり愛情を込めて大切に育てたら、素敵なお話になって生まれてくるんだろうなあ。 一体どんなお話になって、生まれてくるのかな…? その過程に立ち会える喜びを感じつつ、楽しみにしているところです。 きんの たまごの ほん
マーガレット・ワイズ・ブラウン(著) レナード・ワイスガード(絵) わたなべ しげお(訳) 童話館出版 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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