サーカス!(ピーター・スピア)
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![]() プロってかっこいい サーカス!
ピーター・スピア(作) 毎日お店で絵本や雑貨を販売しながら、毎月ここで絵本のご紹介もさせて頂いていますが、日常的にコミックや小説も読みます。
「舟を編む」を読んで以来、三浦しをんさんの作品が好きです。過去に林業の現場を少しだけ見学する機会があったのですが、たまたま「神去なあなあ日常」を読んだすぐ後で、とても楽しかったのを覚えています。「仏果を得ず」を読んでからは(まだまだにわかですが)文楽ファンにもなりました。 ご存知ない方のため補足しますと、3作品とも仕事の現場が興味深いテーマとして扱われています。辞書の編集、林業、文楽の技芸員。 絵本にもお仕事を魅力的に紹介している作品が色々あるんですが、今回ご紹介する作品は、サーカスの現場を丁寧に描いた作品です。実際の取材に基づいて創作されているようです(ニューヨークのビッグアップルサーカスとあります)。 大きな特徴の一つに、イラスト点数の多さがあります。 あれもこれもと、伝えたいことが山盛りなんだといわんばかりに画面を細かく区切って、アルバムさながらにイラストを配置しています。 あんまり沢山なので数えてみたんです。そしたら90点ほどありました! 絵本においては、15点以下でも作品として成立します。見かけは普通の絵本なのに、この中に90点もイラストが詰まってるんですよ。 しかも、小さなイラストであっても隅々まで隙がないというか、丹誠を込めて描かれている。こんなに沢山のイラストを詰め込んでいるにもかかわらず、いくつかの見せ場はしっかり大きなイラストで楽しませてくれる。読み終えるまで全く飽きさせません。 広場に立った大きな告知看板。やがて広場はサーカスに必要なあらゆるものや人、生き物であふれ、夜のうちに広い広いテントが張られます。 裏方のスタッフは、サーカス開催のための多岐にわたる業務を遂行し、ステージでは、多国籍の出演者らが様々な文化を背景に持つパフォーマンスを駆使して、団員みんなで盛大な一つのショーを作り上げます。 そうして2000人以上の観客を存分に楽しませたら、彼らは次の街へと去っていきます。 この作品から伝わってくるのは、サーカス団の華やかさ、賑やかさと、彼らがプロのエンターテイメント集団であるという誇り。 しかし、それだけではないように思います。 作者自身もまたプロのエンターテイナーとして、彼らの魅力をしっかり伝えるべく、読者を心から楽しませるべく、作家としての誇りでもって、この絵本の創作に取り組んだのだなと。 そう確信させるような、熱っぽさを感じるのです。 プロってかっこいいな。素直にそう思わせてくれる作品です。 サーカス!
ピーター・スピア(作) ほずみたもつ(訳) 福音館書店 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |