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Dudley Pippin by Phil Ressner

純粋でかわいらしい言動が微笑ましい

Dudley Pippin
by Phil Ressner Pictures by Arnold Lobel
“Dudley Pippin” は、1965年に出版された絵本です。58年後の今年になって翻訳版『ダッドリーくんの12のおはなし』が出版されました。今読んでも楽しいお話で、素敵です。

イラストは、『がまくんとかえるくん』の絵本で有名な Arnold Lobel です。文は、Phil Ressnerで、編集者でもあり、絵本や児童書を執筆しました。

この絵本は、独特のユーモアのあるふしぎなお話と、Arnold Lobel の優しいイラストがマッチして、読むと子どもに戻った気分になれます。

ペンで仔細に描かれた Arnold Lobel のイラストは、白黒ですが、とても表情豊かで、動きだしそう。

Dudley は、お正月に町に引っ越してきました。そこで出会う、いろんな人や動物たちとのエピソードが12のお話になっています。

私が好きなのは、Dudley and the Witch です。Dudleyは、しっぽのついたアライグマの帽子をかぶって凧あげに出かけ、魔女に出会います。おばあさんの魔女ではなく、どこか子どもっぽい魔女。

魔女は、アライグマの帽子をくれたら、3つの願いを叶えてあげると言います。「どうして自分でアライグマの帽子を願わないのさ?」と答える Dudley。もっともですが、魔女は自分の願いは叶えられないそうです。

魔女に帽子をあげ、1つ目の願いで自分のアライグマの帽子を手に入れます。2つ目は凧のために風が吹くよう願います。

なんと、その風で2人とも帽子が吹き飛ばされてしましました!残りの願いは1つ。さあ、どうしましょう。魔女はアライグマの帽子が飛ばされて悲しそう。

お話に出てくる願い事はいつも3つ。自分ならどんな願いをするか、考えたことありますよね? Dudleyは、願い事を増やすお願いを思いつき、大喜び。あれ、ルール違反じゃなかったんですね。たくさんの願いを叶えることができました。

魔女と自分の他に、お父さんとお母さんにも、アライグマの帽子を手に入れました。飛行機のおもちゃ、大きな爆竹の束、そして子犬も…魔女は帽子に大満足で、ほうきに乗って飛び去ります。

Dudley の子どもらしい、純粋でかわいらしい言動が、微笑ましい。

お話には、喋るゾウや、怪しい魔術師や、変な大人も登場しますが、現実にありそうな優しいエピソードもあります。

『がまくんとかえるくん』は、文章も Arnold Lobel が書いた作品で、著者が違いますが、この本は、その源流になっているように感じられました。

Chiclets、Cracker Jack、Jujubes など、アメリカの昔のお菓子もたくさん登場して楽しいです!
Dudley Pippin
by Phil Ressner Pictures by Arnold Lobel
Publisher: Harper & Row
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
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