ルリユールおじさん( いせひでこ)
職人さんに対するリスペクトと憧れ ルリユールおじさん
いせひでこ(作) 皆さん、朝ドラご覧になっていますか?
子供時代の舞ちゃんが、飛行機に興味を持ち始めたあたりの描写で、そういえば…と、私は自分が子供だった頃のエピソードを思い出しました。 仲良しのお友達とお揃いの日記帳があればいいな、プレゼントしたら喜んでくれるだろうな、そうか、本の作り方がわかったら、自分で2冊作ってお揃いにできるやん!と、手元にあった日記帳をバラしたことがあるんです。作り方がわかると思ったんですよね。 今回ご紹介する作品に対しては、出会って以来、特別な憧れを抱いてきました。 製本職人のアトリエを、訪ねる少女のお話です。 作品のあとがきによりますと、ルリユールとは、印刷技術によって本の出版が容易になってから発展した実用的な職業としての製本を意味するそうです。フランスでは、長らく出版と製本を兼業できない法律があって、その影響で発展した経緯があるのだとか。 パリの街が舞台です。少女が大切にしている植物図鑑が壊れてしまったところから物語は始まります。何度も読むお気に入りの本こそ、くたびれるし、壊れてしまうもの。 だったらルリユールのところに行ってごらん。そう教えてもらって、少女はアトリエを訪ねます。 彼女の本が少しずつ修理されてゆくことで、製本の工程が紹介されるとともに、職人とアトリエの様子が丁寧に描かれています。 どの見開きも、どれほど現場でスケッチされたんだろう?とため息が出るような美しい臨場感をともなっていて、モデルとなった職人さんに対するリスペクトと憧れの大きさがうかがえます。 作品の後半では、少女と職人それぞれの、本との向き合い方が描かれます。それはそのまま彼らの生き方にもつながっていて、職人がどんな時間を積み重ねてきたのか、少女がどんな時間を積み重ねてゆくのか。二人のひたむきな姿勢が温かい余韻を残してくれます。 ああ、私の少女時代にも、身近にこんな素敵なアトリエがあったならば、日記帳をバラすなどという暴挙は防げたに違いない…! …というのは、まあ、都合のいい思い過ごし(苦笑)。だって、ここに登場する少女や朝ドラの舞ちゃんみたいに、まずは本屋へ行くべきだったよね…あの頃の私(考えなしに、いきなりバラしちゃってたもんなあ)。 その後、真似てどうにか形にしたものの、おそらく全然間違っていただろうし、難しかったのをよく覚えています。 冴えない記憶だけれど、このことは、とりあえずできる範囲のことから楽しもうとする、今の活動や商品の企画につながっている気がしています。 いつか私も、本の作り方を基礎からきちんと学んでみたいなあ。そのうち叶えたいお楽しみとして、とってあることの一つです。 ルリユールおじさん
いせひでこ(作) 理論社 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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