Moon Man by Tomi Ungerer
月に住む愉快なひと Moon Man
by Tomi Ungerer Moon Manは、月の中に住んでいます。
満月は、人の顔に見えるといいますが、Moon Manは、月の中にまるくなって座っています。 彼は、地球の人々が楽しくダンスしているのを眺め、羨ましく思っていました。 一度でいいから、自分もダンスを楽しんでみたい。月の中はなんて退屈なんだろうと。 ある日、Moon Manは、流れ星のしっぽを捕まえて、地球にたどり着きます。 轟音に森の動物たちは逃げ出し、消防車や軍隊や見物人が駆けつけます。 青白いMoon Manを見つけた人間たちは、侵略者だとして、牢屋に閉じ込めてしまうのでした。 足首に重りをつけられた姿の可哀想なMoon Man。 しかし、日が経つにつれ、Moon Manは欠けていって、牢をすり抜けて逃げ出すことができました。 自由になって、元の姿に戻り、地球の花や待望のダンスを楽しみます。 “Look! Someone has come as the man in the moon.” a lady cried.
The Moon Man danced blissfully for hours. よかった、よかった!
その後、またもや警察に追いかけられるのですが、最後は意外な方法で月に戻ることができます。 この絵本は、1966年に書かれたものですが、まったく古さを感じさせません。 古さはないですが、とっても懐かしく、子どもの頃にワクワクして読んだ物語の世界を思い出させてくれました。 テンポが良く、どんどんお話が展開します。 短い文章にストーリーが凝縮されていて、想像が膨らみます。 つじつま合わせなど気にしていなくて、軽快で楽しい。動物たちの表情も豊かで愉快です。 モーリス・センダックがこの絵本を、"easily one of the best picture books in recent years" と評していて、興味を持ちました。 著者のTomi Ungererは、フランスのアルザス地方出身ですが、USに移住し、晩年はアイルランドで過ごしました。 絵本から大人向けのものまで140冊以上の著作を残し、風刺画、ポスター、彫刻など幅広い作品を手がけた芸術家でした。 反戦、反人種差別、動物愛護などを訴える人道主義者でもあり、作品には、彼の優しさや、痛烈な皮肉も感じられます。 これを書いている今日は満月で、Tomi Ungererさんはちょうど1年前に87歳でお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。 Moon Man
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by Tomi Ungerer Publisher: Phaidon Press Limited
谷津 いくこ
絵本専門士 絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。 StoryPlace HP:http://www.storyplace.jp Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/ |