たんぽぽヘリコプター(まど・みちお)
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![]() ああ、春が待ち遠しい たんぽぽヘリコプター
まど・みちお(詩)南塚直子(絵) 文楽(人形浄瑠璃)にはまって、6年になります。文楽は、浄瑠璃(物語やセリフ)を語る「太夫」という役割があって、中でも私は豊竹呂太夫さんの語りが大好きです。
呂太夫さんの語りは、あたたかくて柔らかくて、例えるなら「ひなたでよく干したお布団」みたい。あのくるまれた時の心地よさったら!格別ですよね。 さて、同様に「ひなたでよく干したお布団」みたい!と大好きなものが、もう一つあります。 まど・みちおさんの詩です。 今回ご紹介する作品は、まど・みちおさんの詩の世界を美しい銅版画とともに楽しめる一冊です。 「谷川俊太郎編 まど・みちお詩集(岩波文庫)」を以前読んだのですが(そちらもおすすめです!)、そこでは、蚊についての詩がまとめて収録されています。 蚊に対してあれほど愛情深く、慈しみの眼差しでもって、いくつもの詩を創作されるだなんて。 まど・みちおさん、やっぱりすごい!!と感動しまくって、途中で本を閉じて、しばらく余韻に浸ったものですが。 真夏になって、深夜に安眠を妨げられればですよ、そんなことすっかり忘れて結局退治しちゃうんですね…。私ってば、残念な子(苦笑)。 話がそれてしまいましたが、それくらい、地球上のあらゆる命と向き合って、たくさんの素晴らしい詩を遺されたわけですが、この本では、植物を扱ったいくつかの詩が取り上げられています。 「なのはなとちょうちょう」という春の詩から始まり、ぐるりと季節が巡って、「にこにこちゃん」という春の詩で終わります。 絵は南塚直子さんによるものです。以前「うさぎのくれたバレエシューズ」をこちらでご紹介しました。今回も美しいサクラを描いた銅版画が楽しめますし、たんぽぽの綿毛が夢いっぱいに舞う場面や、一面のコスモス畑など、幻想的で軽やかで、うっとりすること請け合いです。 ページをめくるごとに季節が進んで、真夏のひまわりや秋の紅葉、雪景色だって描かれているんだけれど、不思議とどのページも、春の陽気をたっぷりと含んだようなあたたかさが感じられるんです。 もはや、ひなたでよく干したふわふわの羽毛布団に、夢心地でくるまっているようなもの。 ああ、ぽかぽか陽気の春が待ち遠しいですね。 余談ですが、文楽の公演で呂太夫さんが登場すると、私は嬉しくなって「今度こそ!!」と気合いを入れます。 どういうことかって? なぜなら、語りがあんまり柔らかくて、あたたかくて、心地良すぎて…至福の心地よさに抗えず、絶対に途中で寝てしまうからです(!) こんなに最後まで聴き通したい気持ちでいっぱいなのに…!なんとしたことか…!! 次の文楽公演は4月です。次こそは!! ああ、やっぱり春が待ち遠しいです。 たんぽぽヘリコプター
まど・みちお(詩) 南塚直子(絵) 小峰書店 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |