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Little Blue and Little Yellow by Leo Lionni

絵本に見る「望まれる未来」

Little Blue and Little Yellow
by Leo Lionni
先日、「レオ・レオーニと仲間たち」の展覧会に行きました。前回の展覧会と違って、絵本以外の作品が多数展示されていて、アーティストとしてのレオ・レオーニに触れられる印象深い展示内容でした。

レオ・レオーニは、アメリカでアート・ディレクターとして成功を収めたあと、1961年にイタリアに戻りました。絵画や彫刻と並行して、絵本は年に一冊ほどを制作していたのですね。抽象的な作品が多く、可愛らしいキャラクターが登場する絵本とは、まったくイメージが違いました。

私が一番好きな絵本は、『あおくんときいろちゃん』。名作です。

孫たちのために即興で作ったお話が元になった、レオの最初の絵本です。手でちぎった紙を組み合わせた、シンプルなデザインで、自分もこんなお話づくりを子どものころしたような気がして、懐かしく感じます。

展覧会で知ったのは、この絵本と、ブリュッセル万国博覧会のアメリカ特別パビリオンの閉鎖事件が関係していることでした。レオは、「未完成の仕事」と題された小さなパビリオンの展示内容とデザインを担当し、環境や人種差別の問題を取り上げました。最後に「望まれる未来」として、さまざまな肌の色の子どもたちが一緒に遊んでいる写真を展示しましたが、政治的な圧力によって3週間で閉鎖されてしまいます。

確かに、いろんな色の子どもたちが輪になって遊んでいるシーン、Little Blue and Little Yellow の中にありますね。

そして、こんなに長く読み継がれる絵本ができたなんて、かっこいい。その気概を見習いたいです。この絵本の違った面を知って、見直し、ますます好きになりました。

子どものころ、母方と父方の両方の親戚に美術コレクターがいて、自宅にシャガールの絵が飾られ、日常的に親しんでいたというのも驚きでした。芸術的に恵まれた環境にあったのですね。

最初に読み返したくなったのが、Little Blue and Little Yellow ですが、他の絵本も、デザインをじっくり見ながら、そして展覧会の内容を思い起こしながら、読み返したいです。
Little Blue and Little Yellow
by Leo Lionni
Published by HarperCollins
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
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