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Horatio Squeak by Karen Foxlee

小さな声の大切さ

Horatio Squeak
by Karen Foxlee
『Horatio Squeak』は、先月出版された新しい絵本です。

作者のKaren Foxleeは、オーストラリア人女性で、主に児童からヤングアダルト向けのファンタジー小説を書いています。絵本はこれがデビュー作です。

彼女の『Ophelia and The Marvellous Boy』という、雪の女王をモチーフにしたファンタジーが大好きで、絵本の出版を知って、すぐに入手しました。

可愛いイラストの、シンプルなメッセージが込められた絵本で、作者を知らなかったら手に取らなかったかもしれません。
Horatio Squeak は、高級住宅街の素敵な家で家族と暮らしています。

12匹兄弟の末っ子で、一番小さくて、細くて、臆病で、恥ずかしがりのネズミです。

でも、とっても礼儀正しくもありました。

ある日、Horatio 宛に手紙が届きました。

同じ家の住人からで、15分後に始まるパーティーへの招待状でした。

“To the Littlest,” it read, inside: A PARTY AT FOUR.
WHERE: The top of the stairs, the green attic door.
You are cordially invited for an hour of play.
Please come at once, do not delay!

Horatioはパーティーへの招待状を受け取ったのも初めてでしたし、5階の屋根裏までも行ったことがありませんでした。

まったく気乗りがしませんでしたが、お母さんに諭され、泣く泣く行くことにしました。

大きなダイニングテーブルの脇を通り抜け、大きなドアを通りぬけ、空まで続いていそうな吹き抜けの階段を5階まで登ります。

Horatioにとって大冒険です。

ようやく屋根裏部屋にたどり着いたHoratioを出迎えてくれたのは、なんと、猫のお母さんでした。

Horatio thought, there’s been some mistake,
And his hands on the thimble started to shake.
(Horatioのお母さんは、指ぬきにケーキを入れてお土産に持たせてくれていました。)

可哀想に震えだしてしまったHoratio。

パーティーのお相手は、マーマレード色の3匹の子猫たちでした。

多少乱暴ではあるものの、彼らは本当にネズミと遊びたかっただけでした。

かくれんぼをしたり、馬跳びをしたりして楽しく遊ぶ4匹。

この家に引っ越して来たお祝いのパーティーで、ご馳走も用意されていました。

Horatio は子猫たちと友達になれて、とっても嬉しく思いました。
メッセージの事をお伝えしたいので、お話を最後まで書いてしまいます。
和やかなパーティーでしたが、窓辺に小鳥が飛んで来たことで、状況が一変します。

子猫の一匹、Tabithaが本能を発揮して、すばやく小鳥を捕まえてしまいます。

3匹で追いかけまわして遊びだす子猫たち。

小鳥は恐怖でパニックになっています。

“STOP”
shouted Horatio in a voice that was clear.
“You let that bird go, right this minute, you hear!”

Horatioは子猫たちを止め、子猫たちは従います。

パーティーが終わって家に帰る途中、窓から無事に小鳥が飛んでいるのを見かけ、誇らしく思うHoratio。

お母さんには、Horatioが少し大きくなったように見えました。
Karen Foxleeは、小さな声の大切さを訴えたかったのだと言っています。

教訓めいた絵本はあまり好きではないのですが、こういうメッセージは、他であまり無いのではないでしょうか。

自分を受け入れてくれて、友達になってくれようとしている人たち、自分より強い立場の人たちにでも、間違っていることには声を上げる。

そんな態度をシンプルに肯定する絵本は素敵だなあと思いました。

イラストにも色々細かいところが描かれていて、情報を見つけ出すのも楽しいです。

時計で時間の移り変わりが分かったり、猫の部屋には本がいっぱいあって、実はネズミとの遊び方を予習していたのが伺えたり...

Karen Foxleeの次の絵本も待ち遠しいです。
Horatio Squeak
by Karen Foxlee, illustrated by Evie Barrow
Publisher: Walker Books Australia
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
HP:http://www.storyplace.jp
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