ねずみのとうさんアナトール(イブ・タイタス)
ヘンテコ設定がたまらない ねずみのとうさんアナトール
イブ・タイタス(文)ポール・ガルドン(絵)晴海 耕平(訳) 今更ですが、私の今年の目標は「年内に必要な仕切り直しを終わらせる!」です。お店の営業スタイルはもちろんのこと、自社で企画している商品についても改良が必要なのですが、なかなか自力での解決は難しく。
そこで、商品に限ってはノウハウをお持ちの会社を頼ることにしたんですが、これが大正解でした。なんと頼もしいことか。 で、今回ご紹介するのは、アナトールという父さんねずみが得意分野を活かして、一躍ビジネスマンとして成功をおさめるっていうお話です。 彼の得意分野というのが「商品の改良」なんですね。 舞台はパリ。ねずみの父さんたちは毎日夕方になると、家族のため、生活のため、人間の家に入り込んで食料を探すのが日課です。 ある日アナトールは、自分たちの行いが人間にとってひどく迷惑で、不潔な存在だと忌み嫌われている事実を知ってしまい、ショックを受けます。 その話を聞いた彼の奥さんは、一言。「何か人間にお返しができればいいんだけど」 この一言が、アナトールに素敵な閃きを与えます。それは、経営不振に陥っているチーズ工場に忍び込んで、試食室のチーズを味見し、コメントを記したメモを残すこと。 「おいしい・おいしくない」に加え、「もっとやぎのミルクを加えるべし」とか、「こしょうをひかえめに」とか。具体的なアドバイスも添えるのです。 この試食の場面では、ずらりと様々なチーズが並んでいて、それぞれ色んなメモも並びます。中には「まずい、捨てなさい!」といった、辛辣なコメントも(笑) 絵はフルカラーではなく3色で構成されています。お気づきの方もおられるかもしれません、1956年製作の古い作品とのこと。70年近く前の絵本(子供向けの創作物)で、商品開発のためのコンサル業務がネタになっていること自体に、びっくりしませんか? そして最初にお伝えしました通り、アナトールは商品開発の能力が認められて成功を手にするんです。ここまで言わずにきましたが…ねずみがビジネスマンとして成り上がるサクセスストーリーって…なんだそれは!(笑) このツッコミせずにはおれないヘンテコ設定が、たまらんのです。長年、私の連載にお付き合い下さっている方なら、きっとご理解頂けますよね!…ね??詳しい顛末は実際に読んで頂けたら嬉しいです。きっと愉快な気持ちになれますよ。 「フランスの どこをさがしても、アナトールほど、しあわせで みちたりた ねずみは、ほかにいまそんでした。」これは冒頭の一文です。 7月に入って、今年も折り返しですね。必要な仕切り直しを全て終わらせて、しあわせでみちたりた気持ちで年末を迎えられるよう、下半期も頑張りたいなと思います。 ねずみのとうさんアナトール
イブ・タイタス(文)ポール・ガルドン(絵)晴海 耕平(訳) 童話館出版 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |