関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

The treasure box、宝箱というと、宝石や金貨がつまった箱を想像してしまいますが、この箱に入っているのは、一冊の本です。

戦争で、街の図書館は爆破され、本はすべて燃えてしまいましたが、Peterのお父さんが借りていた一冊の本だけが残りました。

間もなく住民は皆避難しなければなりませんでしたが、Peterのお父さんは、大切な本を鉄の宝箱に入れて、運び出しました。

何週間も泥や雨の中を歩き、道端や溝の中で皆が寄り添って暖めあって眠る日々が続き、お父さんは、病気になってしまいます。Peterは、宝物を大切にすることを約束し、お父さんが亡くなった後も、本を運び続けました。

重い荷物を運ぶことができなくなった時、Peterは、大きな菩提樹の下に箱を埋めます。

異国で成長したPeterは、戦争が終わって平和になると、宝物を掘り出すために、菩提樹のある村に戻りました。

本の中では、どの戦争で、どの国の出来事なのかは書かれていません。本のタイトルもわからないまま。

イラストは、鉛筆と水彩で優しく描かれ、コラージュされています。ジオラマを作成し、写真撮影されていて、立体的で浮かび上がるように見えます。背景には、ちぎられた本のページが使われていますが、英語ではなく、スラブ語、スペイン語、ハンガリー語などの文章です。

興味を持った読者が何の本かを調査をしたところ、戦争に関する児童書が使われているということでした。イラストレーターの思いも感じられます。

Peterは、本を掘り起こし、新しく建て替えられた図書館に戻します。そうすることで、他の誰かに読まれて、愛されることができるように。

お父さんが、避難の道中に、子どもに重い荷物を持たせてまでして守りたかった本は、どんな本なのでしょうか。

戦争で征服され、言葉を取り上げられた民族は、自分たちの文化も失ってしまうことがあります。自分たちの民族の歴史や、文化に関係のある本だったのかもしれません。

この絵本に、お母さんは出てきませんが、写真は飾られていて、お母さんが書いた本だったのかもしれません。

本は、時代や空間を超えて、他の人にお話や情報を伝えることができる、素晴らしい宝物です。

久しぶりに、ゆっくり本を読みたい気分になりました。