カタカタカタ おばあちゃんのたからもの(リン・シャオペイ)
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![]() 懐かしい、ミシンのある日常 カタカタカタ おばあちゃんのたからもの
リン・シャオペイ 連休中も、外出自粛が続きますね。
身内も含め、私の周りもマスクが不足してきて、ここのところはマスク作りをしています。ミシンが壊れたままなので、チクチク手縫いで作っています。 今月ご紹介する絵本は台湾の作品です。 ああ、台湾。今年の冬もイベント参加で行くつもりをしていたのだけど、結局、新型コロナの影響で行けなかったんです。来年は行けるかなあ。 女の子と、そのおばあちゃんと、おばあちゃんが長年愛用している古い足踏みミシンが出てくるお話です。 まずは、女の子の耳に入ってくる音の描写から。 静かに響く規則正しい時計の音。沢山の原付バイクが発する、外からやってくる騒音のかたまり。傍らにある本のページを風がめくる音。 活気に満ちた暖かい風が、風通しの良い部屋を元気いっぱいに通り抜けていく台湾の日常風景。そこに、おばあちゃんの足踏みミシンの音が重なります。 女の子は、足踏みミシンのことを「おばあちゃんのおおきなおもちゃ」と呼びます。 真っ黒のいかにも重そうなレトロミシン。台湾の作品らしく、ボディの要所要所に「覇王號」の文字が。 実際にある商品名なのかしら?なんと勇ましい名前!そういえば、日本の「蛇の目」、あと「ジャガー」とか。ミシンってば、意外と厳ついなあ! 女の子とおばあちゃんのやりとりが温かい。 頑張りすぎたミシンが、肝心なところで再起不能に。孫のためにと、おばあちゃんは手縫いで仕上げます。孫の寝顔をみながら夜なべする見開きが印象的。 女の子は、このハプニングがあってようやく「本当にすごいのは(ミシンじゃなくて)おばあちゃんだったんだ!」と気づきます。 私の父方の祖母も古いミシンを使って何か作るのが好きな人でした。まだ弟が産まれる前の話、中には母や私や妹の困惑を誘うばかりの珍妙なセンスの洋服もありました(というより、多かった、が正解)。 孫が着て喜ぶ様子を思い浮かべながら、カタカタとミシンを動かす。祖母は幸せな時間を過ごしていたんだろうなあと思います。 もし当時の年齢のまま私の祖母が今を生きていたなら、ミシンで「おうち時間」を過ごしていたでしょう。 自粛が解けて祖母の家を訪ねたなら、満足そうな祖母の笑顔とともに、何着もの珍妙な洋服が私達姉妹を待っていたはず(笑) 皆さんのおうち時間はいかがでしょうか。この窮屈で不安で大変な毎日も、思い出に変わった頃には互いに笑って話せますように。 引き続き安全に気を配りながら、一緒に乗り越えてゆきましょう。 カタカタカタ おばあちゃんのたからもの
リン・シャオペイ(作) 宝迫典子(訳) ほるぷ出版 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |