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しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです(ドン・フリーマン)

この無邪気な少女に憧れる

しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです
作:ドン・フリーマン
訳:なかがわちひろ
子供の頃の「本に親しむ場所」といえば?

私の場合は、暮らす地域に図書館がなかったので、父母がたまに連れていってくれた本屋さんです。

今回ご紹介する絵本に登場する少女の場合は、どうやら図書館。毎週土曜の朝、必ず図書館へでかけてしばらく過ごすとのこと。図書館での時間がお気に入りの様子です。

その日彼女は、動物が沢山登場する本を読んでいました。そして彼女は、いわば空想適齢期。本を読んでいたはずが、いつの間にか脳内では、本の内容は置いてけぼりに。

「どうぶつたちも ほんを よみたいかもしれないな」

自分が図書館の人間なら、動物だけに解放された特別な日をつくるのに…と、空想がどんどん加速します。ページをめくってしまった私たちも、もはや彼女の空想の中。

私が個人的に気に入っているのは、様々な動物が図書館にやってきて、図書館の中が動物だらけになっているんだけど、みんなお行儀よく腰掛けて、何かの本を黙々と読んでいる見開きです。

本を読む仕草って、こんなに愛らしかったかしら?と思うほど、キュートな場面。

で、この本のタイトルを思い出して下さい。

はい、ここから先は、絵本的お約束の時間。このあと、あるハプニングによって動物たちが大騒ぎ。でも、この賑やかな展開が、絵本らしくていいんです。

ところで、少女のヘアスタイル、気になりませんか。

しれっと(?)空想の中の彼女だけ、この不思議なお団子ヘアなんです。どの場面をみても、その理由にはふれられていません。

その、気づくかどうかも微妙な区別。この期に及んで必要なのか…?という疑問(ツッコミ?)が、よぎる方もおられることでしょう。

でもこのほうが、かわいいのは確か。

ゆえに必要!(「かわいいは正義」っていうの、誰の言葉でしたっけ…?)

日常の意識の中で、こんなにシームレスに空想の世界に入ってしまえる感覚から、すっかり遠ざかって、一体何年になるんだろう。

取り戻せるなら、取り戻したい。そんな気持ちがあるんでしょうね、この無邪気な少女に憧れている自分に気づきます。

さて。私が暮らす地域にようやく図書館ができたのは、自分でどこの本屋さんにも行ける年齢になった頃でした。それも、駅と反対方向の外れた場所にあって。

その図書館ができて、もう30年近くになるかな?今度は駅前を整備する計画が浮上しています。だったら図書館を駅前に移転してほしいんですけれど…。果たして30年先、そもそも紙の本や図書館って必要とされてるのかな…?

紙の本が好きな者のひとりとして。

ゆえに必要!と、未来を生きる人々に言わしめるための有力な候補として、絵本の魅力をこれからも発信していけたらいいなと思います。
しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです
作:ドン・フリーマン
訳:なかがわちひろ
BL出版
profile
恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主

小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。

毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。

ギャラリーリール(GALLERY RiRE)
大阪府堺市中区深井水池町3125
営業日:基本的に事前予約制(ご利用方法はHPご確認ください)
定休日:月曜・火曜+不定休
HP:https://galleryrire.theshop.jp/



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