Field Trip to the Moon(Jeanne Willis)
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![]() 未来の遠足は月旅行? Field Trip to the Moon
by Jeanne Willis, illustrated by John Hare 今年は人類が初めて月面におり立ってから50周年です。
これは、アニバーサリーで出版された本の一冊。 SFが大好きですが、未来の宇宙が舞台で、楽しくキュートな絵本に初めて出会いました。 子どもたちが、宇宙船で月に遠足に出かけるお話です。 表紙のイラストでは、みんな楽しそうに宇宙船に乗り込んでいます。 列から一人遅れてつまらなそうな顔をしている子がいますが、それが主役の男の子です。 お話の語り手は…月に住むエイリアンです。 エイリアンたちは、地球の子どもたちがやってくるのを見かけます。 皆でおそろいのシルバーのスーツに身を固め、一番背の高い人について並んで歩いていきます。 In silent fear we watched them on their field trip to the Moon.
We hid, afraid to say hello in case it was too soon. エイリアンたちは隠れて観察します。挨拶をして正体を明かすのは、まだ早すぎるのではと思っているから。
主役のマイペースな男の子は、月面でも皆から遅れ気味。 未来の時代ですが、スケッチブックとクレヨンを抱えていて、ふと目に入った青い地球に見とれて絵を描き始めます。 一面グレーの世界に暮らしているエイリアンたちは、クレヨンのカラフルな色にうっとり。 男の子は、そのうちウトウトしてしまって… 気がつくと宇宙船は彼をおいて出発! The Earthling ran and whirled its arms and with a frowny face…
… it called, “Come back!” Alas, its words got lost in outer space. 呆然とする男の子。でも、すぐに気を取り直し、涙をふいて笑顔で絵を描き始めました。
クレヨンと絵に興味津々なエイリアンたちは、男の子の後ろに集まってこっそり眺めます。 でも、一人がくしゃみをしてしまって… 振り返る男の子と、びっくりするエイリアンたち… エイリアンは岩陰に隠れますが、おそるおそる出てきて、男の子に分けてもらったクレヨンで絵を描いて遊びだします。 We had the best time of our lives…
イラストレーターのJone Hareは、これが初の絵本とのことですが、
表現がとても豊かで、ユーモラスで、笑わせてくれます。 クレヨンを持ったエイリアンたちのはしゃぎ方が最高。 やがて、男の子がいないことに気づいた宇宙船が戻ってきて、大慌ての先生が走ってきます。 大喜びの男の子。 急いで隠れて、先生にわからないように男の子に手をふるエイリアンたち。 読むと笑顔になる絵本です。 アポロ計画が1972年に中止されてから、人は一度も月に足を踏み入れていないのですね。 不思議に思いますが、月の方が着陸するのが難しいのだとか。 月への有人着陸は各国で見直されていて、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスも自身の会社で計画を進めているそうです。 クレヨンを持って月に遠足に行けるような、のんびりした未来になると良いですね。 Field Trip to the Moon
by Jeanne Willis, illustrated by John Hare Publisher: Macmillan ![]()
谷津 いくこ
絵本専門士 絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。 StoryPlace HP:http://www.storyplace.jp Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/ |